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「まず、ミゲル殿にお尋ねしたい。どうやってエルディアに入国されたのですか?確かにまだ事件として表沙汰にはされていませんが、ウルタードとの出入国はチェックしていたかと思うが」
「ああ、父から手紙を受け取った時チェスティ国にいたんですよ。それで知り合いの商団がちょうどエルディアに行くと聞いて乗せてもらったんです」
「なるほど。まさかチェスティの商団にルシアの兄がいるとは思わないな」
「でも、出国は無理でしょうね。彼らは王都に向かいましたから」
「やはり貴方達を逃がすのは無理か」
「アルフォンソ様、お気持ちは嬉しいですが、私達だけ逃げても駄目ですよ!裏切りの対象はバレリアノもでしょう?」
そんなの絶対に駄目よ。有りもしない罪で皆が捕まるなんて許せない。
「殿下、もう少し詳しくお聞きしても?なぜルシアが嵌められるのかまったく分からないのですが」
そうね、兄様は来たばっかりだったわ。
あ、いちから説明するとまた兄様の怒りが再燃しないかしら。セシリオを見ると同じことを考えたらしく青褪めている。殿下の前だからキレないと信じよう。
アルフォンソ様が国王から命を狙われていること。辺境で起きた事件。結局クラウディア様とセシリオの事まで話してしまった。兄は大人しく聞いてくれた。
「ここからは、私達が王宮を出てからの出来事で、宰相が協力してくれて分かったことだ。
国王はクラウディアに子を授けて私を殺すつもりだ。ルシアを巻き込んだのは、オルティス家なら子供が私の子ではないことを調べられると思っているからかな。
通常、王家に子が出来た場合、王家に連なる血を持っているかは検査する。だが、その種が夫か義父かは調べ無いからね」
え?どういうこと?クラウディア様はセシリオが好きだったのではないの?!
「そんな……クラウディア様がまさか……」
セシリオも愕然としている。そうよね、つい最近の事よね?あなたへの愛を語っていたのは。
「クラウディア様は何を考えているの…」
「子が出来れば、成人までは自分が王でいられるから?そんなことの為に息子を殺してその妻と姦淫するのか。大変だったな、お前」
兄様、動揺してるのは分かるけど殿下をお前呼ばわりしてますよ!
「ふふっ、やはり兄妹だね、お人好しだ。ここには私達しかいないので畏まらなくていいよ。ルシアも友達なんだ」
「じゃあ遠慮なく。でもそうすると子ができるまでは時間があるのか?子供は授かりものだ。必ずすぐに、とはいかないだろう?」
「そこが分からないんだ。オルティス家の二人に聞きたい。子供を確実に作る方法。それと……伝染病を広める魔法はあるかい?」
「!!」
まさか伝染病まで?そんな、自分の為に国民すら殺そうとするの?!
「……伝染病はまず症状を見ないと分からない。子供は考えられるものがある。ただ、生命の契約といい、なぜ今は無い魔法の知識があるんだ?
エルディアにも我が家みたいな生命魔法に特化した家があるのか?」
「え、兄様違うわ。生命の契約はグラセスよ」
「本当に?このタイミングでこの場所で?殿下の力を削ぐ為に援軍は出さなかったんだろ?ならそもそもが国王が糸を引いてるかもしれないだろ」
まさか他国と通じてまで?でも、国王の妄執は私達では理解できないものだ。絶対に無いとは言えないかも。
「とりあえず、国王が気持ち悪い奴だってことは分かった。クラウディア様はどうなんだ?あんまり頭が良くなかっただろ」
「そうね、綺麗なものが好きみたいよ?国王陛下は綺麗だっけ?」
「どうかな。醜いとは言わないけどそこまでではない。ちなみに私は母親似だから。彼女は騙されてるんじゃないかな。相手をクルス卿だと思い込ませるとか手はあるし」
うわ、気がついた時に発狂しないかな。
同じ女としてさすがに同情する。気持ち悪い。
「こうなると手記を持って来て本当に正解だったな。もう一度調べ直そう」
「手記って以前ルシアが言ってたものか?」
「そうです。お父様が持たせてくれたらしくて。でも、手紙と一緒に兄に送ってくれたものだから、さすがに全部では無いですが」
「……私の母かもしれない」
「え?」
「ああ、さっきミゲル殿が今は無い魔法だと言っていただろう?王妃は魔法大国チェスティの第四王女だったからな。王家に保管された資料などを見ているかもしれない」
確かにチェスティ王家になら、禁忌魔法も保管していそうだ。いいなぁ見たいなぁ。生体魔法もあるかな。
「ルシアは興味津々だね。そうだな、もし事件を解決出来たら、母上に教えてくれるようにお願いしてあげるよ」
「もう!もしじゃないです!そんな気持ち悪い計画はさっさと止めますよ!それで王様追い出して、アルフォンソ様は幸せにならないと駄目です」
「ルシアは格好良いなぁ」
「いや、反射で言ってるから無計画ですよ。まあ確かにそんな気持ち悪いやつは捨てましょう。生ゴミは腐りきる前に捨てないと匂いますから」
「どうしよう、リカルド。エルディアに残ってほしい人が増えちゃったよ。もう一家で越して来てくれないかな」
「良かったな、アル。友達が増えて」
まったく先は見えないけど、私達は笑い合う。誰も殺させない。伝染病も治してみせる!
