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2回目
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コウちゃんとちょっとエッチな雰囲気になった二回目は、真昼の公園でだった。午後12時半。時間もはっきり覚えている。私とコウちゃんは、公園のベンチに腰を引っかけて、夢菜を待っていた。
夢菜は、恋人に話をつけに行っていた。その恋人はまっとうな勤め人で、その仕事の昼休みの時間だった。だから、午後12時半。まっとうな勤め人氏には、奥さんがいた。そこまでは、いつもの夢菜の恋人といった感じだ。ただ、いつもと違ったのは、そのひとには子どももいたというあたりだ。夢菜はそれを、勤め人氏の奥さんからの電話で知ったらしい。
「けじめをつけなくちゃ。」
夢菜は、私とコウちゃんにそう言った。けじめ、なんて、夢菜らしくない言葉遣いだったし、思いつめたような表情も、夢菜らしくなかった。
「いってらっしゃい。」
と、私の家にいた私とコウちゃんは、銘々の家に散り、明日か明後日にまた集まって夢菜の報告を聞くつもりで返した。でも、夢菜は強引に私とコウちゃんを真昼の公園に引っ張り出した。誰かいてくれないと、きっと逃げてしまう、と言って。真昼間の公園を選んだのも、同じ理由らしかった。夜では、自分の家や、居酒屋や、ましてやホテルでは、逃げてしまうからと。
広い公園だった。テニスコートもプールもある。その中のどこかで夢菜は別れ話をし、私とコウちゃんは、ぼんやりベンチに引っかかっている。夢菜はほとんど毎日、勤め人氏の昼休みにはこの公園に来て、一緒に昼ごはんを食べていたらしい。
「いい天気だね。」
うんざりしたみたいに、コウちゃんが言った。
「ね。」
私もうんざりして返した。
春の初めだった。うっとうしいほど透明の日差しが、そこらじゅうにいっぱい降り注いでいた。私も夢菜もコウちゃんも、普段、昼間はあまり外に出なかった。自分たちが、まっとうな大人ではない、と思い知らされる時間だからだろう。社会がきちんと動いている時間。子どもも大人も、自分たちのいるべき場所に収まって、するべきことをしている時間。
「夢菜はすごいね。」
コウちゃんが言った、すごい、とういうのは、夢菜がけじめをつけに行ったことではなくて、こんな真昼間に毎日、まっとうな勤め人とランチなんかしていたことに対してだと、私には声のトーンで分かった。
「ね。」
手の上に手をかざして日差しをさえぎりながら、私は適当な相槌を打った。
夢菜はすごい。こんないい天気の日に、公園でまっとうな勤め人とランチなんか、私にはできない。
夢菜は、恋人に話をつけに行っていた。その恋人はまっとうな勤め人で、その仕事の昼休みの時間だった。だから、午後12時半。まっとうな勤め人氏には、奥さんがいた。そこまでは、いつもの夢菜の恋人といった感じだ。ただ、いつもと違ったのは、そのひとには子どももいたというあたりだ。夢菜はそれを、勤め人氏の奥さんからの電話で知ったらしい。
「けじめをつけなくちゃ。」
夢菜は、私とコウちゃんにそう言った。けじめ、なんて、夢菜らしくない言葉遣いだったし、思いつめたような表情も、夢菜らしくなかった。
「いってらっしゃい。」
と、私の家にいた私とコウちゃんは、銘々の家に散り、明日か明後日にまた集まって夢菜の報告を聞くつもりで返した。でも、夢菜は強引に私とコウちゃんを真昼の公園に引っ張り出した。誰かいてくれないと、きっと逃げてしまう、と言って。真昼間の公園を選んだのも、同じ理由らしかった。夜では、自分の家や、居酒屋や、ましてやホテルでは、逃げてしまうからと。
広い公園だった。テニスコートもプールもある。その中のどこかで夢菜は別れ話をし、私とコウちゃんは、ぼんやりベンチに引っかかっている。夢菜はほとんど毎日、勤め人氏の昼休みにはこの公園に来て、一緒に昼ごはんを食べていたらしい。
「いい天気だね。」
うんざりしたみたいに、コウちゃんが言った。
「ね。」
私もうんざりして返した。
春の初めだった。うっとうしいほど透明の日差しが、そこらじゅうにいっぱい降り注いでいた。私も夢菜もコウちゃんも、普段、昼間はあまり外に出なかった。自分たちが、まっとうな大人ではない、と思い知らされる時間だからだろう。社会がきちんと動いている時間。子どもも大人も、自分たちのいるべき場所に収まって、するべきことをしている時間。
「夢菜はすごいね。」
コウちゃんが言った、すごい、とういうのは、夢菜がけじめをつけに行ったことではなくて、こんな真昼間に毎日、まっとうな勤め人とランチなんかしていたことに対してだと、私には声のトーンで分かった。
「ね。」
手の上に手をかざして日差しをさえぎりながら、私は適当な相槌を打った。
夢菜はすごい。こんないい天気の日に、公園でまっとうな勤め人とランチなんか、私にはできない。
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