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56. セシリオside
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ウルタード国に帰って来た。
悪夢の様なエルディア国での出来事からようやく解放されたと思った。
しかし、その考えは甘かったと、陛下の冷たい眼差しに晒され、まだ何も終わってなどいないことに気付かされる。
「お前は私の言葉が理解出来なかったようだな」
陛下のお言葉。どれだ、何の事だ?
王女様を守ること?騎士としての誓いか?
今まで賜った数々の言葉が思い出され、だが、どれも違うように感じる。
「貴様の愚かな行動のせいで、オルティスの娘をエルディアに奪われるところだったのだぞっ!」
……ルシア?
なぜ、陛下がルシアのことを?
「まさか貴様もか。あの家の重要性をまったく知らなかったのか?」
それから続くオルティス家の説明に血の気が引く。
だって確かに生体魔法の権威だという言葉は聞いた。ルシアの能力の高さも知っている。……つもりだった。
だけど所詮男爵位だからと、尊敬の念を込めての尊称だとしか思っていなかった!
「エルディアの辺境に永住したいと手紙が来たそうだ。
あの家の婚姻は難しい。基本的に生態魔法の研究と当人達が患者と触れ合える環境。それらが揃わない所には住み着かん。
だから中央の貴族などでは囲うことも出来ず、毎回苦労するのだ」
ようするに、本当ならもっと高い爵位を与えるべき存在だということ。行動を制限しない為の男爵位だったのか。
「恋人が騎士だと聞いて丁度いいと思った。そのまま近衛騎士団に入れば、あの娘の首輪として丁度良いと思ったのだが。まさか王女にしてやられるとは思わなんだ」
──俺がルシアの首輪?
「なんだ。まさかすべて自分の実力でここまで来たと思っていたのか」
まさか、全部……王がルシアを手の内に置く為に与えられたモノだった?
「まあ良い。娘は元王太子まで連れてこちらに戻って来るらしい。二度と国から出て行くことは無いだろう。
それにミゲル殿からの口添えもあった。お前が最終戦で妹の命を守った事に免じて減刑してやって欲しいとな」
それから。俺はクラウディア様を新しい嫁ぎ先まで送り届ける任務を与えられた。
警護というより監視役だ。けして逃さず、清い体のまま無事送り届けること。ただそれだけの任務はとても辛かった。
毎日王女様の泣き言を聞き続ける。
それは恨み言に変わり、物に当たろうとするのを怪我をしないように止め。そうして触れ合うとエルディアにいた頃の様に熱い眼差しで見つめ、柔らかな肢体をすり寄せてくる。
それらを一切断り続ける。
パスクアル王国へは船を利用した。船室では私だけが護衛と監視役として部屋の中に置かれた。
馬車と船を利用しての長旅だ。男として溜まっていく中、王女様は何度も私を誘惑してくる。
一度は触れることを許された人。その肌を今でも覚えている!
ここで間違えたら確実に殺されると必死に誘惑に耐えた。我慢のし過ぎでこのまま不能になるのではないかと不安になった程だ。
2週間以上の長旅もようやく終わりを迎える。
遠目に見たパスクアル王は40代くらいだろうか。
浅黒い肌に……毛深い。体型も太ましく……お好みでは無いだろう。
涙目で訴えかけられるが、俺に出来る事は。
「王女様、お幸せに」
別れを告げる事だけだった。
「お疲れ、頑張って耐えたな」
「……当たり前です」
こちらも命が掛かっている。
「まあそうだな。これでお前の配属先が決まった。3年間の国境警備。任期が終わればまた王都に戻れる」
国境警備か。
北部だな。あそこは環境も厳しく、中々に辛い場所だと聞く。それでも……
「ありがたく拝命致します」
罪人ではなく、騎士でいられるなんて感謝しかない。
「ルシアと約束したんです。騎士として頑張ると」
「そうか。ならば頑張るといい。彼処の隊長は強いぞ。しっかり鍛えてもらえ」
「はい!」
悪夢の様なエルディア国での出来事からようやく解放されたと思った。
しかし、その考えは甘かったと、陛下の冷たい眼差しに晒され、まだ何も終わってなどいないことに気付かされる。
「お前は私の言葉が理解出来なかったようだな」
陛下のお言葉。どれだ、何の事だ?
