剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

文字の大きさ
90 / 246

第90話 打ち上げ

しおりを挟む
「ヒューヒュー!!クレアやるね~」



「ク、クレアさんが告白…なのです⁉」



「ふ、不純異性交遊は良くないです!!」



後ろで3人が騒ぎ立てている。

それを聞いて、これは夢ではなく現実であることを再認識した。



『前世を含めて年齢=彼女いない歴の俺が告られた…だと!?いや落ち着け…』


おそらくクレアは俺への憧れを恋と勘違いしているのだろう。

子供の恋愛でよくあることだ。



「…やっ、やっぱり今のは忘れてくれ!!一時の気の迷いだ!!」



「あ、ああ…」



「ちぇ~これからいじり倒せると思ったのに~」



告白を取り消したとはいえ、告白したという事実は消えない。

俺とクレアは変に照れ、会話がままならなくなってしまった。



「じゃ、じゃあ俺は師範のところに行ってくるから!!」



「あ、ああ!!オレ達は打ち上げの準備でもするぞ!!」



下手な誤魔化しをして、逃げるようにコロッセオの階段を上った。



『くそっ!!ヘタレか俺は!!これからクレアにどう接すればいいんだ…?』



そんなことを悩んでいる間に師範の部屋に着いてしまった。

何となく深呼吸をして落ち着いてから扉を開けた。



「弟子よ!!剣闘祭優勝おめでとうなのじゃ!!」



「うわっ!!びっくりした…ありがとうございます!!」



まさか師範が大声で褒めてくれるとは思わなかった。

予想外の出来事に、唖然としてしまった。



「これで閉会式の時に胸を張って妾の弟子だと宣言できるな。」



『あっ、なるほど…師範の弟子が優勝してないと言いずらかったんだな。』



「よし、切り替えて地下施設に行って稽古を始めるのじゃ!!」



「はい!!」



今日も今日とて案山子に打ち込みをするらしい。

だが、今は告白の一件もあって落ち着かないので単純作業の方がありがたい。



『心頭滅却心頭滅却心頭滅却…』



心の中でそう唱えながら、打ち込み続けた。



「…お主、身が入っておらんのじゃ。」



「す、すみません…」



「クレアとやらに告白されたからなのじゃ?」



「んっ!!ゲホッゲホッ…」



驚いて飲んだ水が気管に入ってむせてしまった。



「ど、どうして師範がそれを⁉」



「たまたま近くにいたのじゃよ。」



「そうだったんですね…」



全然気付かなかった。

まさか師範の他にも聞いた人はいないよな…?



「はぁ…今日の稽古はやめじゃ。クレアとやらとちゃんと向き合ってくるのじゃ。」



「は、はい。」



師範なりに気を使ってくれたのだろうか?

何はともあれ、俺も向き合わなければと思っていたのだ。



『クレアにどんな顔して会えばいいんだ…!?なんて声をかければ…?』



そんなことを不安に思いながら歩いていると、宿に着いてしまった。

俺は覚悟を決め、扉を開けた。



「おかえりなさいませ。アルフレッド様。」



「ただいまソフィア。」



「おかえりアルフレッド!!早かったな!!」



「た、ただいまクレア。」



どうやらいつも通りのようだ。

変に意識し過ぎていた。

俺もいつも通りに振舞おう。



「アイリス達に聞いたんだけどな、憧れと恋心を一緒にしてたらしいんだ!!悪かったな!!」



「やっぱりか?何となく分かってたから気にするな。」



今後のクレアとの関係がギクシャクしなくて済んで嬉しいような、人生初の告白が無かったことにされて悲しいような…

複雑な気持ちだ。



「じゃあアルフレッドの部屋で打ち上げするか!!」



「そうだな!!」



部屋の前に着くと、何やら中からドタバタと音が聞こえる。



「アルフレッド連れてきたぞー!!」



「ただいま~」



「せーのっ!!アルフレッド、」



「誕生日おめでとうございます!!」



「誕生日おめでと~!!」



「た、誕生日おめでとうなのです!!」



「誕生日おめでとう!!」



「…へ?あ、ありがとう。」



『…そういえば今日俺の誕生日だ!!』



剣闘祭やら稽古やらで忙しくて、すっかり忘れていた。

去年までは毎年家族で誕生日会を開いていたのに…



「でもどうして俺の誕生日を…?」



「ソフィアさんが教えてくれました。」



「そうだったのか…ん?」



『どうしてソフィアが俺の誕生日を知ってるんだ…?』



誕生日なんて今まで誰にも聞かれなかったし、無論自分から話すようなこともしていない。

まさか俺の部屋を漁って誕生日を探ったのだろうか…?



『…いや、まさかな。』



「ア、アルフレッド!!」



「どうしたクレア?」



「これ、4人からのプレゼントだ!!」



「ありがとう!!」



それは一辺15cmほどの小さな箱で、とても軽い。

赤い紙とリボンで丁寧に包装されている。



「開けてもいいか?」



「もちろんだ!!」



紙を破らないよう丁寧に包み紙を取って箱を開けると、首飾りが入っていた。

縦3cmほどの長さで、合金と天然石でできているようだ。



「これは…フレンドリーアミュレットか!!」



「おう!!」



これは仲の良い友人に送るプレゼントの象徴とされている。

”永遠の友情”や”離れていても心は一緒”などの意味を持っている。



「これであたし達はずっと仲良しだね~!!」



「な、仲良しなのです!!」



4人を見てみると、皆同じ首飾りを付けていた。

前世では友人と呼べる存在が1人もいなかった俺にとって、これはとても嬉しかった。



「誕生日会兼打ち上げを始めようぜ!!アルフレッド!!」



「ああ!!剣闘祭アインザス校の優勝に…乾杯!!」



「かんぱ~い!!」



それから今までの思い出や5人がそれぞれ出会う前のエピソードを語り明かした。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。  彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。  しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。    ――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。  その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...