1 / 11
1
しおりを挟む
はじめて彼女を見たときの衝撃は、紘一の中からずっと出て行かず、ぐるぐると渦巻いては熱い炎を噴き上げていた。
小さな舞台で踊る彼女。飛び散る汗と、羽衣のごとく脱ぎ捨てられていく衣装。さらされた白い肌に、紫とピンクの照明がまだらの模様を描く。
あの晩、酔っぱらった職場の先輩に連れられてストリップバーを訪れた紘一は、いかにもいかがわしいバーの雰囲気に辟易し、店の隅のカウンターで水割りのウイスキーを啜っていた。どうしても付き合え、と言い張って紘一をここまで連れてきた先輩は、隣でうとうとと舟を漕いでいた。
ワンステージだけ見たら、それで先輩への義理は果たしたと思って、先輩を起こして店を出よう。
そう心に決めた紘一は、好きでもない酒を舐めながら、斜め前にある小さな舞台を見るでもなく眺めていた。
まずはじめに、はたちになってもいないのではないかと思われるような、短い髪の少女が舞台に上がった。身に付けた衣装はセーラー服を模していたけれど、それが女学生と言うよりは水兵さんに見えるくらい、はつらつとした印象の、痩せた少女だった。少女は快活な音楽に合わせて活き活きと踊り、衣装を順々に脱いで裸になっていく。舞台にはかぶりつきで見ている男も何人かいて、紘一は、そんな男たちの情熱が理解できないまま、ぼんやり酒を流し込んでいた。
二人目に舞台に上がったのは、30過ぎくらいだろうか、ふっくらとした身体と衰えの見えない肌をした、とにかく色っぽい女だった。衣装は幾重にも重ねられた花魁風で、その大げさな装束が浮かないくらいに、舞台映えする女だった。女は、ゆったりとしたジャズに合わせて身体を揺らし、世界中の男を誘惑するみたいな目をして肌をあらわにしていった。かぶりつきの男はさっきの少女の時よりずっと増えていて、紘一も少しだけ、かぶりつきの気持ちが分かった気がした。
そして、最後に舞台に上がったのが、彼女だった。はじめの少女のように若くもなく、次の女のように色っぽくもない、20代半ばくらいの女だった。はつらつとした明るさも、世界中の男を誘惑するみたいな色気もなかった。なのに、かぶりつきの男たちの数は増え、その視線にも、女の肌に突き刺さるのではないかと思うくらいの鋭さがあった。なぜだろう、と、紘一は不思議に思った。不思議に思って、軽く首を曲げて正面から女の舞台を見やった。その瞬間、彼女が踊りだした。
小さな舞台で踊る彼女。飛び散る汗と、羽衣のごとく脱ぎ捨てられていく衣装。さらされた白い肌に、紫とピンクの照明がまだらの模様を描く。
あの晩、酔っぱらった職場の先輩に連れられてストリップバーを訪れた紘一は、いかにもいかがわしいバーの雰囲気に辟易し、店の隅のカウンターで水割りのウイスキーを啜っていた。どうしても付き合え、と言い張って紘一をここまで連れてきた先輩は、隣でうとうとと舟を漕いでいた。
ワンステージだけ見たら、それで先輩への義理は果たしたと思って、先輩を起こして店を出よう。
そう心に決めた紘一は、好きでもない酒を舐めながら、斜め前にある小さな舞台を見るでもなく眺めていた。
まずはじめに、はたちになってもいないのではないかと思われるような、短い髪の少女が舞台に上がった。身に付けた衣装はセーラー服を模していたけれど、それが女学生と言うよりは水兵さんに見えるくらい、はつらつとした印象の、痩せた少女だった。少女は快活な音楽に合わせて活き活きと踊り、衣装を順々に脱いで裸になっていく。舞台にはかぶりつきで見ている男も何人かいて、紘一は、そんな男たちの情熱が理解できないまま、ぼんやり酒を流し込んでいた。
二人目に舞台に上がったのは、30過ぎくらいだろうか、ふっくらとした身体と衰えの見えない肌をした、とにかく色っぽい女だった。衣装は幾重にも重ねられた花魁風で、その大げさな装束が浮かないくらいに、舞台映えする女だった。女は、ゆったりとしたジャズに合わせて身体を揺らし、世界中の男を誘惑するみたいな目をして肌をあらわにしていった。かぶりつきの男はさっきの少女の時よりずっと増えていて、紘一も少しだけ、かぶりつきの気持ちが分かった気がした。
そして、最後に舞台に上がったのが、彼女だった。はじめの少女のように若くもなく、次の女のように色っぽくもない、20代半ばくらいの女だった。はつらつとした明るさも、世界中の男を誘惑するみたいな色気もなかった。なのに、かぶりつきの男たちの数は増え、その視線にも、女の肌に突き刺さるのではないかと思うくらいの鋭さがあった。なぜだろう、と、紘一は不思議に思った。不思議に思って、軽く首を曲げて正面から女の舞台を見やった。その瞬間、彼女が踊りだした。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる