30 / 40
29.最高のパートナー
しおりを挟む
イーディス様の葬儀には多くの弔問客が訪れた。
棺の中に眠る彼女の柔らかな微笑みを見て、人々は早過ぎる死に涙しながらも、穏やかで幸せな最後を迎えることが出来たのであろうと安堵した。
イーディス様はとても愛されていたのね。
シェリーは公爵家の客分なだけで身内では無い。だから、彼らから少し離れた席で彼女との別れを惜しんでいた。
後少しだけ間に合わなかった。あと3日……いえ、1日だけでも……
そう思いながらも、結局はどれだけ日があろうとも後悔は尽きないのだろうという事も分かっていた。
「シェリー、こんな所にいたのか」
「バイロン」
「大丈夫か?」
「……私に言う言葉じゃないわ」
「お前にも言いたい言葉だよ」
そうかしら。でも、大丈夫ではある。覚悟を決めていた。お別れも出来たし。
「悲しくはあるけれど大丈夫。ありがとね」
「ブライアンの隣にいなくていいのか?」
「……少しだけ間に合わなかったわ」
「そうか。これからなんだな」
「うん」
そう。これから。どれだけ悲しくても、私達はその思いを胸に前に進まなくてはいけないから。
「んじゃ、応援しておくわ」
「ん、がんばる」
頑張るわ。だってイーディス様が見守ってくれている。
手首のブレスレットにチャラリと触れる。
ここ数日の癖になってしまった。
「……それ」
「あ、少し前にイーディス様に頂いたの。お守りにって」
熟成されたシェリー酒の様な色合いの石を使った美しいブレスレット。夫人の腕をいつも飾っていたそれは、今は私の左手首で輝いている。
「インペリアルトパーズか、似合ってる」
「イーディス様が見守って下さっているみたいで、着けてると勇気を貰える。だから本当に大丈夫よ」
「可愛がられてたんだな。安心した」
「ええ」
いつでも優しかった。大好きだった。
「ブライアンはお前がいれば大丈夫か」
「……そうだといいけれど」
今も弔問客の対応に追われながらも、公爵様とカルヴァンを気遣っている。涙一つ見せず、公爵家の嫡男として立派に対応する姿は、これからも公爵家は安泰であると示すことが出来ていることだろう。
「……おい、アイツが来てるぞ」
「え?」
急にバイロンがピリ付いた。視線の先には……ベンジャミンだ。
ずいぶんと久しぶりに感じる。
「カルヴァンの友人だもの。問題無いわ」
「それだけならいいけどな」
ああ、バイロンはあの時を見ているから。
何となく目で追うと、公爵とブライアンに挨拶をして、カルヴァンに何かしら語りかけ、抱き締めている。
ほら、ちゃんと友人として来ただけだわ。
少し痩せたかしら。ああ、違う。逞しくなった。背も少し伸びたかもしれない。
あ………ベンジャミンと目があった
彼は少し驚いた顔をして、柔らかく微笑んだ。
表情も変わったわ。ちゃんと頑張っているのね。少しだけ視線が交わったけれど、すぐにカルヴァンとの会話に戻った。
「ね?大丈夫でしょう?」
「こら、微笑み合ってるんじゃない」
「え、成長が微笑ましくて」
「親戚のおばちゃんか」
だって不幸になって欲しかった訳ではないから。
そういえば、小指は無事だったかしら。呪いを掛けてしまった気がする。
「……急に笑い出すなよ」
「あの子に呪いを掛けたのを思い出しだわ」
「は?」
「毎朝机の角に小指をぶつけますようにって」
「地味に嫌な呪いだな」
「全部イーディス様に聞こえていたのよ」
私ったらイーディス様の枕元で馬鹿なことをしていたわ。目覚めた夫人が笑い転げていた姿が懐かしい。
そんな思い出話をしながら、静かに葬儀を見守った。
♢♢♢
すべてが終わり、公爵様は別邸にいるのは少し辛いからと本館に戻られた。カルヴァンはベンジャミン達友人達と夜を過ごすらしい。
「ブライアン?」
彼だけがこの別邸に残っている。
いえ、彼と私の二人だけ。
「よかったらどうぞ」
「ん、珍しい。ブランデー入り?」
「体が温まるかと思って」
少しだけブランデーを垂らした紅茶を入れた。お酒の力を借りるのはあまり良くないけれど、香り付け程度なら気持ちが解れていいだろう。
「それ、似合ってる」
「バイロンにも褒められたわ」
「……あいつは知っていたからな」
「何が?」
イーディス様のお気に入りだってこと?
