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王妃の本性
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結婚式を挙げてから、私はヘンリーの家で同居することになった。
「おはようございます」
シーン……
私がこうして挨拶をしても、誰も返してくれない。使用人ですらそうだった。
そして今は、ヘンリーでさえ口をきいてくれない。
それには理由がある。
結婚式のあと、同居の話が出たとき、ヘンリーは何度も何度も、
「マロンと同じ部屋がいい! そのほうが、マロンにとってもいい話なんだよ!」
と駄々をこねた。
だが私は、「同じ部屋なら同居はしないし、離婚する」と必死で抵抗した。
同室になれば、常に見張られることになる。身動きが取れなくなるのは目に見えていたからだ。
だからといって、そんなことで拗ねて無視するなんて……子どもか。
どうやら、「やっぱりヘンリーと同じ部屋がいいわ」と私が言い出すまで、無視を続けるつもりらしい。
そんな完全アウェーな状況の中でも、ヘンリーの妻として、朝食と夕食は一緒に取らなければならなかった。
地獄の時間だ。
ゴブリン国王は食べ方が汚く、平気でゲップまでする。その姿を見ていると、食欲が失せる。
レイチェルはレイチェルで、
「これ嫌いって言ってるじゃない!作り直して!」
と使用人に当たり散らしていた。ワガママで、迷惑な女だ。
ふと、黙って上品に食事をしているサーシャ王妃が目に入った。
もしかしたら、王妃なら話が通じるかもしれない――そんな考えが浮かぶ。
うまく交流できれば、一緒に破滅する未来を変えられるのではないか。
そんな希望を抱いて、食事が終わったあと、私は意を決して声をかけた。
「サーシャ王妃!マロンです。あらためてご挨拶をさせてください」
すると、サーシャ王妃は今まで見たことのない表情を浮かべ、
「恥を知りなさい!」
と叫んだ。
その声に驚き、私が固まっていると、
「ついこの間まで平民だった、貧相な娘が……よくもこの私に話しかけてきたものね」
ゴミを見るような目で、そう言い放った。
「あなたのような下賤な女と同じ空気を吸うだけで不愉快よ。今後、一切話しかけてこないで」
冷たく言い捨てると、王妃はその場を立ち去ってしまった。
ゴブリン国王の前で見せる態度とは、まるで別人だった。
「おはようございます」
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私がこうして挨拶をしても、誰も返してくれない。使用人ですらそうだった。
そして今は、ヘンリーでさえ口をきいてくれない。
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「マロンと同じ部屋がいい! そのほうが、マロンにとってもいい話なんだよ!」
と駄々をこねた。
だが私は、「同じ部屋なら同居はしないし、離婚する」と必死で抵抗した。
同室になれば、常に見張られることになる。身動きが取れなくなるのは目に見えていたからだ。
だからといって、そんなことで拗ねて無視するなんて……子どもか。
どうやら、「やっぱりヘンリーと同じ部屋がいいわ」と私が言い出すまで、無視を続けるつもりらしい。
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と使用人に当たり散らしていた。ワガママで、迷惑な女だ。
ふと、黙って上品に食事をしているサーシャ王妃が目に入った。
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うまく交流できれば、一緒に破滅する未来を変えられるのではないか。
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すると、サーシャ王妃は今まで見たことのない表情を浮かべ、
「恥を知りなさい!」
と叫んだ。
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「ついこの間まで平民だった、貧相な娘が……よくもこの私に話しかけてきたものね」
ゴミを見るような目で、そう言い放った。
「あなたのような下賤な女と同じ空気を吸うだけで不愉快よ。今後、一切話しかけてこないで」
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