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さくらさく
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僕のお店でランチタイムにホールを担当しているかおるさんにはさくらというひとり娘がいる。
夕方からのホール担当のありすのクラスメイトだ。
かおるさんの母親は日本舞踊の師範として近郊で教室を開いている。
若い頃かおるさんは躾の厳しい母に対して反発していて、高校卒業と同時に家を出て住み込みで働き出した。
そしてそこでご主人と知り合い結婚したのだそうだ。
さくらを妊娠した時、周りに頼れる人がいなくてかなり苦労したらしい。
そしてさくらが生まれた時に報告だけはしておこうと実家へ行くと両親の態度が一変し、孫に会いたいと懇願されたそうだ。
そんなことがあって今は実家との関係は良好でさくらは祖母が開く日本舞踊の教室へ通うようになっている。
「ではさくらさん、お手本をおねがいします」
ラジカセから流れる和楽器の音色に合わせてさくらが舞いはじめた。
さくらの祖母の教室は主に小中学生向けなので高校生のさくらは助手として参加しているが、
本人は師範の資格を取るつもりで大人向けの教室にも参加しているので大変なのだそうだ。
それでもありすと遊ぶ時間も大事にしている、今日もお店の隅の席で二人してなにやら盛り上がっていた。
「ねぇ、次のイベント何のコスにしようか?」
「そうねぇ、二人で合わせられるのがいいねぇ…」
「そだねーせっかく二人で出るんだもんね…」
「ちょっとかっこいいのしたいなぁー」
「えーっカワイイのにしようよー」
二人でコスプレの話をしている時は本当に楽しそうだ。
「そうだ!忘れてた」
さくらが急に立ち上がって鞄の中を探しはじめ、なにやらチラシのようなものを出してきた。
「今度うちの流派の発表会があるんです、わたしも出るのでよかったら見に来ていただけませんか?」
渡されたチラシには街の市民ホールで開催されると書いてあり、日程もお店の休みと重なっている。
「お店が休みの日だから行けそうだね、まどかさんと相談してみるよ」
「よろしくおねがいします‼︎」
家に帰ってまどかさんにチラシを見せると、
「いいわねぇ、日舞にはわたしも興味あるから行きましょうよ」
「わかった、さくらちゃんも喜ぶよ」
そして発表会の当日、ありすも一緒に市民ホールへ向かった。
日本舞踊の発表会だけあって着物姿の女性が圧倒的に多い、連れの男性も着物姿の人がチラホラ見受けられる。
「男の着物姿って良いもんだね、一度着てみたいな」
「あなたけっこう似合いそうよね、レンタル衣装屋さんに頼んでみる?」
「いいかもね」
横でありすが見惚れている。
「きれいだなーわたしも着たいなぁ…」
「まどかさんに頼んで今度みんなで着てみようか?」
「ぜひぜひー」
やがて開始を告げるアナウンスが流れた。
客席は7~8割ほど埋まっていた、同じ流派の近隣の教室との合同の発表会らしくけっこうな人数だ。
そしてさくらがステージに上がった。
着物姿のさくらはいつもより大人びて見える。
「わぁー、さくらかわいい…」
「きれいねー」
さくらが舞い終わるとひときわ大きな拍手が起こった。
発表会が終わってホールの外に出るとかおるさんがいた。
「来てくださってたんですね、ありがとうございます」
「さくらちゃん、きれいでしたよ」
「喜ぶと思います、さくらに伝えておきます」
「かおるさんもあのくらいの時は出てたんですか?」
「わたしは辞めちゃったので発表会には出ませんでしたが、さくらが出てくれたので満足です」
そう言ってかおるさんは嬉しそうに笑った。
さくらさく <了>
夕方からのホール担当のありすのクラスメイトだ。
かおるさんの母親は日本舞踊の師範として近郊で教室を開いている。
若い頃かおるさんは躾の厳しい母に対して反発していて、高校卒業と同時に家を出て住み込みで働き出した。
そしてそこでご主人と知り合い結婚したのだそうだ。
さくらを妊娠した時、周りに頼れる人がいなくてかなり苦労したらしい。
そしてさくらが生まれた時に報告だけはしておこうと実家へ行くと両親の態度が一変し、孫に会いたいと懇願されたそうだ。
そんなことがあって今は実家との関係は良好でさくらは祖母が開く日本舞踊の教室へ通うようになっている。
「ではさくらさん、お手本をおねがいします」
ラジカセから流れる和楽器の音色に合わせてさくらが舞いはじめた。
さくらの祖母の教室は主に小中学生向けなので高校生のさくらは助手として参加しているが、
本人は師範の資格を取るつもりで大人向けの教室にも参加しているので大変なのだそうだ。
それでもありすと遊ぶ時間も大事にしている、今日もお店の隅の席で二人してなにやら盛り上がっていた。
「ねぇ、次のイベント何のコスにしようか?」
「そうねぇ、二人で合わせられるのがいいねぇ…」
「そだねーせっかく二人で出るんだもんね…」
「ちょっとかっこいいのしたいなぁー」
「えーっカワイイのにしようよー」
二人でコスプレの話をしている時は本当に楽しそうだ。
「そうだ!忘れてた」
さくらが急に立ち上がって鞄の中を探しはじめ、なにやらチラシのようなものを出してきた。
「今度うちの流派の発表会があるんです、わたしも出るのでよかったら見に来ていただけませんか?」
渡されたチラシには街の市民ホールで開催されると書いてあり、日程もお店の休みと重なっている。
「お店が休みの日だから行けそうだね、まどかさんと相談してみるよ」
「よろしくおねがいします‼︎」
家に帰ってまどかさんにチラシを見せると、
「いいわねぇ、日舞にはわたしも興味あるから行きましょうよ」
「わかった、さくらちゃんも喜ぶよ」
そして発表会の当日、ありすも一緒に市民ホールへ向かった。
日本舞踊の発表会だけあって着物姿の女性が圧倒的に多い、連れの男性も着物姿の人がチラホラ見受けられる。
「男の着物姿って良いもんだね、一度着てみたいな」
「あなたけっこう似合いそうよね、レンタル衣装屋さんに頼んでみる?」
「いいかもね」
横でありすが見惚れている。
「きれいだなーわたしも着たいなぁ…」
「まどかさんに頼んで今度みんなで着てみようか?」
「ぜひぜひー」
やがて開始を告げるアナウンスが流れた。
客席は7~8割ほど埋まっていた、同じ流派の近隣の教室との合同の発表会らしくけっこうな人数だ。
そしてさくらがステージに上がった。
着物姿のさくらはいつもより大人びて見える。
「わぁー、さくらかわいい…」
「きれいねー」
さくらが舞い終わるとひときわ大きな拍手が起こった。
発表会が終わってホールの外に出るとかおるさんがいた。
「来てくださってたんですね、ありがとうございます」
「さくらちゃん、きれいでしたよ」
「喜ぶと思います、さくらに伝えておきます」
「かおるさんもあのくらいの時は出てたんですか?」
「わたしは辞めちゃったので発表会には出ませんでしたが、さくらが出てくれたので満足です」
そう言ってかおるさんは嬉しそうに笑った。
さくらさく <了>
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