「君の為に選んだものだってこと」
「……え?」
「君の髪色に似ていると思ったんだ」
「……でも、イーディス様の……」
ずっと彼女が身に付けていた。大切な息子からのプレゼントが本当は私宛の物だった?
「違うんだ。あの頃、無理だと分かっていたのに往生際悪くプレゼントを買ってしまって。でも、君みたいだなって、つい持ち歩いてて……あの、本当に気持ち悪くてごめん……」
初めて見る。ブライアンが真っ赤だわ。
「……嫌じゃないから大丈夫。それで?」
「それで、運悪くリンジー・ウィザーズに見つかって、私へのプレゼントですね!って言い出すものだから、つい、違う、母へのプレゼントだ!って言ってしまって。
そのまま母に渡したら、何となく気付いたのだろうね。大切に預かるわと仰ってくれた。それからはほぼ毎日身に付けてくださって。
だから今日の弔問客がチラチラと君の手首を見ていただろう?それのおかげで、君は母上のお気に入りだと分かってもらえた」
ああ、だから!棺に花を備える時に、どなたかが、あっと声を出した。その後のざわめきはそういうこと?まさかブレスレットに気が付いていたとは。
イーディス様ったらなんて策士なのかしら。
「さて。これらから導き出される答えは何かしら」
「……もう、言ってもいいのか」
「そうね。言われたいわ」
ブライアンが私の前に跪き、私の手を取った。
「シェリー。ずっと君のことが好きだった。どうかこれからも人生のパートナーとして共に生きて欲しい」
飾らない言葉。でもそれが嬉しい。共に生きるって素敵なことだわ。
「……うれしい。時間がかかってごめんね、待っていてくれて本当にありがとう。
私も、これからもずっと貴方のパートナーでいたい」
いつの間にか、隣に貴方がいることが馴染んでしまった。ずっと一緒にいたいと思うようになった。
「ね、キスしてもいい?」
「君に言われるとは思わなかった」
少し驚きながらも、嬉しそうに口付けてくれる。
最初は優しく触れるだけのキスを。
そっと目を合わせて笑い合う。
「もしかしてイーディス様に聞いたの?」
「信頼出来て、愛情があって。口付けに喜びを感じられたのなら、それは最高のパートナーだ」
今度はもっと深いキス。
ああ、なんだか満たされる。やっと触れることが出来たと、心が温かくなる。
愛おしい
この言葉がピッタリだ。
「すき。だいすきよ」
「……うん」
「泣いてる?」
「やっとだ。5年越しの片思いなんだから見逃してくれ」
「……ありがとう」
ブライアンの目元に口付ける。反対の目にも。
「かわいい」
「……格好悪い」
「とっても愛おしいわ」
もう一度見つめ合ってから、ゆっくりと抱きしめ合った。
「明日、父上とカルヴァンに報告しよう」
「そうね」
「母上にも報告しなきゃ」
「一緒にいきましょう」
やっと、イーディス様の『いつか』の夢に一歩近付けた。
棺の中に眠る彼女の柔らかな微笑みを見て、人々は早過ぎる死に涙しながらも、穏やかで幸せな最後を迎えることが出来たのであろうと安堵した。
イーディス様はとても愛されていたのね。
シェリーは公爵家の客分なだけで身内では無い。だから、彼らから少し離れた席で彼女との別れを惜しんでいた。
後少しだけ間に合わなかった。あと3日……いえ、1日だけでも……
そう思いながらも、結局はどれだけ日があろうとも後悔は尽きないのだろうという事も分かっていた。
「シェリー、こんな所にいたのか」
「バイロン」
「大丈夫か?」
「……私に言う言葉じゃないわ」
「お前にも言いたい言葉だよ」
そうかしら。でも、大丈夫ではある。覚悟を決めていた。お別れも出来たし。
