花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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拝み屋、来たる<2>

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翌朝、僕はいつも通りの時間に起きたけれどまだ身体が思うように動かないので結局学校は休むことにした。

にあはかいがいしく僕の面倒を見てくれている。

「たけると長く一緒にいられるのがうれしい」

にあは嬉しそうに言ったが僕はまだ体の痺れが残っているのでのんきなことを言ってられない。

夕方になってようやく動けるようになって階下に降りると母さんが言った。

「たける、一度にあちゃんを連れてかずまと一緒に実家に行きなさい」
「どうして?」
「かずまがちゃんと実家に帰るかお目付役とにあちゃんとのこれからのことも話しなきゃいけないからね」
「わかった」

母さんの実家は隣町の海辺にある神社で棄てられていたお社をひいおじいちゃんの代に再興させたものだそうだ。

交通の便が良くないので周りには手付かずの自然が残る場所で僕も子供の頃はよく遊びに行っていた。

数日後、僕たちは隣町に向かう電車に乗っていた。

かずま叔父さんは不服そうだったが僕とにあはワクワクしていた。

「にあの住んでた山よりもっと自然いっぱいの場所だよ」
「そうなのか、楽しみだな」

最寄駅からは2時間に一本しかないバスに乗った、しばらく走ってバスは神社の前のバス停に着いた。

「にあ、着いたよ」
「すごくいい場所だな」

参道を歩いて行くと巫女装束の女の人が掃き清めていた。

僕たちに気がつくと手を止めて駆け寄ってきた。

巫女として奉仕しているちぐささんだった。

「たけるくん、久しぶりね」
「こんにちは、ちぐささん」
「あら?可愛い猫ちゃんね」
「にあだよ、今一緒に住んでる」
「ふふっ、そうなんだ」

そしてちぐささんはかずま叔父さんがいるのに気が付いて言葉を詰まらせた…

「かずまさん…」
「やぁ、ちぐさ…」

かずま叔父さんは気まずそうに手を挙げた。

そして叔父さんに駆け寄って行ったちぐささんは平手で頰を叩いた。

パーン!

「このバカ!うちがどんな気持ちで待ってたか知らんで…」

そう言ってちぐささんは涙を浮かべてかずま叔父さんに抱きついた。

「ちぐさ…ごめんな…」

叔父さんは泣きじゃくるちぐささんの肩をやさしく抱きしめていた。

そして僕とにあは社務所へ向かった。

「たける、気づいたか?あのちぐさという巫女…」
「うん、前から気にはなっていたけど、今日会って確信したよ」
「おそらくは狐が変化へんげしたものだろうな」

そう、ちぐささんに感じていた違和感、
そして僕自身のる力がにあと接することで強くなっている気がする。

ここまできたらもう何も驚くことはない、そう僕は思っていた。

そして参道を上り切ると拝殿が見えてきた、社務所はその脇にある。

呼び鈴を鳴らすとおじいちゃんが出迎えてくれた。

「たける、遠いところご苦労だったね」
「おじいちゃんお久しぶりです」
「その子だね、ひとみから電話でだいたいの話は聞いてるよ、さぁ中にお入りなさい」

僕たちは社務所の中へ入った。



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