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第108話 古代文明都市 第1廃棄施設

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オーク型機械生命体達の得物はどれも近接武器…

彼らが持つ武器を無傷で回収するためには接近戦で仕留めたいところだが…



『数が多すぎるな…仕方ない。ある程度まで間引くか。』



オーク型は一直線にこちらへ襲い掛かってくる。

俺はその集団へ向かって両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を行使して斬撃を放った。



『…おぉ、十分通用するみたいだな!!』



TP5,000消費で”闘気操術”を行使しているだけのことはある。

放った斬撃は硬い鋼鉄の身体すらスパッと両断した。



距離はまだ70m程度ある。

ソードスキルの行使が終了したが、そのまま”ノヴァディザスター”へスキルチェインして再び斬撃を放った。



「ハハハイジョハイジョ排除排除…!!!」



『入り口で出会った犬型と違ってこいつらは学習しないのか。そういう意味でも不良品だったのか。』



これなら思っていたよりも簡単に殲滅できそうだ。

とは言ったものの、流石に多勢に無勢だ。



後ろは壁で、左右に展開して距離を取ろうにも完全に包囲されている。

俺は距離を取ることができず、その場で”ノヴァディザスター”を行使し続けた。



数分後



向かってくるオーク型のほとんどを斬撃で仕留め、残りは6体だけだ。

そのうち5体は進化個体なのか、通常個体を両断した斬撃が通用しなかった。



さらに、最奥で居座っている残りの1体は特殊個体なのだろうか?

鉄の肌は銀色をしているが、最奥の個体だけ黒みがかっているのだ。

彼は”ノヴァディザスター”の斬撃を拳で殴り、相殺した。



『扉を殴り壊したのは多分あいつだな。どうやって仕留めるか…?』



進化個体5体の得物は右からドリル、片手剣、槍、片手剣、ドリルである。

既に5m先くらいまで距離を詰められているので、ここは近距離戦闘をするしかないだろう。



「はぁぁぁ!!!!!!」



そうと決まれば速攻だ。

武器強化を施し、1番右にいた個体へ両手剣Lv.6”ジェットスマッシュ”を行使した。



『ちっ…!!やっぱり硬いな…』



攻撃はオーク型進化個体の胴体に直撃した。

しかし、刃が数cmめり込んだだけで斬り落とすことができなかった。



『っと、危ねっ!!このドリル怖いな…』



ウィィンと鳴り響くドリルは回転量が凄まじく、触れるだけで皮膚を持っていかれるだろう。

グレートバスタードソードの側面で防ごうにも、穴を開けられる可能性が高い。



『厄介だな…』



間合いを取りつつそんなことを考えている間に、残りの4体も攻撃を仕掛けてきた。

だが知性の不具合によりそれぞれが利己的な行動をするため、お互いの邪魔になっている。



『…今だ!!』



ドリルを持つ進化個体と片手剣を持つ進化個体が武器を振り上げたところで、両者の間を駆け抜けた。

彼らは俺を追うようにして攻撃した結果、両者の装甲を破損させた。



「ギギギギギギ……装甲ノ破損ヲ確認……敵ヲ排除シマス…」



「ギギギギギギ……装甲ノ破損ヲ確認……敵ヲ排除シマス…」



『おぉ…!!想像以上に上手くいったな…!!』



どうやら自身を傷つけた対象を敵と判断するプログラムがされているようだ。

装甲を破損させてその傷から倒すつもりだったが…

俺が手を下すまでもなく自滅するだろう。



『…そういえば音声が通常個体より若干ましだったな。進化個体は不具合が少ないのか?』



…そうではないようだ。

互いを排除しようと進化個体同士で戦闘が始まったところで、他の3体も戦闘に巻き込まれた。

そして自身を傷つけた相手を敵と判断し、戦闘の規模が大きくなった。



『連鎖するとは思わなかった。…まあ俺は楽できるしいいか。』



通常個体を”ノヴァディザスター”で殲滅しているときに気付いたのだが、こいつらは人為的な創造物だが倒すと経験値が入るようだ。

先程、20体目くらいを倒したところでLvが103→105に上がったのだ。



『経験値が勿体ないし、漁夫ってとどめだけ奪うか。』



数分後



『ふぅ…無事成功したな。ところで最奥にいる特殊個体はいつになったら動くんだ?』



最初は通常個体の群れと共に勢いよく押し寄せてきた。

だが拳で斬撃を相殺したときのように、攻撃を防ぐとき以外は全く動かないのだ。



『カウンター攻撃型の機械なのか…?それとも罠か…?』



どうにも嫌な予感がする。

まるでじっと待って相手を誘い込んでいるような、そんな気がするのだ。



不気味な分、キリングベアやジェノスタイガーと戦ったときよりも緊張する。

俺はゴクリと唾をのみ、じわじわと距離を詰めていった。



『あと30m…20m…』



「弟子よーーー!!!そろそろ終わったのじゃ?」



「師範…!?って、下!!下!!」



「む…?ぬおぉぉ!!!」



向こうの空から勢いよく師範が飛び降りてきて、その落下点にちょうど特殊個体がいたのだ。



「邪魔なのじゃ!!」



師範は黄金に光っている身体と同じくらい大きい片手剣を振りかぶった。

特殊個体は予想通りカウンター攻撃型だったようで、間合いに入ると同時に右アッパーで迎撃した。



剣と拳がぶつかった瞬間。

ガキンッ!!という大きな金属音が響くとともに、特殊個体の身体が瓦解した。



「えっ…?」



「む…なかなか硬かったのじゃ。」



『壊れかけだったのか…?いやでも強力な斬撃を相殺したよな…?』



師範が強かったのか特殊個体が弱かったのか…

真実は分からないが、師範の力が底知れないということだけは分かった。



『特殊個体と戦ってみたかった…強そうだったのに…』



目の前で好物を横取りされたような、悲しい気分になった。
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