「悲しくはあるけれど大丈夫。ありがとね」
「ブライアンの隣にいなくていいのか?」
「……少しだけ間に合わなかったわ」
「そうか。これからなんだな」
「うん」
そう。これから。どれだけ悲しくても、私達はその思いを胸に前に進まなくてはいけないから。
「んじゃ、応援しておくわ」
「ん、がんばる」
頑張るわ。だってイーディス様が見守ってくれている。
手首のブレスレットにチャラリと触れる。
ここ数日の癖になってしまった。
「……それ」
「あ、少し前にイーディス様に頂いたの。お守りにって」
熟成されたシェリー酒の様な色合いの石を使った美しいブレスレット。夫人の腕をいつも飾っていたそれは、今は私の左手首で輝いている。
「インペリアルトパーズか、似合ってる」
「イーディス様が見守って下さっているみたいで、着けてると勇気を貰える。だから本当に大丈夫よ」
「可愛がられてたんだな。安心した」
「ええ」
いつでも優しかった。大好きだった。
「ブライアンはお前がいれば大丈夫か」
「……そうだといいけれど」
今も弔問客の対応に追われながらも、公爵様とカルヴァンを気遣っている。涙一つ見せず、公爵家の嫡男として立派に対応する姿は、これからも公爵家は安泰であると示すことが出来ていることだろう。
「……おい、アイツが来てるぞ」
「え?」
急にバイロンがピリ付いた。視線の先には……ベンジャミンだ。
ずいぶんと久しぶりに感じる。
「カルヴァンの友人だもの。問題無いわ」
「それだけならいいけどな」
ああ、バイロンはあの時を見ているから。
何となく目で追うと、公爵とブライアンに挨拶をして、カルヴァンに何かしら語りかけ、抱き締めている。
ほら、ちゃんと友人として来ただけだわ。
少し痩せたかしら。ああ、違う。逞しくなった。背も少し伸びたかもしれない。
あ………ベンジャミンと目があった
彼は少し驚いた顔をして、柔らかく微笑んだ。
表情も変わったわ。ちゃんと頑張っているのね。少しだけ視線が交わったけれど、すぐにカルヴァンとの会話に戻った。
「ね?大丈夫でしょう?」
「こら、微笑み合ってるんじゃない」
「え、成長が微笑ましくて」
「親戚のおばちゃんか」
だって不幸になって欲しかった訳ではないから。
そういえば、小指は無事だったかしら。呪いを掛けてしまった気がする。
「……急に笑い出すなよ」
「あの子に呪いを掛けたのを思い出しだわ」
「は?」
「毎朝机の角に小指をぶつけますようにって」
「地味に嫌な呪いだな」
「全部イーディス様に聞こえていたのよ」
私ったらイーディス様の枕元で馬鹿なことをしていたわ。目覚めた夫人が笑い転げていた姿が懐かしい。
そんな思い出話をしながら、静かに葬儀を見守った。
♢♢♢
すべてが終わり、公爵様は別邸にいるのは少し辛いからと本館に戻られた。カルヴァンはベンジャミン達友人達と夜を過ごすらしい。
「ブライアン?」
彼だけがこの別邸に残っている。
いえ、彼と私の二人だけ。
「よかったらどうぞ」
「ん、珍しい。ブランデー入り?」
「体が温まるかと思って」
少しだけブランデーを垂らした紅茶を入れた。お酒の力を借りるのはあまり良くないけれど、香り付け程度なら気持ちが解れていいだろう。
「それ、似合ってる」
「バイロンにも褒められたわ」
「……あいつは知っていたからな」
「何が?」
イーディス様のお気に入りだってこと?
「君の為に選んだものだってこと」
「……え?」
「君の髪色に似ていると思ったんだ」
「……でも、イーディス様の……」
ずっと彼女が身に付けていた。大切な息子からのプレゼントが本当は私宛の物だった?
