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しおりを挟む【河上 春】
握手した瞬間、未来が視えた。
『やる気のねぇケツしやがって。誰のために拡げてやってると思ってんだ? 入れるこっちも大変なんだぞわかってんのか!? さっさとケツ上げろ!!』
罵声を浴びせながら、手形で赤く染まる尻を撫で回す男。痛みと恐怖に顔を歪め、四つ這いで高く曝された尻穴へと極太の玩具を無理矢理捩じ込まれながら『無理です』『ごめんなさい』と涙ながらに許しを乞うのは……俺だった。
「……勘弁して……」
「ハル君? どうかした?」
バチッ! と視界が切り替わると、同一人物とは思えない優男風の姉の彼氏が名残惜しげに揉んでから握手を解いた。鳥肌全開なんだが。
実際に尻をどうにかされてしまったような感覚が残る。動揺を悟られないように、俺は慣れない愛想笑いをしながらテーブルの下で手汗を拭き、姉と彼氏のお邪魔虫にならない様にお待ちかねの元祖苺ショートケーキに気持ちを切り替えた。うまい。程よい甘さが胃に染み渡る。
「またね、ハル君」
二度と会いたくない。
姉と一緒に喫茶店で男を見送る。ダメだこりゃ。
「……どうよ?」
「姉ちゃんさぁ、後ろ狙われてない?」
「わぉ。相変わらず当たるわねぇ~最近やけに触ってくると思ったら、そっち?」
「拡張へのこだわりヤバいって。キレると暴言吐きながら尻ぶっ叩くから気をつけなよ」
「……ありがとね。ハル」
「ないわー」とぼやく姉。
今回の彼氏ともこれっきりだな。さっき視た未来像を思い出してうんざりした。何でヤられ役が姉ちゃんじゃなく俺なんだよ? 初対面なのにおかしいだろ!
*
中一の夏、俺は保健室のベッドで特殊能力に目覚めた。突然だった。保険医の男に手を握られながら、幻覚というにはリアルすぎる光景を視たのは。
熱で火照る俺の身体を這いずり回る骨張った大きな手に急所を掴まれ、望まない射精を強いられながら動画で撮られた。整った顔で笑いながら耳元で囁かれる脅しの言葉。
汚れたシーツを虚ろな表情で見つめる自分の姿が、ぐにゃりと歪んで消えた。
※ラスト(本日中)まで予約投稿しました。
お楽しみ頂けたら嬉しいです
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