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第3章 ~よう
■⑯
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《sideメハ
私は意を決して、リンに質問する。
「リンはどうして、来てくれたの?」
「…メハが苦しんでいるのが、耐えられない」
「……」
「メハがいっぱい、幸せにしてもらった」
「……」
「だから、その恩返しを」
「ダメだよ…」
「…!!」
ここで見て会ってるだけの情報だけだと…リンがスゴイ人間的で理知的な人物に見えてしまう。でも、不安が消えないのは、直感が言っている。
危なっかしい
「………」
心が読めるリンには伝わってしまっていることを察する。その上で、否定をされていないことでより確信が強まっていく。
「危なくないよ…」
「推測なんだけどさ……リン。犠牲になろうとしてない……?」
リンはどこか安心したような口調で言う。
「犠牲なんかじゃない」
「悪くない人を傷つけたり…リン自身の身や心を削ってない?」
「してない」
<あっ…!>
そこで閃く。リンがしようとしていることへの確信。
「ずっと、こっちにいる気……?」
「…メハがこっちに残るなら独りにさせたくない」
<あぁ…>
それを自己犠牲と呼ぶんじゃない
とは口にもしないし心でも言わない。言葉を選ぶなら贖罪じゃないかって思う。でも、これはきっと一時の感情じゃない。リンが私と別れてからずっと思い悩んでだって、顔見て分かる。
<リンは私に後悔しないようにって言ってたけど、リンも後悔したくないってk>
「そうに決まってるじゃんか……!!」
「………」
リンが声を荒げた
心の底から驚いた。おそらく、記憶があった時ですらこんな風に声を荒げることはなかったんじゃないか、と思う。
「……」
「メハの方がずっと危なかったんだよ!!一人だけでアピスに立ち向かってさ。あの時、逃げの一択に見えなかったかもしれないけど、電脳世界でも異能は使えたの。信じてくれたら…言ってくれたら……私は……」
「そう言ってくれるのは、分かってたよ…その時の私も、ね。」
半分は話が分からない……。でも、分かる……。確信が持てた。
「………」
「だから、私は。過去を知りたい。だって、一方的に守られるのが嫌なのは、お互い様でしょ」
リンの手を取れた。
「リンなら、助けてくれるって思ってたのかもね」
他力本願で、情けないようにも思えて、自然と笑ってしまう。やっと心から笑えたような気がした。
「………」
「……記憶を取り戻していいんだよね…」
「うん。お願い」
「…今の人格が消えないかとか、不安ないの…?」
「ないよ。きっと…リンだから」
「……」
リンは嬉しいのか顔を少し俯ける。見られたくないことを察し、上を見上げる。
「上ってこうなってたんだ……」
上を見上げようという気には一切ならなかったため当然だった。あんな感情で回りなんて見えないし、世界は真っ暗だったんだから。
「ちょっと…いじった」
視野が狭まっていて、それすら気付かなかった。でも、確信していることがある。
「リンが一緒なら、どんな景色でも輝いて見えそぅ…」
つい口角が上がってしまう。リンのことは未だに思い出せていないのに、疑う気がもうない。アピスとの対峙でリンは確実に苦労したことから、気軽には言えないけど不安が一切ない。
「…始めるね」
「うん」
リンと手を繋いだまま、眠気に抗うことなく意識を手放す》
私は意を決して、リンに質問する。
「リンはどうして、来てくれたの?」
「…メハが苦しんでいるのが、耐えられない」
「……」
「メハがいっぱい、幸せにしてもらった」
「……」
「だから、その恩返しを」
「ダメだよ…」
「…!!」
ここで見て会ってるだけの情報だけだと…リンがスゴイ人間的で理知的な人物に見えてしまう。でも、不安が消えないのは、直感が言っている。
危なっかしい
「………」
心が読めるリンには伝わってしまっていることを察する。その上で、否定をされていないことでより確信が強まっていく。
「危なくないよ…」
「推測なんだけどさ……リン。犠牲になろうとしてない……?」
リンはどこか安心したような口調で言う。
「犠牲なんかじゃない」
「悪くない人を傷つけたり…リン自身の身や心を削ってない?」
「してない」
<あっ…!>
そこで閃く。リンがしようとしていることへの確信。
「ずっと、こっちにいる気……?」
「…メハがこっちに残るなら独りにさせたくない」
<あぁ…>
それを自己犠牲と呼ぶんじゃない
とは口にもしないし心でも言わない。言葉を選ぶなら贖罪じゃないかって思う。でも、これはきっと一時の感情じゃない。リンが私と別れてからずっと思い悩んでだって、顔見て分かる。
<リンは私に後悔しないようにって言ってたけど、リンも後悔したくないってk>
「そうに決まってるじゃんか……!!」
「………」
リンが声を荒げた
心の底から驚いた。おそらく、記憶があった時ですらこんな風に声を荒げることはなかったんじゃないか、と思う。
「……」
「メハの方がずっと危なかったんだよ!!一人だけでアピスに立ち向かってさ。あの時、逃げの一択に見えなかったかもしれないけど、電脳世界でも異能は使えたの。信じてくれたら…言ってくれたら……私は……」
「そう言ってくれるのは、分かってたよ…その時の私も、ね。」
半分は話が分からない……。でも、分かる……。確信が持てた。
「………」
「だから、私は。過去を知りたい。だって、一方的に守られるのが嫌なのは、お互い様でしょ」
リンの手を取れた。
「リンなら、助けてくれるって思ってたのかもね」
他力本願で、情けないようにも思えて、自然と笑ってしまう。やっと心から笑えたような気がした。
「………」
「……記憶を取り戻していいんだよね…」
「うん。お願い」
「…今の人格が消えないかとか、不安ないの…?」
「ないよ。きっと…リンだから」
「……」
リンは嬉しいのか顔を少し俯ける。見られたくないことを察し、上を見上げる。
「上ってこうなってたんだ……」
上を見上げようという気には一切ならなかったため当然だった。あんな感情で回りなんて見えないし、世界は真っ暗だったんだから。
「ちょっと…いじった」
視野が狭まっていて、それすら気付かなかった。でも、確信していることがある。
「リンが一緒なら、どんな景色でも輝いて見えそぅ…」
つい口角が上がってしまう。リンのことは未だに思い出せていないのに、疑う気がもうない。アピスとの対峙でリンは確実に苦労したことから、気軽には言えないけど不安が一切ない。
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「うん」
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