悪役令嬢が人生最後の瞬間まで笑う為の奮闘物語~王国編~

柴澤 絆

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プロローグ

私は幸せだった......はず!!

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現代はなんて幸せなものに溢れているのだろう。


なんて馬鹿みたいに寒空の下白い息をはきながら思う。私は羽根 悠菜。25歳、独身、ゲームオタク、平凡、、

そう、これが私なのだ。今日も今日とて仕事帰りの疲れた体にムチ打って肌を刺す寒さを耐えながら列に並ぶ。



今日は兄の隼人に頼まれ、私も楽しみにしていたゲームの発売日!寒さなんかにまけてられっか!!これを乗り越えこのゲームを手にした者だけが味わえる至福のひと時のためになら、私はやれる!並べる!待てる!2ヶ月もこの時をまったのだ!ぜっっっいに!持って帰るぞ!!兄よ!しばし待たれよ!!


何故こんなにも必死なのかというと、それは簡単だ。私と兄はゲームオタクなのだ!ジャンルはあまり関係ない気がするが好みが似てるので一緒にやる事が多い。多分兄妹仲はとてもいいと思う、兄は頭もよく運動も出来るし学生時代は高成績で運動神経抜群で生徒会なんかもやっていた。親はそれだけに期待し小学生から塾に行かされてた。


別に押し付け教育とかではない!親なりに出来るならその使い道を増やせるだろうと色々とやらせただけだし、兄も期待されているからそれに応えてしまった。


兄は今でも言っている。事あるごとに。ぶつぶつとつぶやく。
「失敗した......失敗した......失敗した......失敗した......」

兄も平均さえとっておけば親も何もいう事もなかったし、がんばる必要もなかった。

いや、今思えばよほどひどい点を取らなければ両親も何も言わないしむしろ好きな事をやることに関してはやらなければならない事をしてればやらせてくれる親だ。それがゲームであっても読書であってもだ。


そして私を見てて兄はそれに気づいたのだった!私は小学生に上がる前から兄の影響でもうゲームにドはまりしていた、なのでゲームの時間を作るため勉強も運動も平凡を狙いに狙ってとっていた!そして悠々とゲームに興じていたのだ!!


兄みたいにやればやるだけ、のほほんとしたあの両親に、悪意なく追いつめられるそれを見ていて気づいていた。

なので私は平凡をめぜして学生時代はある意味がんばったのだった!


あーもー寒いし暇だし待ちきれないし早く順番来ないかなーっとボーーーーっとしている間に私の番が来た!
よし!さっさと帰って兄にこのゲームを貢いで機嫌をよくして明日にでもケーキくらい買わせよ!!


そんな事を考えながら結構な早足で自宅に帰る、スマホゲーを片手間にしながらあともうちょいあともちょいだと自分に言い聞かせて、冷えた足元でがんばる。

帰ったら先にお風呂にはいらんとこれは風邪引くーー!くそーー!!さっむいいーー!とほんとにこの時は馬鹿みたいに考えていた......


 あーー、あの角曲がったら温かい我が家だーー!ついたぞーー!!

その時ドンっ!!と誰かにぶつかられ結構な衝撃の為こけた。

いてててててーーーーー!!
こいつなんだ!!いきなりぶつかってきやがってーー!!
なんかお腹がやけに痛いーーー!!
何故か声が出ない、思考はとまらないし文句も出てるのに言葉にならない


言葉にならない痛みに耐えてるとぶつかって来たであろう人物が
「フヒッ   フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
とプルプルと震えながらキモイ声で笑い始めた



ちょ!おまっ!キモーーーーーー!!!
なんだお前!こえーーーー!!!くそこえーーー!!!
何笑ってんだよ!なんだその笑い方!!だ、誰かーーたすけてーーー!!


相変わらずキモイ人物が笑い続けていて私はまだ起き上れていない、いや正確に言うと起き上がれない。
私はこの時にはもう自分の体がどうなってるか分かっていた、転んだだけなら受け身をとった手などが痛いだけのはず、なのにお腹がやけに熱く燃えてるように感じその他の部分がどんどん冷えていくのがわかった。


そう、刺されたのだ。たぶんぶつかった時のあのお腹への衝撃は刺された時の衝撃だった。

ダメだ......本格的にやばい。頭はさえてるのに体の感覚がお腹以外なくなってきた
自分の体の痛みに耐えていると


「あんたが悪いのよ? 隼人様に軽々しく近づくからよ?だって隼人様はみんなの隼人様なんだから!あなた程度の女が隼人様の部屋に立ち入ったりあまつさえ泊まったりなんて.....................それも毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日.....................許さないわ、絶対にね ふふふふふっ  自分がした愚かな行為を悔いながら死になさい!!」


痛みに耐える私に情緒不安定に叫んだり、笑ったり、語りかけるこの人は女の人だったのか、暗いし、服も黒いし目深に帽子をかぶってるので気付かなかった。

と言うか.............兄の女に間違われたのか!!

しかもこいつストーカーじゃん!!!てかそんなに見てたなら顔みろ!!似てんだろうが!!性別は違えど私たちはほんとに似てると近所でも有名だし!!しかも隼人様ってなんなの!!あのゲーオタに様までつける信者がいたなんて!!


しかも死ねって事は、本気で殺すつもりで待ち伏せしていたのだろう。

ミスったなぁ......こんな事ならお互い会社も近いし趣味部屋の為に二人で住もう!親にはもう楽させてあげよう!なんて馬鹿なこと言わなければ良かった........


ダメだ........もう意識が...........父よ、母よ、、すまんな。何故かモテる兄のストーカーに闇討ちされて先に行ってるわ。兄よこのゲームがあんたに届く事を願ってるわ、私の忘れ形見にこの大人気で予約しても毎作馬鹿並びしないと手に入らないこのエロゲーを残していくわ。兄さん、、いえ、お兄様!あの約束守ってよね!何かあった時はPCの中身を精査して全消去。あのフォルダーは残してはいけない!!!兄妹の約束よ!!絶対守ってよね!!


あ、ほんとにだめだわ.............
あんなに痛かったお腹もなんにも感じなくなった
体もふわふわしてきたし、眠たいわ........


あーぁ、やり残したゲームも読みたかった小説もまだまだ沢山あったのになぁ。
彼氏もできないまま消えてしまうんだなぁ。
死にたくないなぁ..............。


見開いたままの目から涙が止めどなく流れる。


最後に見た景色が自分の事を刺した女の足だった。

羽根 悠菜、25歳、寒さに震え恐怖に怯えながらその生涯を終えた。
最後に願ったのは。


神様 どうか、どうか もし次の人生があるなら。
私は手を抜かず必死で生きます。
なので、どうか、どうか、お願いです。


来世では最後は温かく笑いながら幸せだったと終われる最後に。。。



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