拗れた性癖お断りっ!

ぴよ

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      三和の第一印象は強烈だった。

『桜の花びらついてるよ?』
『えっ……どこ、』
『取ってあげる』

 入学式。
 隣に並ぶ三和を初めて見た時、美人という言葉が真っ先に浮かんだ。

 誰かに見惚れるという体験を、生まれて初めてした。

 個々の顔パーツを強調しているシャープな輪郭の綺麗さや、切れ長なのに可愛い目、鼻も高く、取ってくれた花びらを見て上がる口角の均一さや、柔らかそうに流れる上品なミルクティー色の髪も優しげな雰囲気も全てがこの男にベストマッチしていた。見るからに頭も良さそう。

 こいつ……ヤバそう。

 いかにもって感じだ。俺は散々学んできたから分かる。こういうやつに限って、アレなのだ。
 極力関わらない方がいいなと内心思いつつ、礼を言ってさよならしようと思ったら。

『俺と友達になってよ』

 まさかの友達志願がきた。驚く俺に自己紹介をした後、三和が満面の笑顔で手を握ってきて。

『ぅ ぁ ッ』

 まずいと思った瞬間発動してしまった未来予知能力。そこには、真っ赤な夕焼け空の海岸で三和と熱い抱擁を交わす俺がいた。はっ?

 耳元にかかる吐息がくすぐったくて熱い。何回言っても足りないやと、照れ笑いしながら愛を囁き続ける三和に身悶えながら顔を上げる俺、おい俺気持ち悪いぞ正気か? 待て、顔が近すぎる……あ、えっ!? ちょ、待て、嘘ぉ──!?

 キス、しちゃったんですけど……。

『ハル、大丈夫?』
『はッ!?』

 現実に戻ると、三和の綺麗な薄茶色の瞳に動揺しまくりの俺が映っていてわけがわからなかった。

 その後、俺はやたらと三和に気に入られた。眉目秀麗頭脳明晰の爽やか王子が、何で真逆タイプの俺とそんなに仲良くなりたいのかという謎は数日後に解明。

 早くもファンクラブを結成したらしい女子陣からの羨望の視線を浴びながら、机くっつけて三和と弁当食ってる時に。

『ハル、大好きだよ』
『へ?』

 告白された。静まり返る教室内。ポトッと、俺の箸からトマトが転がり落ちた瞬間だった。


『ごめんね、言っちゃった』と、形の良い眉を下げて照れ笑いする三和に。心臓も頭ん中もぶっ飛びそうになりながら『友達、的な?』と聞き返すと『恋愛的じゃダメ?』と逆質問されて思考が死んだ。

 落っことしたトマトの代わりに、三和が卵焼きをくれたのはかろうじて覚えてるけど、その後の記憶は曖昧だ。返事は未だ保留になってる。

 三和は俺がこれまで視てきた男達とは違う。
 いい奴だ。優しくてかっこよくて、俺を本当に大事に想ってくれてるんだって、手を握られる度に思う。嫌いになる要素が一つもない。

 けど。

この能力を隠してる後ろめたさや、三和の気持ちに応えた後の事を考えると不安になる。

 あんなヤバい男達に乱暴に抱かれながら無様に喘いでしまう俺を知ったら、三和にドン引きされるんじゃないかって思うと……怖くなる。

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