私はあなたの何番目ですか?

ましろ

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男性って意外と涙脆いのかしら。


今夜、城を発つ。
私とアルフォンソ様は辺境に向かうことになった。滞在日数は1日だけと短いが、許されただけありがたい。

リカルド様はまだ戻れない。
ベルナルド様の戴冠式とともに、イメルダ嬢との婚約式を執り行うため、まだしばらくは王都に残る。

兄様はクラウディア様に同行するようウルタード王から要請が有り、すでにウルタード国に向かっている。もちろんセシリオもだ。

辺境に向かうメンバーは、私とアルフォンソ様、ガランさん、エスピノさん。他は見届け人として、カハールと騎士3名が同行する。
カハールにはぜひ私が初めて辺境に向かった時の馬車を使用していただきたい。

夜間に静かに旅立つはずが、リカルド様はじめ、多くの人が見送りに来てくれた。


「殿下……どうかお体に気をつけて」
「いやだな、私はもう殿下ではないよ。最後なんだから名前で呼んでくれ」
「「「殿下~~っ」」」


と、あちこちで男泣きが木霊する。ちゃんと味方がいたのだと嬉しくなったが……いつまで泣くのかしら。


「私は死ぬわけじゃない。この国に来ることは出来ないが、貴方達がウルタードに来ることがあればぜひ顔を見せに来てくれ」
「……そうですな。殿下は自由になられたのですね。貴方様に幸運が訪れることを祈っております」
「ありがとう、元気で」


そうやって何人もと別れの挨拶を交わし、やっと馬車の近くにいたベルナルド様とリカルド様に会えた。


「殿下。どうか無理をなさらずお体に気を付けて」
「エスカランテ。殿下は止めてくれ」
「では私の事もベルナルドとお呼びください」
「ふふ、そういえば義兄になってくれたのだったな?」


ベルナルド様が少し気不味そうにしながらも、悪いですか?と開き直った。


「重荷を背負わせて、私だけ自由になってすまないな」
「……自由だと感じて下さったことが嬉しいですよ。
貴方の守った国です。重くないといえば嘘になりますが、お任せ頂いたことを誇りに頑張っていきます」
「ああ、頼んだ」
「はい。落ち着いたら手紙を送って頂けると嬉しいですね」
「分かったよ。約束する」
「お元気で」


ベルナルド様の目にも涙が浮かんでいる。


私は何人もの人から、くれぐれもアルフォンソ様を頼むとお願いされた。そして必ず言われるのが、『喧嘩をしても毛は抜かないでやって下さい』だった。
男性にとって髪は命なようだ。


「リカルド、ごめんな」
「何の事だ?」
「そうだな、色々。多過ぎて何時間あっても話しきれないよ」
「そうか」


二人は忙し過ぎて、ほとんど話が出来なかったようだ。あれだけ仲の良かった二人なだけに、見ている方が切なくなる。


「だが……楽しかったな。
お前と知り合ってから10年。大変なことがたくさんあったが、共に苦難を乗り越えた日々は俺の宝だ。
だから何も謝る必要なんて無い。そうだろう?」
「……やっぱりリカルドは格好良いな。
俺はずっとお前に憧れていたよ。
国は違ってしまうが、お前は私の一番の友だ。
今までありがとう」


そう言って手を差し出す。
二人は固く握手を交わした。


「いつか必ず会いに行く」
「楽しみにしている。またな」
「ああ。また、必ず会おう」


駄目だ。皆の涙が移ったかも。二人の友情に泣けてしまう。


「ルシアも元気でな。ラファにまだしばらく戻れない事を謝っておいてくれ」
「そうね。寂しがってると思うけど慰めておくわ」
「いや、君がいなくなる事の方で大泣きすると思うが」
「それは私が平謝りしておくよ」


そうだった。絶対に泣かれる自信があるわ。


「貴方だって泣かれる側よ?」
「そうだぞ。だが仕方がない。別れはいつか必ずあるものだ。泣いてもどうにもならないと知るには少し早いが、これも経験だ」


そうね。誰しも必ず別れはある。
でも、だからこそ出会いもあるわ。


「大丈夫よ。だってまた会えるもの」
「そうだね、また会える」



「さあ、そろそろ行け。……引き止めたくなってしまうからな」
「ああ。じゃあな」
「おう」




私達を乗せて馬車が進む。
馬車の中では……


「ひっどいよな!どうしてこんな……殿下は追放だしリカルド様は政略結婚だし!二人は親友なのに離れ離れだなんて……ひっっっどいよな?!」


ガランさんが泣きながらエスピノさんに詰め寄っていた。どうやら城では誰に聞かれるか分からない為我慢していたが、先程の別れを見て感極まったらしい。凄く煩い。


「ガランさん、うるさい」
「イヤだってよ。やっと平和になるのに悔しいじゃないか。好き勝手言いやがって」


どうやら城内で聞きたくない話をみみにしてしまったようだ。腹立たしい気持ちは分かるけどね。


「ガラン」
「はい、殿下!」
「もう殿下じゃないから。ついでに様もいらない。もう平民だからね」
「……アルフォンソ様。これ以上は譲れません」
「なら私もガラン様と呼ぼう」
「くっ……アルフォンソ…さん。これが限界です!で、なんでしょうか!」


ガランさんが負けた。


「エスカランテ達を恨まないでやってくれ。これは私が決めた事だ。
それにイメルダ嬢はいい子だ。きっと辺境を大切にしてくれるよ。
先入観は恐ろしい。それは私がよく知っている。だからね、ちゃんとイメルダ嬢自身を見てあげて欲しい。まだ15歳なんだ、不安も大きいと思う。
辺境の良さは偏見のないところだろう?」
「……申し訳ありませんでした」
「いや、私達の為に憤ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」


こういうところが好きだな。
つい、恋愛フィルターを装着して見つめていると、


「どうした?」


すぐに気付かれた。見惚れてたとも言えず笑って誤魔化すと、


「惚れ直した?」


と薄く微笑みながら流し目をくれる。
くそう、色っぽいな。


「はっ?え?二人って……いつの間に?!」


結局ガランさんはずっと煩いままだった。




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