Constellation Knight 〜私達の星春〜

Remi

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5節 逃げるか、逃げないか

第068話 間に合わない

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 屋上に続く扉の前でまー君から星座概念体の説明を聞いていたその時。
 遠くに聞こえる生徒の声に交じって、小さくだけど悲鳴が聞こえた。

 まー君は聞こえた感じから校舎内ではないと思ったみたい。
 私達の間をすり抜けて、屋上へ飛び出して行く。

 私達3人も慌てて後を追って、日差しがじりじりと降り注ぐ屋上に飛び出す。

 出たときは既に、まー君は手すりから身を乗り出して下を見ていた。
 私達も横に並んで、同じように屋上の手すりから身を乗り出して、下を覗く。

 すると、昨日の蠍座の概念体が地上で暴れているのが目に入った。
 部室棟側から食堂の方に移動しながら、とりあえず暴れてるって感じ。

 その光景を見た私は反射的に「あれ!昨日の!」と叫ぶ。

「噂をすると……ってやつか?」

 志郎《しろう》君がそう呟いたとき、視界の右端に違和感を覚えた。
 右を見ると、まー君はちょうど手すりを飛び越えた後だった。

 思わず私は「何してるの!?」と叫ぶ。
 同時に志郎君と智陽《ちはる》ちゃんの驚いてる声も聞こえる。

 だけどまー君は、私達の心配なんてよそに綺麗に着地した。
 そして、まー君の身体は光に包まれる。

 ……何あれ、どうなってるの?
 着地した時生身だったよね?まだ星鎧生成してなかったよね?

 混乱している間に光は晴れて、星鎧に身を包んだまー君の姿が見えた。
 まー君はそのまま蠍座に向かっていく。

 もしかして、おかしいのは私?普通はできるの?

 ……なんかもうわからなくなってきた。

 そんなまだ混乱している私の耳に、「お、俺達も行くぞ!」という志郎君の声が聞こえた。

 私は我に返って左にいる志郎君の方を向く。
 するとそんな志郎君も手すりを飛び越える準備をしていた。

「や、やっぱりそれで行くの!?」
「いや、普通無理だから。私達は階段で行くよ」

 そう言った智陽ちゃんは、既に屋上の校舎内への扉の側にいた。

 ……そうだよね。普通無理だよね。

 私は謎の安心感を覚えながら、駆け足で校舎内に戻った。

☆☆☆

 1階まで降りて、食堂近くの出入り口から校舎の外に出る。
 智陽ちゃんは危ないから、校舎内に残るみたい。

 そして、まー君はまだ蠍座と戦っていた。
 でも周りには、他に人の姿はない。

 とりあえず手伝うために私達もギアを喚び出して、生成したプレートをギアに挿し込む。

 そのとき。
 また沢山の澱みが湧き出した。

「昨日もこうだったよな!?」
「……ってことは!?」

 次の瞬間。辺りに風が強く吹いた。

 私と志郎君は腕で顔を守る。
 でも何が起こったかを知るために、薄目で辺りを見る。

 どうやら風はまー君が起こしたらしい。
 そして、「また邪魔しに来たのか」という声が聞こえてきた。

 風も収まったので、腕を下ろしてまー君が見ている方を見る。
 すると、ちょうどからす座が地面に降り立ったところだった。

「悪いね、山羊座君。でも……俺は俺の仕事をしに来てるだけなんだよね。
 まぁつまり……お互いがお互いの邪魔してるんだよね!」

 その言葉と同時に、からす座はまー君に突っ込んでいく。
 まー君はそれを避けて、水を生成して撃ち返した。

 そして、そこからまー君とからす座の戦いが始まった。

 まー君を手伝いたい。でも蠍座も何とかしないといけない。
 そもそも私達は澱みに囲まれている。
 
「とりあえず澱みから行くぞ!」

 志郎君の言葉に「だね!」と返して、いつもの手順を取る。

「「星鎧生装!」」

 その言葉と同時に、ギアの上部のボタンを押す。
 そして、2人の高校生は光に包まれる。

 光の中で、私の身体は紺色のアンダースーツと紺色と赤色の鎧に身を包む。

 そして、光が晴れる。

 晴れると同時に、私達は近くの澱みに攻撃を始める。
 殴って蹴って、襲ってくる澱みを避けて、攻撃して消滅させていく。

 そうやって、澱みを3体ほど減らしたとき。また悲鳴が響いた。

 悲鳴が聞こえた方を見ると、今度は梨奈《りな》ちゃんが蠍座に襲われて尻餅をついていた。

 蠍座ははじわじわと梨奈ちゃんに近づいていく。
 梨奈ちゃんは少し左足を庇いながらも、逃げようと後ずさっている。

 やっぱり蠍座に誰も行かないのは駄目だった。


 ……いや、さっきまで誰も居なかったのに何で梨奈ちゃんがいるの!?

 それよりもとりあえず、助けないといけない。

 でもまー君はからす座と戦ってるし、私達はまだ澱みが半分くらい残ってる。
 ……だけど、このままじゃ駄目だよね。

 私は覚悟を決めて「志郎君!行って!」と叫ぶ。

 志郎君は少し迷いながらも、「……おう!」と返事をして走り出した。
 途中で武器を生成しながら。

 そして私は近くの澱みに殴り掛かる。

 私よりも志郎君の方が足速いはずだし、距離が近い戦いも上手。
 それに私は牡羊座の力は1人で戦うのは向いていないし。

 まだ残ってるとはいえ、相手は澱み。
 だから私1人でも大丈夫。

 それよりも梨奈ちゃんを助けないと。
 澱みと戦いながらも、心配なので志郎君達の方に視線を向ける。

 ちょうどそのとき、志郎君の前にさら澱みが現れた。
 志郎君は走ってる勢いのまま澱みを殴り飛ばす。

 だけど、このままだと間に合わない。


 その予感は、残念ながら当たってしまった。


 誰も間に合わず、蠍座の尻尾は梨奈ちゃんを目掛けて振り下ろされた。
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