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人工知能キララ397  1

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 受理はされていなかった。

 しかし、却下もされていない。

 どういう事だ?

 メールには『問い合わせたい事があります』というメッセージが……

 そこにあった電話番号に、スマホで電話をかけてみた。

 涼やかな女性の声がスマホから流れる。

『お電話ありがとうございます。こちらは札幌電子政府戸籍課。人工知能キララ397が、お電話を承りました』
「人工知能!? 君AIなの?」
『はい。札幌政府は人手が極度に不足しているため。私のような人工知能が業務の大半を行っております』

 とりあえず、キララに事情を話した。

『卓也様と香菜様の婚姻届には何も問題はありません。ただ、香菜様に関して確認する必要のある事があります』
「なんでしょう?」
『景虎という人物について、何かご存知ですか?』

 景虎? どこかで聞いたような気がするが……

「いや……特に知りません。聞いたような気がするのですが……」
『では、竜二という人物はご存じですか?』
「それは知っています」

 俺は経緯をキララに話した。

『なるほど。無法者二人組によってシェルターコミュニティが襲撃されたわけですね』
「そうです」
『実は昨日、香菜さんの合成写真を添付した婚姻届が二回送られてきたのです』
「なんだって!?」
『しかし、我が札幌電子政府に、合成写真は通用しません。どんなに巧妙に偽造しても、見破るソフトがあります。したがって、申請は却下しました』

 さすが、電子の歌姫を産んだ都市まち……
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