Re‘AngelBody=SoCute!! ~タルトと土操兵とリハビリ天使~

鴛海 好明

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Story_1:タルト=チェット=レックスという少年

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Re‘AngelBody=SoCute!!

はじまりのおはなし。

 そらにはてんしさまがおられます
 じごくにはあくまがいます

 あくまはかしこくつよくざんこくで
 てんしさまはたたかってあくまをたおします

 にんげんをまもってくださる
 かみのつかい

 でも、それだけのこころで
 てんしさまはいるようではないようなのです


* * *


Story_1:タルト=チェット=レックスという少年

「お師匠様、今日はどこの粘土を掘りますか?」

 僕はそうお師匠様に聞いてみた。

 ぼくは、タルト。フルネームは、タルト=チェット=レックスっていう、戦災孤児だったりする。
 でもさ、僕は運がいいんだ。お師匠様の、エルデス様が2歳だった僕を拾ってくれて。
 泣きわめく僕を育ててくれたから。
 エルデス様は実は、強壮な武断国家であるカルトネル王国の准将だった方で。
 実は、ぼくの村を滅ぼした国の軍事部隊、ゴーレムナイツの技術士官だった方で。

 僕を踏み潰すところだったアイアンゴーレムを【やめろ、鉄くずが】の一言で止めて。僕を拾ってくれた人。
 感謝なんかしてないだろうねって言われるけど。そんなわけないだろ。僕を育てるために将軍をやめちゃった人なんだから。

「おう、タルト。おめえ、目が肥えてきたじゃねえか。じゃあ聞くぞ? 粉粘土と生粘土。てめえだったら、傑作のゴーレムを作るときにどっちを選ぶよ? ふふふ」
「甘いっすよ師匠様。生粘土です」
「へえ? ファイナルアンサー?」
「へへへぇ。んで、リバース。本当は粉粘土です」
「ふうん? 生粘土のほうが強いぜ? 素材としてはよ? 霊力を持っているからなあれ? お前また間違えたな?」
「へっへ? そんなわけないっしょ? にやにやしちゃってさ。強い素材は弱い力を感じ取れない。師匠はこの前僕にそう教えちゃったからさ。騙されませんよ!」
「サール!! 大外れだボケ! おめえは生粘土舐めてんのか? 粉粘土の比じゃねえとんでもねえパワー出る素材を無視する愚物かよ?」
「! うっ!!」
「ハイ宿題だ。頭ねじって苦しみな!!」
「うっが!!」
「三日後までに。素作のゴーレムを作ってこい。まあ、また俺のフィアスティッジに木っ端みじんにされるだけだろうがな!! かっはっはっは!!」

 ぐわー! むかつく師匠! 一回しか僕の作ったゴーレム認めたことないしこの人! いつも、自分の自慢の赤い甲冑のゴーレム、フィアスティッジで僕のゴーレムを試して。何体木っ端みじんにしてきたことか!!

「さて、ヒントいっこやるぞ。一回しか言わねえからな? よく聞いとけ!」
「はい!」
「マヨネーズ!!」
「うっわ! 意味わかんねえ!! でもなんか意味あるんだよ! こういう意味わかんないのこそ!!」
「げらげらげら! よーく考えな! 滝の水で頭冷やしてよ!!」
「うぬーぐー!! また僕の工房にこもりまっす!」
「散歩はしねえとよ? ドタマ腐るぞ! じゃあいけ!」
「はい!」

* * *

「うむぬん! よーく考えろってな、僕」
「師匠のフィアスティッジは、なんだろうあれ」
「生粘土にしては動きが繊細、粉粘土にしてはパワーありすぎ」
「なんだあれっていつも思うんだよね」

 さて、僕は自分の工房でぶつぶつぶつぶつ念仏みたいに自分の考えを口にする。これ大事。言葉は口に出して声にすると錬磨されるからねー。

 僕は自分のメモノートを開く。馬鹿みたいにいろんな鉛筆書きの書付けがあるけど。この馬鹿膨大な50冊のノートは、師匠が見て「いかれた量だな」「まあいいんじゃないか? そのほうが」って謎言を投げつけてきた代物だけどね。
 そのノートのページの中から、ある項目を探し出す。
【強人工筋肉組織組成用の生粘土と、神経電気伝達物質の粉粘土の特性について】ってところ。

「えーっと、霊力伝導稼働熱を持つと灼熱して赤色変化する、生粘土と。心力を通すと青く光って霊力を発生させる、粉粘土」
「混ぜることはできるけど、濃度不均等になって、だいたいまだらな紫色になって腐る。なんだよなー」
「多分師匠って、これ均等に混ぜてるんだけど。どうやってるんだろ? 粉粘土はさらに砕けるけどさ。生粘土って砕くと霊力抜けるから、練るしかできないしなぁ……」
「なんていうかなんていうか。かんがえろって僕!」
「言っちゃうとあれなんだよな。燃える火と氷をくっつけるみたいな……。油の糊でもあればできる発想でさぁ。うーん……」

ごごごごごごごーんと。頭の使い過ぎで脳みそ煮えそう。師匠に言われたように、裏山にある飲んだり浸かったりするとめっちゃ落ち着く滝の水でも浴びないと収まりそうにないぞこりゃ!

