Constellation Knight 〜私達の星春〜

Remi

文字の大きさ
119 / 301
8節 友達とは、親友とは

第117話 不快感

しおりを挟む
「……台風さ、直撃すると思う?」
「さぁな」

 9月も半分が終わったある日。
 由衣《ゆい》の言う通り、この街に台風が近づいているらしい。
 その影響か今日の天気はあいにくの雨。

 ……昨日までは晴れていたのだが。

 そんな雨の中を、俺は今日も迎えに来た由衣と2人で学校へ向かってる。

 あれから射守《いもり》とは会っていない。
 澱みとの戦闘は何度かしたが現れなかった。

 一方、由衣は矢持《やもち》と定期的に連絡しているらしい。

 まぁ由衣が人と仲良くなるのが早いのはいつものことだ。
 射守の行動も把握できるだろうし、任せておこう。


 いや、それよりも大事なことがある。


 頭が痛い。


 というか何か妙な不快感を覚えている。
 それもここ数日、外に出るとだ。

 そして今日は特に酷い。悪寒というやつだろうか。

 そんな事を考えながら空いてる手で頭に手を当てる。
 この行動で不快感が消えるわけでもないが。

 すると、「……さっきからどうしたの?」という由衣の言葉が飛んできた。

「……頭痛いの?大丈夫」

 ……思いっきりバレている。

 しかし、肯定すると過度に心配されるのは目に見えている。
 なので俺は「違う。何でもない」と返す。

「……ほんとに?違うなら良いけど……無理しちゃ駄目だよ?」
「……あぁ」

 すると、今度は「いや、多分本当に頭痛いんでしょ。返事のキレがない」と鋭い言葉が後ろから飛んできた。
 そしてすぐに由衣の「わ!ちーちゃん!!」という言葉が飛ぶ。

「おはよ!……いつの間に?」
「おはよ。由衣が『頭痛いの?』って聞いたときから後ろにいたよ」

 確かに誰か後ろにいるとは思っていたが、それが智陽だとは思わなかった。
 そして見抜かれてる。……頭痛が増しそうだ。

「気づかなかった……え、本当に痛いの?」
「…………あぁ」
「きっと偏頭痛でしょ。今日雨だし。あと寝不足だと悪化するらしいし。
 真聡《まさと》、ちゃんと寝てる?」

 智陽からの指摘がまた飛んできた。

 寝てるか寝てないか。
 答えるなら「前よりは寝ている」となる。

 こぎつね座の幻覚を受けてから半月ほど経った。
 そしてようやく夢を見る回数も減ってきた。だから最近は寝れている。

 なので俺は先程の答えの通り返事をする。

「……もしかしてリードギアの実験してるからだったり?
 あれまだ実験中なんでしょ?」
「……何か不具合あったのかな」

 由衣の言葉の後、智陽がそう呟いて口を閉じた。

 これは……責任を感じているのだろうか。
 智陽は外観やざっくりとした機能を考えただけで、作ったわけではないんだが。

 ……不必要な責任を感じさせるぐらいなら、全部話した方が良いか。

 そう思い、俺は口を開く。

「頭痛も不快感も外に出るとだ。家や跡地に居るときには感じない」
「……じゃあ、リードギアじゃない?」
「多分な」

 俺の言葉に、智陽が「……じゃあいいけど」と呟く。
 そして入れ替わるように、「じゃあ……何で?」と由衣が呟く。

「知らん。わかったら苦労しない」
「そう……だよね……。
 でももし我慢できないなら言ってね?保健室付いて行くし、帰るなら家まで送るから」
「いらん」
「こういうときぐらい素直に頼ってよ~」

 由衣が頬を膨らませているのが視界の隅に見えるが、俺は気にしない。

 自分の限界ぐらいわかってるつもりだ。
 というか、由衣の手を煩わせたくない。

 そうこう話していると、通用門が見える所まで来た。
 しかし、いつもと様子が違う。

「……警察来てない?」

 そう。
 由衣の呟きの通り、通用門前には数台のパトカーが止まっている。

 ……こんな朝から、何事だ?


 俺はそう考えながらも、集中して気配を探る。


 堕ち星や澱みの気配は……しない。


 というか感じられない。不快感によって何も感じれない。

 俺は由衣の言葉に「なんだろうな」と返す。
 そして一応智陽に「何か知ってるか」と話を振る。

「流石に何も知らない。雨の中歩きながらスマホは流石に無理」

 やはり知らなかった。
 というか知っていたら最初に会ったときに言いそうだ。

 となると……事情を知ってる人を探したいが……

 そう考えていると「あ、ゆー君!おはよ~!!」という声が聞こえてきた。
 そしてすぐに「あぁ。おはよう」という声が聞こえた。

 振り返ると、佑希《ゆうき》がどこからか合流してきていた。

 ……こいつ今どこから出てきた?

