私はあなたの何番目ですか?

ましろ

文字の大きさ
26 / 88

26.

今日はいい天気ね。
エンリケ様から長々と説教をされながら、チラリと外を眺める。
アルフォンソ様の嘘つき。お礼だけでは駄目だったわよ?
あなたは私の父親か!っというくらいにお小言が続いている。貴族の令嬢なのだからとか、結婚前の女性がとか、もっと自分を大事にしなさいとか。いや、これはお母様目線も入っているかもしれない。
異国に一人で来た私を、自分の娘の様に心配してくれるのは嬉しい。でも、エンリケ様の娘マリアちゃん10歳と同じレベルで心配されるのは少し困るわ。私はもう21歳の大人です。

リカルド様とアルフォンソ様は、慰問に出ているので助けてくれる人がいない。昨日、あんなことがあったから少し心配だ。
でも、しばらく距離を置くようにとアルフォンソ様にも言われたのよね。……友達になってほしいと言っていたくせに。
私は今日からイリス様の屋敷に住まわせてもらうことになった。ラファは目に涙を浮かべていたけど、男の子だから泣かないんだって!可愛いんだから。
確かにね、今までも独り身のリカルド様の屋敷に滞在していたのは良くなかったのかもしれない。ラファの為という理由もあったんだけどな。天使と離れ離れに……辛い。


「あの!昨日の噂男はどうなりましたか?」

「おまえは反省してないだろう……
奴のことはまだ調査中だ。飲みに行った店で頼まれただけだと言っていた。少し噂を流すだけだと言われて、金欲しさにやったそうだ。
親御さんも可哀想にな。やっと育て上げたのに、はした金で将来をふいにしたんだ。
まあ、リカルド様がどう処分を下すかは分からんがな」

「王族の批判ですからね。でもどうしてわざわざ医局で喋りだしたのかしら」

「お前がいるからだろう。愛人の前で恥をかかせたかったんじゃないか?」

「単なる馬鹿ですか」


ようするに、あいつ自身が噂を信じたから私に嫌がらせをしたかったのか。


「でも、変ですよね。もともと慰問の予定は無かったんですよ。突然決めて出てきたから、殿下が辺境に向かったことを知ってる人も少ないし、そんなことを準備する時間だってほとんどなかったのに」

「これ以上は手も口も出すなよ。お前は探偵じゃないし、殿下を守る騎士でもない。医療魔法士としての仕事をしなさい」

「……でも、友達です」

「お前は本当に鋼の心臓だな。なんで友達になってるんだよ……。まあ、友達だというならあの方の弱みにならないように気を付けろ。今、お前にできる事はそれだけだ。あと!一人での行動も控えろよ。絶対だぞ、絶対!」


めちゃくちゃ念押しされた。
分かってる。私に出来る事なんて無いことは。
でも悔しいな。リカルド様は友としても部下としても動く事ができるのに。私は女だから戦えないから、側にいようとすると弱点として利用される。
アルフォンソ様、何もできなくてごめん。





夕方、リカルド様が医局を訪れた。
何かあったの?怪我はしていないみたいだけど。


「ルシアお疲れ様。今日は何も無かったか?」


人を問題児みたいに扱わないで欲しい。


「はい、特に問題は無いですよ。リカルド様は?慰問に行かれたんですよね?」

「ああ。エンリケはいるか?少し相談事があるんだ」

「奥にいますよ。少しお待ち下さい」


慰問先で何かあったのかしら。
その後、二人はしばらく応接室で話し合われてから、私達医療魔法士を招集した。


「アギラルの町で伝染病が発生したおそれがある。まだ患者数は少なく、医師による検査の結果待ちだ。ただ、前辺境伯夫妻の症状と似ていた。
医局長との相談の結果、アギラルは一次封鎖する。
それと医療魔法士の応援を頼む。前回治療を担当した者達で動いてほしい。以上だ」


伝染病……殿下が来た途端?そんな偶然があるのかしら。それに前辺境伯夫妻が罹った病だなんて。


「質問よろしいでしょうか」

「ああ」

「伝染病とのことですが、病名を教えていただけますか?もしかしたら、エルディアとウルタードで治療法が違うかもしれません」

「……分からなかったんだ。王都の協会からも医療魔法士を派遣してもらったが、まったく新種の病だと。その後も研究は続けてもらっているが、なんせ症例が少な過ぎる」

「では感染経路も?」

「そうだ。だから皆慎重に動いてくれ」

「エンリケ様、あとで資料を見せていただけますか。ウルタードで発見されていないか確認したいです」

「もちろんだ、至急頼むよ」


アルフォンソ様じゃなくても分かる。
すごい危機感。何かが大きく動き始めている。







感想 206

あなたにおすすめの小説

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む

浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。 「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」 一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。 傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。