1 / 30
プロローグ
私は幸せだった......はず!!
しおりを挟む現代はなんて幸せなものに溢れているのだろう。
なんて馬鹿みたいに寒空の下白い息をはきながら思う。私は羽根 悠菜。25歳、独身、ゲームオタク、平凡、、
そう、これが私なのだ。今日も今日とて仕事帰りの疲れた体にムチ打って肌を刺す寒さを耐えながら列に並ぶ。
今日は兄の隼人に頼まれ、私も楽しみにしていたゲームの発売日!寒さなんかにまけてられっか!!これを乗り越えこのゲームを手にした者だけが味わえる至福のひと時のためになら、私はやれる!並べる!待てる!2ヶ月もこの時をまったのだ!ぜっっっいに!持って帰るぞ!!兄よ!しばし待たれよ!!
何故こんなにも必死なのかというと、それは簡単だ。私と兄はゲームオタクなのだ!ジャンルはあまり関係ない気がするが好みが似てるので一緒にやる事が多い。多分兄妹仲はとてもいいと思う、兄は頭もよく運動も出来るし学生時代は高成績で運動神経抜群で生徒会なんかもやっていた。親はそれだけに期待し小学生から塾に行かされてた。
別に押し付け教育とかではない!親なりに出来るならその使い道を増やせるだろうと色々とやらせただけだし、兄も期待されているからそれに応えてしまった。
兄は今でも言っている。事あるごとに。ぶつぶつとつぶやく。
「失敗した......失敗した......失敗した......失敗した......」
兄も平均さえとっておけば親も何もいう事もなかったし、がんばる必要もなかった。
いや、今思えばよほどひどい点を取らなければ両親も何も言わないしむしろ好きな事をやることに関してはやらなければならない事をしてればやらせてくれる親だ。それがゲームであっても読書であってもだ。
そして私を見てて兄はそれに気づいたのだった!私は小学生に上がる前から兄の影響でもうゲームにドはまりしていた、なのでゲームの時間を作るため勉強も運動も平凡を狙いに狙ってとっていた!そして悠々とゲームに興じていたのだ!!
兄みたいにやればやるだけ、のほほんとしたあの両親に、悪意なく追いつめられるそれを見ていて気づいていた。
なので私は平凡をめぜして学生時代はある意味がんばったのだった!
あーもー寒いし暇だし待ちきれないし早く順番来ないかなーっとボーーーーっとしている間に私の番が来た!
よし!さっさと帰って兄にこのゲームを貢いで機嫌をよくして明日にでもケーキくらい買わせよ!!
そんな事を考えながら結構な早足で自宅に帰る、スマホゲーを片手間にしながらあともうちょいあともちょいだと自分に言い聞かせて、冷えた足元でがんばる。
帰ったら先にお風呂にはいらんとこれは風邪引くーー!くそーー!!さっむいいーー!とほんとにこの時は馬鹿みたいに考えていた......
あーー、あの角曲がったら温かい我が家だーー!ついたぞーー!!
その時ドンっ!!と誰かにぶつかられ結構な衝撃の為こけた。
いてててててーーーーー!!
こいつなんだ!!いきなりぶつかってきやがってーー!!
なんかお腹がやけに痛いーーー!!
何故か声が出ない、思考はとまらないし文句も出てるのに言葉にならない
言葉にならない痛みに耐えてるとぶつかって来たであろう人物が
「フヒッ フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
とプルプルと震えながらキモイ声で笑い始めた
ちょ!おまっ!キモーーーーーー!!!
なんだお前!こえーーーー!!!くそこえーーー!!!
何笑ってんだよ!なんだその笑い方!!だ、誰かーーたすけてーーー!!
相変わらずキモイ人物が笑い続けていて私はまだ起き上れていない、いや正確に言うと起き上がれない。
私はこの時にはもう自分の体がどうなってるか分かっていた、転んだだけなら受け身をとった手などが痛いだけのはず、なのにお腹がやけに熱く燃えてるように感じその他の部分がどんどん冷えていくのがわかった。
そう、刺されたのだ。たぶんぶつかった時のあのお腹への衝撃は刺された時の衝撃だった。
ダメだ......本格的にやばい。頭はさえてるのに体の感覚がお腹以外なくなってきた
自分の体の痛みに耐えていると
「あんたが悪いのよ? 隼人様に軽々しく近づくからよ?だって隼人様はみんなの隼人様なんだから!あなた程度の女が隼人様の部屋に立ち入ったりあまつさえ泊まったりなんて.....................それも毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日.....................許さないわ、絶対にね ふふふふふっ 自分がした愚かな行為を悔いながら死になさい!!」
痛みに耐える私に情緒不安定に叫んだり、笑ったり、語りかけるこの人は女の人だったのか、暗いし、服も黒いし目深に帽子をかぶってるので気付かなかった。
と言うか.............兄の女に間違われたのか!!
しかもこいつストーカーじゃん!!!てかそんなに見てたなら顔みろ!!似てんだろうが!!性別は違えど私たちはほんとに似てると近所でも有名だし!!しかも隼人様ってなんなの!!あのゲーオタに様までつける信者がいたなんて!!
しかも死ねって事は、本気で殺すつもりで待ち伏せしていたのだろう。
ミスったなぁ......こんな事ならお互い会社も近いし趣味部屋の為に二人で住もう!親にはもう楽させてあげよう!なんて馬鹿なこと言わなければ良かった........
ダメだ........もう意識が...........父よ、母よ、、すまんな。何故かモテる兄のストーカーに闇討ちされて先に行ってるわ。兄よこのゲームがあんたに届く事を願ってるわ、私の忘れ形見にこの大人気で予約しても毎作馬鹿並びしないと手に入らないこのエロゲーを残していくわ。兄さん、、いえ、お兄様!あの約束守ってよね!何かあった時はPCの中身を精査して全消去。あのフォルダーは残してはいけない!!!兄妹の約束よ!!絶対守ってよね!!
あ、ほんとにだめだわ.............
あんなに痛かったお腹もなんにも感じなくなった
体もふわふわしてきたし、眠たいわ........
あーぁ、やり残したゲームも読みたかった小説もまだまだ沢山あったのになぁ。
彼氏もできないまま消えてしまうんだなぁ。
死にたくないなぁ..............。
見開いたままの目から涙が止めどなく流れる。
最後に見た景色が自分の事を刺した女の足だった。
羽根 悠菜、25歳、寒さに震え恐怖に怯えながらその生涯を終えた。
最後に願ったのは。
神様 どうか、どうか もし次の人生があるなら。
私は手を抜かず必死で生きます。
なので、どうか、どうか、お願いです。
来世では最後は温かく笑いながら幸せだったと終われる最後に。。。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる