CapptivanThey

Lu-Lu-

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入学

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 私立、天蘭妙高学園。学園指定推薦という形で入学が決まった俺。と言っても、試験や面接を受けたわけではなく、「招待状」という形で手紙が届いたのだ。
 当時、夢も目標もなく、「進学して就職する」程度しか考えていなかった俺は、手紙に記載された内容をよんで即決でこの学園に決めたのだった。


試験なし。面接なし。
この手紙を受け取ったあなた。
一切の学費なしで入園を許可する。

たった三行だった。だが、「なにもない」俺には充分だった。
これは、主人公、臼原 惠(うのはら めぐむ)を変える物語。
そして、心をとらえる、人々の物語。


「みなさん。おはようございます。校長の妙高 忠です」

 俺もついに高校生………か
 入学式。妙高学園の制服に袖を通した俺は校長先生の話をぼたーっと聞いていた。お餅ではない。ぼたもち。
「朝ごはんもっと食べればよかった……」
 ぐぅ~、とでもお腹が鳴りそうだ。だが、ここは同級生となる生徒が集まっている入学式。お腹がなれば高校生活終わる。
 平穏に生活したい。その一心で鳴らないよう注意することにした。


「ふぅーん……」
あの子……面白そうね。



「俺はA組か」
クラス分け表を確認し、自分の席に向かう。妙高学園4階 1年A組3番 これから1年過ごす机と対面………

「やっほぅ」
出来なかった。いや、目の前に机と椅子はあるのだが……
「……………………だれ?」
目の前の椅子には女子が座っていた。女子はふふっと笑って、
「もぅ、誰だなんて酷いわね。ダ・ン・ナ・サ・マ♡」


俺の高校生活終わった。



♡♡♡♡♡♡



「それでぇ~、メグくぅ~ん」
 なんでこいつ俺の名前知ってんだよ。こえぇよ。ニヤニヤしながらこっちを見ている女子にどうしようか困惑していたとき、
「そりゃあぁ、ねぇ。資料に名前書いてあったしぃ?お腹がグルグル鳴きそうなの我慢してたしぃ?…………って、なんで野口ちゃん?」
 どうやら反射的に口止め料の千円札を取り出していたらしい。まったく、自分のサイバーに負けない脳でも処理出来てなかったぜ。うそだけど。
「だいじょぉぶよ。誰にも言わないしぃ。この蓮夏ちゃんに任せなさいね?」
「は、はぁ…………?」

 だいじょぉぶ、じゃねぇよ。ムスペルか。
「てかお前名前は……」
言いかけたが、さっきの女子はクラスに確認出来なかった。幽霊じゃねぇよな!?その手の物、俺得意じゃねぇぞ!?
「いいからあなたは早く席に着く」
 気付けば目の前の先生に捕まっていた。これからヤツのことは魔女って呼ぼう。心の中で。第一声発したら呪われそうだし。


☆☆


「臼原 惠です。趣味………まではいかないですが剣道やってます。よろしく」


 簡単な挨拶に終わらせた俺。まぁ、印象はまぁまぁなんじゃね━━━
「はい。臼原君に質問はありますか?」
「はいはーい。わたしー」
出たよ魔女。てかいつからこのクラスに戻ってきてたんだよ。
「あなたは、十七右(とやうじ)さんですね。質問どうぞ」
「はぁい~~」
魔女………もとい十七右さんは立ち上がって、


………
………………

 なんでこっちに歩いてきてんの。
「ふふっ。」
そして急に笑った十七右さんは



「えいっ」


 抱きつかれた。
えっ!?ちょ!?なに!?どゆこと!?
 混乱する俺含めクラスメート。教室中から疑問と困惑の声。いや、普通そうなるだろ。べ、別に良い香りだとかおっぱい柔らかいとだとか思ってないし。俺は謎の理性と戦っているのだが、とうの抱き着いた(憑いた)本人である十七右さんは、
「よしよし♡メグくんは賢いですねぇ~」
なぜか子供扱い。よしよし。よしよし。頭を撫でる十七右さん。この時点ですでに俺の脳内はフリーズしております。
「みなさぁん。ワタシ、十七右 蓮夏(とやうじ れんげ)って言いまぁす☆好きなモノはメグくん、しょーらいのお嫁さんはメグくんだよぉ☆ ヨ ロ シ ク♡♡♡」


「おい。どういうことだ!」「臼原の野郎、すでにリア充だと!?」「解せん!ヤれ!ヤるのだぁ!主に精神的に殺せぇ!!」


 だれか魔女の暴走を止めてくれぇ!!あとお嫁さんは俺ってどういうことだよ!?まじ先生頼みますたすけ━━━


「…………………ポッ」
ぽっ、ってなんだよ!?まず第1に止めるべきだろ高校生の教師!!頼むよさっきの「席に着け」レベルの声で言ってくれよ!
 今日無事に家に帰れるだろうか………南無



☆☆-【-【☆☆


「ごめんごめん☆急にくっついたらびっくりしちゃうよねぇ~」
「十七右さんだっけ?そりゃもう━━」
「れんげ」
「は?」
「れんげって、呼んでね♡だーりん♡♡」
キッ
「…………………なぁ。止めてくれよ。俺の命何個あっても足りない気がするんだけど」
 さっきからクラスの男子が主に殺戮の目で見てくるんだけど「もにゅ」おっぱ…………ねぇ聞いてる!?
「ふふ。照れ屋さんなのねぇ~」
「照れ屋じゃなくてテ◯サになりたい」
白いオバケになれば透明になれるだろうか。
「テレ◯も目を見れば照れるけどねぇ」


