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第3章 ~よう
器⑤
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《sideケイト
シンを先行させ、リンは学習中、グルバンもルコもいない。皆はすべきことで慌ただしくしている。知識詰め込みは終盤。情報を与えながら口頭で問いかける。
「リン。どうする?」
「経験は…【時空】で補う」
「対面は?」
「速攻。最短で叩く」
「誰かいたら?」
要は人質でも取られたらどうするのかを問う。
「……」
リンの脳内に浮かび上がる解決策を順々に対策を上げる。リンが音を上げる。
「もしかして…勝てない?」
「この世界には隙が無い最強なんていないみたいね」
「…今は答えは出ないよね?」
わての言い回しの真意を捉えた返し。ゆっくりと首肯する。シンもそうじゃったが、答えを言ってもそれじゃ到達しない領域。そこまでいかなければ、異能の力は使いこなせない。
「…じゃあ…どうしよっかね」
「アピスと会うまで完成させなきゃいけないんでしょ?」
「そうね…でも、『急がば回れ』って忘れないで」
「……ん」
「よし」
薬から鉱物、あらゆるモノとの接触が予測される中で耐性を付けるだけに、これ以上時間は割けない。同時にやる。体と同時に脳を、精神をしごく。
<地獄を乗り越えるには、極上の地獄を味わわないと……>
「…」
リンが唾を呑む。あえて、修行でしようと思っていることを考え、見せているのだ。固まるのも当然と言える。
「…やる」
「よし、きた」
スゥ――――
リンを眠らせる。わての分割した精神体が修行をつけながら、肉体を負荷と時間加速で鍛えながら、シンの元へ飛ぶ。リンの序でに有望な霊にはリンと一緒に修行させ異能の神髄に近づける。下準備で決着は決まるのだから…》
☆sideシン
ケイト目線でのリンとのやりとりを一瞬で理解する。軽く息を吐いて、ケイトに問いかける。
〔これからどうする?〕
「それはあの子に問う言葉じゃ……」
ッ―――――――――――――!
「わてらは、アピスにケリをつける。…して、汝はどうする?」
ケイトは空気を変え、警官へ言葉を浴びせる。警官は少し周りを見渡すが、自身を呼ばれていることを確信する。爆発的に増える存在感、真意を見透かす知覚、絶対強者の圧が伝わり切って圧倒されている。
「……!!」
「…どうするんだい?」
警官に再度問いかける。「やめるなら今だ」と教えている。
「…や、やります!!この時を待っていました」
「…ふ……」
ケイトは小さく笑みを浮かべながら、リンを大きくしていく。リンの目覚めの時だ。
ギ…ギギ……
リンが目を覚ます。
「…おはよ」
〔あぁ、お疲れ…〕
「り、リン…ちゃん」
「あぁ、監視とかは対策済みよ」
「あ…その……私は」
「言わなくていい………。あと、心配無よ」
「私は…盗聴される類のものを身につけていることも、内部に埋め込まれた可能性だってありません!!信用できる人に洗脳や記憶障害すら確認し!」
トン……。
リンが警官の頭に手を置く。警官だけが地上にいて、リンも空中から降下していた。その行動は天使が下界の民に慈愛を与える絵画のようになっている。
「……ルピカ…落ち着いた…?」
「……っ!!興奮しすぎました…」
「…大丈夫。アピスの駒にされてることも、みんなの仇も…全部背負うから。あとちょっとだけ、がんばろ」
「っ…!はい!!」
ケイトにしごかれてからか、リンの性格が少し変わっている。アピスたちは依然迫ってきている。状況は変わらない。と、思っていた。見通しのいい高い建物に貼られたパネルが、皆が使っているデバイスが、切り替わる。
「みなさん、こんにちは。いかがお過ごしかな?残念ながら、今回みんなにしたい話はBadニュース。一部の人にはとってもハッピーなニュースだぁ…」
ケイトと視線を交わす。察してしまう。これは国中で流れている。あらゆる人の目の前にはアピスのホログラムまである。そう、『ミラボール』とやらがそこらじゅうにあるのであろう。オレらの前にないのが、逆に目立ってしまうほどの密度である。