「ああ、父から手紙を受け取った時チェスティ国にいたんですよ。それで知り合いの商団がちょうどエルディアに行くと聞いて乗せてもらったんです」
「なるほど。まさかチェスティの商団にルシアの兄がいるとは思わないな」
「でも、出国は無理でしょうね。彼らは王都に向かいましたから」
「やはり貴方達を逃がすのは無理か」
「アルフォンソ様、お気持ちは嬉しいですが、私達だけ逃げても駄目ですよ!裏切りの対象はバレリアノもでしょう?」
そんなの絶対に駄目よ。有りもしない罪で皆が捕まるなんて許せない。
「殿下、もう少し詳しくお聞きしても?なぜルシアが嵌められるのかまったく分からないのですが」
そうね、兄様は来たばっかりだったわ。
あ、いちから説明するとまた兄様の怒りが再燃しないかしら。セシリオを見ると同じことを考えたらしく青褪めている。殿下の前だからキレないと信じよう。
アルフォンソ様が国王から命を狙われていること。辺境で起きた事件。結局クラウディア様とセシリオの事まで話してしまった。兄は大人しく聞いてくれた。
「ここからは、私達が王宮を出てからの出来事で、宰相が協力してくれて分かったことだ。
国王はクラウディアに子を授けて私を殺すつもりだ。ルシアを巻き込んだのは、オルティス家なら子供が私の子ではないことを調べられると思っているからかな。
通常、王家に子が出来た場合、王家に連なる血を持っているかは検査する。だが、その種が夫か義父かは調べ無いからね」
え?どういうこと?クラウディア様はセシリオが好きだったのではないの?!
「そんな……クラウディア様がまさか……」
セシリオも愕然としている。そうよね、つい最近の事よね?あなたへの愛を語っていたのは。
「クラウディア様は何を考えているの…」
「子が出来れば、成人までは自分が王でいられるから?そんなことの為に息子を殺してその妻と姦淫するのか。大変だったな、お前」
兄様、動揺してるのは分かるけど殿下をお前呼ばわりしてますよ!
「ふふっ、やはり兄妹だね、お人好しだ。ここには私達しかいないので畏まらなくていいよ。ルシアも友達なんだ」
「じゃあ遠慮なく。でもそうすると子ができるまでは時間があるのか?子供は授かりものだ。必ずすぐに、とはいかないだろう?」
「そこが分からないんだ。オルティス家の二人に聞きたい。子供を確実に作る方法。それと……伝染病を広める魔法はあるかい?」
「!!」
まさか伝染病まで?そんな、自分の為に国民すら殺そうとするの?!
「……伝染病はまず症状を見ないと分からない。子供は考えられるものがある。ただ、生命の契約といい、なぜ今は無い魔法の知識があるんだ?
エルディアにも我が家みたいな生命魔法に特化した家があるのか?」
「え、兄様違うわ。生命の契約はグラセスよ」
「本当に?このタイミングでこの場所で?殿下の力を削ぐ為に援軍は出さなかったんだろ?ならそもそもが国王が糸を引いてるかもしれないだろ」
まさか他国と通じてまで?でも、国王の妄執は私達では理解できないものだ。絶対に無いとは言えないかも。
「とりあえず、国王が気持ち悪い奴だってことは分かった。クラウディア様はどうなんだ?あんまり頭が良くなかっただろ」
「そうね、綺麗なものが好きみたいよ?国王陛下は綺麗だっけ?」
「どうかな。醜いとは言わないけどそこまでではない。ちなみに私は母親似だから。彼女は騙されてるんじゃないかな。相手をクルス卿だと思い込ませるとか手はあるし」
うわ、気がついた時に発狂しないかな。
同じ女としてさすがに同情する。気持ち悪い。
「こうなると手記を持って来て本当に正解だったな。もう一度調べ直そう」
「手記って以前ルシアが言ってたものか?」
「そうです。お父様が持たせてくれたらしくて。でも、手紙と一緒に兄に送ってくれたものだから、さすがに全部では無いですが」
「……私の母かもしれない」
「え?」
「ああ、さっきミゲル殿が今は無い魔法だと言っていただろう?王妃は魔法大国チェスティの第四王女だったからな。王家に保管された資料などを見ているかもしれない」
確かにチェスティ王家になら、禁忌魔法も保管していそうだ。いいなぁ見たいなぁ。生体魔法もあるかな。
「ルシアは興味津々だね。そうだな、もし事件を解決出来たら、母上に教えてくれるようにお願いしてあげるよ」
「もう!もしじゃないです!そんな気持ち悪い計画はさっさと止めますよ!それで王様追い出して、アルフォンソ様は幸せにならないと駄目です」
「ルシアは格好良いなぁ」
「いや、反射で言ってるから無計画ですよ。まあ確かにそんな気持ち悪いやつは捨てましょう。生ゴミは腐りきる前に捨てないと匂いますから」
「どうしよう、リカルド。エルディアに残ってほしい人が増えちゃったよ。もう一家で越して来てくれないかな」
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