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人を殺せるのか?

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「お兄さん。レクチャーは明日で終わりです。そしたら、竜二と景虎の二人と戦わなければなりません」
「大丈夫だよ。香菜ちゃん」

 俺の代わりにミクちゃんが答える。

「お兄ちゃん、こう見えて凄い力持ちなんだから」
「でも……」
「どんな攻撃も防ぐ服だって、キララさんからもらったし」
「だけど……」
「鉄砲だってあるんだよ」
「お兄さんは……人を殺せるのですか? 私は、ゴキちゃんだって、殺せません」

 は! そうだった……殺処分って、生きている人間を殺すってことだよな?

 まともに人を殴ったこともない俺にできるのか?

 いや、小学生の時にクラスメートを殴ったことはある。

 だが、その時の罪悪感はひどかった。

 殴っただけでそうなのに……まして命を奪うなんてできるのか?

 気が付くと、ミクちゃんも香菜ちゃんも不安そうに俺を見ていた。

 この二人を守りたい。

 二人の不安を取り除いてあげたい。

 それには……

「香菜ちゃん。できるかどうかじゃないんだ。やらなきゃならないんだよ」
「お兄さん」
「君たちを守るためなら僕はなんだってやる。どんなに辛くても」
「……」
「なあに。僕は香菜ちゃんと違ってゴキブリは平気で殺せる。竜二と景虎なんてデッカイゴキブリだと思えばいい」
「お兄ちゃん」「お兄さん」
「さあ、お湯に入ろう」
「うん」「はい」

 そして、お湯の中で、いつも通り俺は二人の中に子種を送り込んだ。
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