<オレでも分かる。アピスの狙いの一つは、空間的しるしを埋め尽くすことでオレらをあぶりだそうとしている。だが、それだけじゃない!>
もったいぶるように溜める間が無性に苛立ちを募らせる。こいつの発言次第では、状況がどこまで悪くなるかが決まる。悪意以外でこんなことしないだろう。
シンを先行させ、リンは学習中、グルバンもルコもいない。皆はすべきことで慌ただしくしている。知識詰め込みは終盤。情報を与えながら口頭で問いかける。
「リン。どうする?」
「経験は…【時空】で補う」
「対面は?」
「速攻。最短で叩く」
「誰かいたら?」
要は人質でも取られたらどうするのかを問う。
「……」
リンの脳内に浮かび上がる解決策を順々に対策を上げる。リンが音を上げる。
「もしかして…勝てない?」
「この世界には隙が無い最強なんていないみたいね」
「…今は答えは出ないよね?」
わての言い回しの真意を捉えた返し。ゆっくりと首肯する。シンもそうじゃったが、答えを言ってもそれじゃ到達しない領域。そこまでいかなければ、異能の力は使いこなせない。
「…じゃあ…どうしよっかね」
「アピスと会うまで完成させなきゃいけないんでしょ?」
「そうね…でも、『急がば回れ』って忘れないで」
「……ん」
「よし」
薬から鉱物、あらゆるモノとの接触が予測される中で耐性を付けるだけに、これ以上時間は割けない。同時にやる。体と同時に脳を、精神をしごく。
<地獄を乗り越えるには、極上の地獄を味わわないと……>
「…」
リンが唾を呑む。あえて、修行でしようと思っていることを考え、見せているのだ。固まるのも当然と言える。
「…やる」
「よし、きた」
スゥ――――
リンを眠らせる。わての分割した精神体が修行をつけながら、肉体を負荷と時間加速で鍛えながら、シンの元へ飛ぶ。リンの序でに有望な霊にはリンと一緒に修行させ異能の神髄に近づける。下準備で決着は決まるのだから…》
☆sideシン
ケイト目線でのリンとのやりとりを一瞬で理解する。軽く息を吐いて、ケイトに問いかける。
〔これからどうする?〕
「それはあの子に問う言葉じゃ……」
ッ―――――――――――――!
「わてらは、アピスにケリをつける。…して、汝はどうする?」
ケイトは空気を変え、警官へ言葉を浴びせる。警官は少し周りを見渡すが、自身を呼ばれていることを確信する。爆発的に増える存在感、真意を見透かす知覚、絶対強者の圧が伝わり切って圧倒されている。
「……!!」
「…どうするんだい?」
警官に再度問いかける。「やめるなら今だ」と教えている。
「…や、やります!!この時を待っていました」
「…ふ……」
ケイトは小さく笑みを浮かべながら、リンを大きくしていく。リンの目覚めの時だ。
ギ…ギギ……
リンが目を覚ます。
「…おはよ」
〔あぁ、お疲れ…〕
「り、リン…ちゃん」
「あぁ、監視とかは対策済みよ」
「あ…その……私は」
「言わなくていい………。あと、心配無よ」
「私は…盗聴される類のものを身につけていることも、内部に埋め込まれた可能性だってありません!!信用できる人に洗脳や記憶障害すら確認し!」
トン……。
リンが警官の頭に手を置く。警官だけが地上にいて、リンも空中から降下していた。その行動は天使が下界の民に慈愛を与える絵画のようになっている。
「……ルピカ…落ち着いた…?」
「……っ!!興奮しすぎました…」
「…大丈夫。アピスの駒にされてることも、みんなの仇も…全部背負うから。あとちょっとだけ、がんばろ」
「っ…!はい!!」
ケイトにしごかれてからか、リンの性格が少し変わっている。アピスたちは依然迫ってきている。状況は変わらない。と、思っていた。見通しのいい高い建物に貼られたパネルが、皆が使っているデバイスが、切り替わる。
「みなさん、こんにちは。いかがお過ごしかな?残念ながら、今回みんなにしたい話はBadニュース。一部の人にはとってもハッピーなニュースだぁ…」
ケイトと視線を交わす。察してしまう。これは国中で流れている。あらゆる人の目の前にはアピスのホログラムまである。そう、『ミラボール』とやらがそこらじゅうにあるのであろう。オレらの前にないのが、逆に目立ってしまうほどの密度である。
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