王女様を守ること?騎士としての誓いか?
今まで賜った数々の言葉が思い出され、だが、どれも違うように感じる。
「貴様の愚かな行動のせいで、オルティスの娘をエルディアに奪われるところだったのだぞっ!」
……ルシア?
なぜ、陛下がルシアのことを?
「まさか貴様もか。あの家の重要性をまったく知らなかったのか?」
それから続くオルティス家の説明に血の気が引く。
だって確かに生体魔法の権威だという言葉は聞いた。ルシアの能力の高さも知っている。……つもりだった。
だけど所詮男爵位だからと、尊敬の念を込めての尊称だとしか思っていなかった!
「エルディアの辺境に永住したいと手紙が来たそうだ。
あの家の婚姻は難しい。基本的に生態魔法の研究と当人達が患者と触れ合える環境。それらが揃わない所には住み着かん。
だから中央の貴族などでは囲うことも出来ず、毎回苦労するのだ」
ようするに、本当ならもっと高い爵位を与えるべき存在だということ。行動を制限しない為の男爵位だったのか。
「恋人が騎士だと聞いて丁度いいと思った。そのまま近衛騎士団に入れば、あの娘の首輪として丁度良いと思ったのだが。まさか王女にしてやられるとは思わなんだ」
──俺がルシアの首輪?
「なんだ。まさかすべて自分の実力でここまで来たと思っていたのか」
まさか、全部……王がルシアを手の内に置く為に与えられたモノだった?
「まあ良い。娘は元王太子まで連れてこちらに戻って来るらしい。二度と国から出て行くことは無いだろう。
それにミゲル殿からの口添えもあった。お前が最終戦で妹の命を守った事に免じて減刑してやって欲しいとな」
それから。俺はクラウディア様を新しい嫁ぎ先まで送り届ける任務を与えられた。
警護というより監視役だ。けして逃さず、清い体のまま無事送り届けること。ただそれだけの任務はとても辛かった。
毎日王女様の泣き言を聞き続ける。
それは恨み言に変わり、物に当たろうとするのを怪我をしないように止め。そうして触れ合うとエルディアにいた頃の様に熱い眼差しで見つめ、柔らかな肢体をすり寄せてくる。
それらを一切断り続ける。
パスクアル王国へは船を利用した。船室では私だけが護衛と監視役として部屋の中に置かれた。
馬車と船を利用しての長旅だ。男として溜まっていく中、王女様は何度も私を誘惑してくる。
一度は触れることを許された人。その肌を今でも覚えている!
ここで間違えたら確実に殺されると必死に誘惑に耐えた。我慢のし過ぎでこのまま不能になるのではないかと不安になった程だ。
2週間以上の長旅もようやく終わりを迎える。
遠目に見たパスクアル王は40代くらいだろうか。
浅黒い肌に……毛深い。体型も太ましく……お好みでは無いだろう。
涙目で訴えかけられるが、俺に出来る事は。
「王女様、お幸せに」
別れを告げる事だけだった。
「お疲れ、頑張って耐えたな」
「……当たり前です」
こちらも命が掛かっている。
「まあそうだな。これでお前の配属先が決まった。3年間の国境警備。任期が終わればまた王都に戻れる」
国境警備か。
北部だな。あそこは環境も厳しく、中々に辛い場所だと聞く。それでも……
「ありがたく拝命致します」
罪人ではなく、騎士でいられるなんて感謝しかない。
「ルシアと約束したんです。騎士として頑張ると」
「そうか。ならば頑張るといい。彼処の隊長は強いぞ。しっかり鍛えてもらえ」
「はい!」
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