「違うんだ。あの頃、無理だと分かっていたのに往生際悪くプレゼントを買ってしまって。でも、君みたいだなって、つい持ち歩いてて……あの、本当に気持ち悪くてごめん……」
初めて見る。ブライアンが真っ赤だわ。
「……嫌じゃないから大丈夫。それで?」
「それで、運悪くリンジー・ウィザーズに見つかって、私へのプレゼントですね!って言い出すものだから、つい、違う、母へのプレゼントだ!って言ってしまって。
そのまま母に渡したら、何となく気付いたのだろうね。大切に預かるわと仰ってくれた。それからはほぼ毎日身に付けてくださって。
だから今日の弔問客がチラチラと君の手首を見ていただろう?それのおかげで、君は母上のお気に入りだと分かってもらえた」
ああ、だから!棺に花を備える時に、どなたかが、あっと声を出した。その後のざわめきはそういうこと?まさかブレスレットに気が付いていたとは。
イーディス様ったらなんて策士なのかしら。
「さて。これらから導き出される答えは何かしら」
「……もう、言ってもいいのか」
「そうね。言われたいわ」
ブライアンが私の前に跪き、私の手を取った。
「シェリー。ずっと君のことが好きだった。どうかこれからも人生のパートナーとして共に生きて欲しい」
飾らない言葉。でもそれが嬉しい。共に生きるって素敵なことだわ。
「……うれしい。時間がかかってごめんね、待っていてくれて本当にありがとう。
私も、これからもずっと貴方のパートナーでいたい」
いつの間にか、隣に貴方がいることが馴染んでしまった。ずっと一緒にいたいと思うようになった。
「ね、キスしてもいい?」
「君に言われるとは思わなかった」
少し驚きながらも、嬉しそうに口付けてくれる。
最初は優しく触れるだけのキスを。
そっと目を合わせて笑い合う。
「もしかしてイーディス様に聞いたの?」
「信頼出来て、愛情があって。口付けに喜びを感じられたのなら、それは最高のパートナーだ」
今度はもっと深いキス。
ああ、なんだか満たされる。やっと触れることが出来たと、心が温かくなる。
愛おしい
この言葉がピッタリだ。
「すき。だいすきよ」
「……うん」
「泣いてる?」
「やっとだ。5年越しの片思いなんだから見逃してくれ」
「……ありがとう」
ブライアンの目元に口付ける。反対の目にも。
「かわいい」
「……格好悪い」
「とっても愛おしいわ」
もう一度見つめ合ってから、ゆっくりと抱きしめ合った。
「明日、父上とカルヴァンに報告しよう」
「そうね」
「母上にも報告しなきゃ」
「一緒にいきましょう」
やっと、イーディス様の『いつか』の夢に一歩近付けた。
2,486
あなたにおすすめの小説
王子様への置き手紙
あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~
緑谷めい
恋愛
私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。
4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!
一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。
あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?
王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。
そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?
* ハッピーエンドです。
大嫌いな令嬢
緑谷めい
恋愛
ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。
同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。
アンヌはうんざりしていた。
アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。
そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
ロザリーの新婚生活
緑谷めい
恋愛
主人公はアンペール伯爵家長女ロザリー。17歳。
アンペール伯爵家は領地で自然災害が続き、多額の復興費用を必要としていた。ロザリーはその費用を得る為、財力に富むベルクール伯爵家の跡取り息子セストと結婚する。
このお話は、そんな政略結婚をしたロザリーとセストの新婚生活の物語。
むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
王太子殿下の小夜曲
緑谷めい
恋愛
私は侯爵家令嬢フローラ・クライン。私が初めてバルド王太子殿下とお会いしたのは、殿下も私も共に10歳だった春のこと。私は知らないうちに王太子殿下の婚約者候補になっていた。けれど婚約者候補は私を含めて4人。その中には私の憧れの公爵家令嬢マーガレット様もいらっしゃった。これはもう出来レースだわ。王太子殿下の婚約者は完璧令嬢マーガレット様で決まりでしょ! 自分はただの数合わせだと確信した私は、とてもお気楽にバルド王太子殿下との顔合わせに招かれた王宮へ向かったのだが、そこで待ち受けていたのは……!? フローラの明日はどっちだ!?
愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】
幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。
そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。
クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる