白銀

君にあげるキムチなんて無い

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白銀

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 「1週間後って空いてる?」
 そう幼馴染みの女子からメールが届いたのは2月7日の事だった。

 何年も連絡を取っていなかった子からの連絡だったので、僕は少し戸惑った。しかし無視は出来ない。
 だから僕は「うん、空いてるよー」と応えた。

 すると彼女は「その日の午後、銀座で会えないかな?」と返信してきた。
 正直「いきなり午後に銀座?面倒だなあ」と思ったが、気分を害したくなかったので「オッケー」と応えた。


--------------------


 この日は雨が強く、とても騒がしかった。
 どう頑張っても、僕にはこの状況を前向きに捉えることが出来なかった。

 「お待たせ~」
 僕の身体が冷え切った頃に彼女はやって来た。

 「お、おう。久しぶり」
 不覚にも、彼女の垢抜けた姿に火照ってしまった。

 「アンタ、なんにも変わってないね」
 「うっせーよ。お前が変わりすぎなんだろ」
 「は?大体みんなこれくらい変わるもんなの。
もうちょっと身なりに気を遣った方が良いんじゃない?」

 都会でする会話じゃない。それは分かっていた。
 しかし、無駄に白熱してしまった。

 でも、楽しかった。


 やり取りが少し落ち着いたところで、僕は彼女が手に持っていた、洒落た紙袋に目を向けた。
 「そ、それは何なの」
 「あ、これは、チョコよ。チョコ!バレンタインの!」
 「そうか、今日バレンタインか。ありがとう」
 「ちょ、そんな軽いの!?」
 「い、いや、まあ」

 雑踏の中でするこんな会話が心地良かった。
 ただ、早くも彼女はどこか別の場所へ行きたそうだった。


 そんな秘めた想いを彼女は、自身の手から僕の手に伝えてきた。
 そして、その勢いに任せて僕は彼女と夜の街へと消えていった。










 数時間後、あるラブホテルの一室で薬莢が華やかに落ちた。
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