れんげに言われて墓穴掘ったことに気付いた。


━ ━ ━



「おーいリア充。手伝ってくれ」
「リア充じゃねぇよ」
「そう言うなって。だれでもリア充にしか見えないからよ」
「そうは言うがな富樫(とがし)よ。俺だってれんげにはうんざりしてるんだからよ」
「そうは見えねぇけどな。惠、おまえ鼻の下基本緩んでるぞ」
「マジ!?」
 仲良くなったクラスメイトの富樫君隆(きみたか)と先生に頼まれた机を運んでいるときだった。
「あぁ。これで俺と同類だな」
「なんでお前と同類なんだよ」
「だってよ。俺彼女いるし。お前もいい女みつけたじゃねーか」
「なんで蓮夏と付き合ってる前提で話するんだよ!?」
まぁまぁ、富樫はやんわり受け流し、

「夜道には気をつけろよ?」

 やめろフラグやめろ。お前を友人だと思った俺をぶん殴ってもいいよな?
「とりあえずノルマ終わったな。惠ー。先生んとこ行くぞー」
「うぃー」
俺と富樫は歩き出した。職員室は1階なので、4階の教室から階段を下………

「テメェら!國寺組のお通りじゃぁあ!道を空けんかぁぁぁぁぁ!」

下れなかった。
「なに?」「國寺組?」「不良か?」
3階、2年生の階で足止めを喰らった。ク○ッターではない。サーチすな。
「ん?」
「おいおい。不良かよ。妙高学園って案外タマ?って、どうした惠?」
「國寺……」
聞いたことがある。というか知ってる。というか國寺って


「久しいな!惠よ!」 


「あー、やっぱりお前か。宝」
「中学以来だな。元気にしてたか?」
「まぁな。お前も変わらねぇな。って、まだ1ヶ月だから変わらないのは同じか」
「國寺組、すでにこの学校でも組んでるのかよ。はえぇよ」
「なぁ。惠?この國寺組?と知り合いか?」
 富樫が恐る恐る聞いてきた。というか、取り巻きはかなりビクビクしている。おれがこいつと話しているからか?
「富樫、こいつ、同級生だよ」
「は?」
富樫フリーズ。溶けるまでおまちください。


「1年C組。國寺宝(くにでらたから)だ。國寺組総長をやっている。惠の友人だね?よろしく頼むよ」
「よ、よろしく、お、お願い、します……」
「富樫よ。大丈夫だって」
「ハッハッハ」
國寺……豪快に笑っても、印象かわらねぇよ。
「んじゃ、俺たち急いでるから。またな」
「おう。何かあったら言ってくれよな!」
言いづらいっての。


「職員室早く行こうぜ。」
 固まる富樫を促し、職員室に向かう。
「きゃっ」
「うおっ」
 しかし、途中の階段の手前で女の子とぶつかった。ちゃんと前見てなかった。幸い、軽く当たっただけ………
「わりぃ。大丈夫━━」
もにっ。もにっ!?!?!?
ふらふらっと転けそうになった俺が掴んだのは廊下の壁………ではなく、
「あぅ……あぅあぅあぅ」
女の子の胸を鷲摑みしていた。もにっ。本日すでに同じ感触を体感した気がするって………
「てっ、テメェれんげだけでなく喩衣さんにまで手を出してんじゃねぇぞ!」
「わっ、わりぃ。わざとじゃなくて、そ、その、な。すいませんでしたーーっ!」
なんで富樫に謝ってるんだ俺。


ラッキースケベは命取りです。みなさん気をつけましょう。言うまでも無く、富樫にはぶん殴られた。


壁┃☆≡≡≡


「ごめんね!ほんとごめん!」
「い、いえ、大丈夫です……」
「……………」
「……………あぅ」
相手の女の子はすでに涙目どころか今にも泣き出しそうだ。ほんとごめんなさい。
「ごめん!こっちも急いでたから!このとーり!」
「あっ、いえっ………き、気にしないでくださいっ………!そ、それに、………ほっぺ、大丈夫ですかぁ…………?」
「惠テメェは気にしろこのスケベ!あとなんで喩衣さんに心配されてるんだようらやましいよ!?」
富樫の言葉が痛い。ただ、言ってること間違って無いはずなのに締まらないのは富樫だからか。
「だ、大丈夫っ、ですからっ」
「ごめん!それじゃ、急いでるから!富樫、職員室行くぞ」
「へぇへぇわかりましたよムッツリスケベさん」
「なんか進化してない!?」
そのうちムッツ◯ーニにでもなるのだろうか。というか全力でなりたくないので今後「もにっ」には注意することにしよう。
「……………あっ、あのっ!」
「うおっと、…………どうした?」
 さっきの女の子に呼び止められた。振り向けばすでに富樫の姿はなく、置いてかれた。
「わ、わ、わ、」
「わ?」
「わっ………!」
 女の子は何か言いたそうなので待ってみる。「わっ」の後がワッショイではまずないだろう。何言ってんだおい。
「わたしっ!喩衣(ゆい)ももなと………言いますっ!」
「あっ、は、はい。俺は臼原 惠っていいます」
「う、うのはらさんですね!……あ、ありがとうございます!」
なぜか名前を言い合っただけでこれでもかと丁寧なお辞儀を繰り出す喩衣さん。
「わ、私のことはっ………ももなって……よんで………くだ……さぃ…………」
「あっ、……………はい。わかりました……?」
こうして、渋々引き受けたお見合いに美少女が登場するというシチュエーションを繰り広げた俺であった。俺、お見合いしたことないけど。


「惠~帰るぞ~」
「へいよ」


 妙高学園。スタートダッシュ失敗した気がするが、なんとかやっていけそうだと思う。
 よし。家に帰ったら早速日記に書いとくか。





    
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