 そう考えている間に、智陽が「佑希は何か知ってる?」と質問をしている。

「残念ながら俺も今来たところ。だから何も知らない」

 そう上手くは行かないようだ。
 何で頭が痛いこんな日に限ってこんなことに……。

 そう思っていると、佑希が「とりあえず」とまた口を開いた。

「校内には入れそうだから教室へ行こう。途中で何かわかるもしれないし」
「それもそうだね」

 由衣がそう返して、佑希と一緒に通用門の方へ向かって歩いていく。
 そして智陽もついて行く。

 俺も置いて行かれるわけにはいかないので追いかける。

 下駄箱まで行き、屋根の下で傘をたたみ校舎内に入る。

 すると「よぉ~す、4人共~」と、また聞き慣れた声が聞こえてきた。
 その声に由衣が「あ、しろ君!おはよ!」と挨拶を返す。

 今度は志郎《しろう》が合流してきた。
 俺は即座に「志郎はこの状況について知ってるか」と言葉を投げる。

「いやぁ……俺も知らねぇ。
 ……あでも、鈴保《すずほ》なら朝練で早く来てるから何か知ってるかもな」
「今どこにいる」
「あぁ~……今日雨だからな……校舎内の何処かだと思うんだけど……わかんね!」

 ……絶妙に頼りにならないな。

 そう思っていると、智陽が「……先に鞄置きに行かない?」と呟いた。

 そして由衣の「それもそうだよね」という返す。続いて佑希と志郎もそれぞれ肯定の言葉を口にする。

 そのため、俺達5人はとりあえず教室へ向かう。

 だが、やはり校内はざわざわしている。
 ただ有益そうな情報は聞こえてこない。

 そして途中で志郎と別れ、俺達4人は自分の教室へ入る。

 するとすぐに「おはよ~今日は4人一緒なんて珍しいね」という声が飛んできた。
 由衣はすぐに「麻優ちゃんおはよ~!」と返す。

「そうなの、今日はゆー君とちーちゃんは学校に着く前に会ったんだ~」

 同じクラスの長沢《ながさわ》 麻優《まゆ》が話しかけてきた。

 そして確かに俺と由衣はほぼ毎朝一緒だが、佑希と智陽とは別に来ることが多い。
 そのため4人で教室に入るのは珍しいかもしれない。

「ところで、1限目は自習らしいよ?」
「そうなの?」
「うん。ほら」

 長沢はそう言いながら黒板を指差した。

 黒板には『今日の1限目は自習です』と書かれている。

 ……やはり何か起きてるな。

 しかし、この感じだと長沢も何も知らなさそうだ。

 どうするか……。

 そう考えながら鞄を自分の席に置く。

 そして何やら廊下が騒がしい気がする。
 そう思った次の瞬間。

「真ぁぁぁ聡ぉぉぉ!!!鈴保教室にいたわ!!!」
「うるさい。普通に呼んで。周りの注意引くし。それと廊下は走るな」

 志郎と鈴保がそんな声と共に、教室の扉の所に現れた。

 ……普通に来てくれ。

 とりあえず俺達3組の4人は廊下に出て、志郎と鈴保と合流する。

 出て直ぐ、鈴保が「それで、警察が来てる理由?」と言葉を投げてきた。
 由衣が「そうそう。何か知ってる?」と返す。

「顧問が言ってた。
 生物部の生徒数人と顧問が昨日、学外活動に行ってから帰ってきてないんだって」

 生物部って……確か……。

「ひーちゃん!!!」

 俺が考え着くよりも先に、由衣は走り出していた。

 恐らく日和の教室だろう。

 俺達も流石に走りはしないが、急いで後を追う。
 途中、由衣が先に日和の教室に入っていくのが見えた。

 そして俺達が教室の前に着くと、ちょうど由衣は廊下に出てきた。
 明らかに、さっきより顔色が悪くなってる。

 そんな、由衣が不安そうな顔で口を開いた。

「ひーちゃん……今日誰も見てないって……」
「つまり……」

 佑希のその言葉に、俺は「あぁ。たぶんそういうことだな」と言葉を返す。

 だが、この状況だと間違いないだろう。



 俺、由衣、佑希の幼馴染。
 水崎《みずさき》 日和《ひより》が、行方不明になった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

神楽囃子の夜

紫音みけ🐾書籍発売中
ライト文芸
※第6回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  地元の夏祭りを訪れていた少年・狭野笙悟(さのしょうご)は、そこで見かけた幽霊の少女に一目惚れしてしまう。彼女が現れるのは年に一度、祭りの夜だけであり、その姿を見ることができるのは狭野ただ一人だけだった。  年を重ねるごとに想いを募らせていく狭野は、やがて彼女に秘められた意外な真実にたどり着く……。  四人の男女の半生を描く、時を越えた現代ファンタジー。  

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。 舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。 80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。 「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。 「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。 日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。 過去、一番真面目に書いた作品となりました。 ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。 全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは「よろひこー」! (⋈◍>◡<◍)。✧💖 追伸 まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。 (。-人-。)

処理中です...