「いかーん!  手ぬぐい持って裏山にゴー!!」

ってわけでいつも粘土を掘ってる裏山のエスピリース山に向かうよ!

* * *

「うにゃっぽ。あたまひえひえ、おちつくわー」
どぼどどどどどどどーと、滝の支流のちっちゃい一流れを頭に打たせながら、岩盤のうえで滝行してるよ!

って思ってると発見発見! 師匠がなんかこっち見てにやにやわらってはなれたところからみてて、おもむろに大声を張り上げた!

「イッツ・ビネガー!!」

おおおお、全くもって! 意味わかんないこと怒鳴る師匠だなぁ!

「おいタルト。上見てみろ!」

ん? 師匠が親指立ててそんなこと言うけど何?

「うえ? うええええええ! 山猿のボスのババル! やめろくるなあ!」

うっぎゃあ! 暴れ者で困ったやつの山猿のババルが! また機嫌を損ねて暴れてて。僕にとびかかってきた!

「ほぎいいいいいいいいいい!」

うっがああああん? ババルがキレてる! また食いモンないのかよ、このおさる!

「タルト! 男なら戦え! 敵は野生のおさる!」

うっぎゃあ! 師匠性格悪い! おなか抱えてゲラゲラ笑ってるぅ! いっつも最悪! そんなことしている間にも、ババルはおさるスクラッチを放ってくる!! あれはバイキンついてるから絶対食らうな僕!

「タルト! 柑橘類はおさるに特攻だぞ! もいで投げつけろ!」

笑いまくってデタラメ言うな師匠ぉー! ババルはミカンとか大好物だぞー!

「タルト! お前は人類! お猿に負けていいのか?」

急に真剣な声でそう言ってくる師匠! む! 確かにそうだ! 行くぞ僕!  VSおさる!
僕は、そこらに生えてる大きなミカンの木に登り始めた! あ! あれ? 実がない!! ババルに投げつけようと思ってた、ミカンの実が一個もない!

「まあ、でかいサルが登れるでかい木のミカンがおサルたちの食い過ぎで全滅して。残ってないからババルはおなかすかせておなかをすかせて暴れているのだ! という仮説あり! どうするタルト?」

いやさ師匠! それよりババルのアドレナリンリミットがやばい!! すごいおなかすかせてアンガーアンガー!! このままじゃ、僕のいる枝まで、幹を上ってきてるババルのEXPになっちゃうぞ僕!!

「ぬわあああああ! 窮ずれば通ずるジャンプ! てはー!!」

ってわけで僕は隣の小さめのミカンの木にジャァーンプ! 成功! やるぜ僕!!
 そして案の定! この小さめのミカンの木には実がいっぱい!! 滝の近くの崖の周りに生えてるミカンの木だから、ババルみたいな大おサルが登ったら、えだが折れて崖に落っこちるからだな、あいつが登らなかったのは! おっし、みかんブレット補充! 投擲開始ぃー!!

「くらえー! みかんガトリンガー!!」

 おりゃりゃりゃりゃー!! 僕は五秒間に計二十個のミカンをババルに投げつけたあ!!
しかーし! ババルはよけようともせずに! 素早い動きで僕の投げたミカンをキャッチ&キャッチャード! おのれやるな!

 しかし、戦いはそこまでだった!
ババルはにやりと笑うと突如エスケープ! なぜだ?

「そりゃまあ。餌を手に入れたからじゃないのか? くぷぷぷぷ!」

何がおかしいかこの師匠~!!

「つまりおまえ、サルのエサ取りに利用されたわけだぞ? 人類少年!」

なんだよおう! 僕は猿に転がされる程度の知恵しかないって言ってんの師匠?

「……でな、タルの字。そこの崖から下を見な」

 ん? お師匠妙に神妙な顔?

「……ババル、と。……子ザルだ。ババル笑ってる。噛んで含めて、出して子ザルにみかん食べさせてる……」

 崖の下の光景は、僕の目にはそうみえた。

「騙されてよかったな! タルト!」

 にやにやにやと笑ってそういう師匠。このやろう!

「うん。最初から僕は分かっていて、ああしたのさ!」

 って言ってやると!

「ナイス・アンダースタンド! よし、帰るぞ!」

 そんなこと言って僕の頭をひっぱたいて工房のほうに歩いていく師匠だった。
むろん、弟子の僕はついていくのさ!

                           一話 end
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