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第110話 調合
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「イーリス草についてどのくらい知っておるのじゃ?」
「確か魔物が多いところで採取できるんですよね?」
「うむ。ではどうして魔物が多い場所なのじゃ?」
「それは…分かりません。」
屋敷や冒険者学校では生活に役立つ知識だけしか学ばなかった。
せいぜい採取場所や注意事項などといった必要最低限の知識だ。
「うむ。まずは魔物について教えるのじゃ。魔物の生命源は何か知っておるのじゃ?」
「魔石…ですよね?」
「うむ。では魔石を構成する要素はなんじゃ?」
「魔道具として使われてますし…TPでしょうか?」
「ハズレじゃ。妾が研究して名付けたんじゃが…魔石は魔素で構成されておるのじゃ。」
「魔素…」
前世の異世界作品で登場していた単語だった気がする。
とはいえ、かれこれ10年前くらいのことなのであまり覚えていないが…
「魔物にとっては有益じゃが、人族が吸い込みすぎると体調を崩し…最悪死に至るものじゃ。」
「そういえば、過去に冒険者が魔石を食べる実験が行われてましたね。」
「よく勉強しているのじゃ。結果は被検体の死亡で幕が閉じた実験じゃな。では、冒険者がイーリス草を調合前に食べたり傷口に貼った記録は知っておるのじゃ?」
「いえ。…どうなったんですか?」
「さっき言った通り、イーリス草は魔素の多いところで魔素を吸収して育つのじゃ。ということは?」
「解毒しないとイーリス草は単なる毒草でしかなかった…」
「その通りじゃ。結局その冒険者は毒状態に陥ったのじゃが、毒回復薬で助かったのじゃよ。」
「なるほど…」
薬も量や飲み合わせ次第で毒になるというが、まさにその典型的な例だ。
では、”状態異常無効”のユニークスキルを持つ俺が調合前に接種したらどうなるのだろう?
『回復効果を得られるのか、それとも毒を無効化するだけで何の効果も得られないのか…試してみるか。』
畑に植えてあったイーリス草の葉を1枚摘み、口に含んだ。
ちなみに葉は横3cm縦7cmくらいだ。
「ちょっ、お主今の話聞いておったのじゃ!?」
「ちょっと気になりまして…あれ?」
「どうしたのじゃ!?」
『”状態異常無効”のユニークスキルが発動してない…ここのイーリス草は毒を持っていないのか?』
それだけではなかった。
先程のオーク型機械生命体達との戦闘で減っていたHPが回復したのだ。
『”状態異常無効”があれば生でも回復薬として使えるのか…』
とはいえ、HP回復量は回復薬よりも断然少ない。
回復薬が無くなったり、戦闘で忙しくて飲めない時に使えそうだ。
「お主…なんともないのじゃ?」
「はい。」
「増幅薬の時といい、お主は状態異常に対する抵抗を持っているようじゃしな。」
「いえ…そもそもここのイーリス草は毒を持ってないかもしれません。」
「むっ、そんなはずは…いや、言われてみれば確かにここには魔素が全くと言って良いほどないのじゃ。」
そう、ここは本来イーリス草が育ち得る環境ではないのだ。
”鑑定”で表記される品種改良済とは、品質以外にこのことも含まれているのだろう。
「オ客様。」
「…どうかしましたか?」
「ソノママ服用スルコトハ推奨シマセン。ヨロシケレバ、向コウノ調合室ヲゴ利用クダサイ。」
「いいんですか…?」
「ハイ。」
「ありがとうございます!!」
「ふむ…是非妾の助手に欲しいのじゃ…」
「それは無理かと…」
「冗談じゃ。」
調合室に入ると、そこには必要な道具一式が揃っていた。
「さて、早速回復薬の調合方法を教えるのじゃ!!妾に従って調合するのじゃぞ?」
「はい!!」
「まずはイーリス草をすり鉢に入れて、すりこぎですり潰すのじゃ。繊維が細かくなればなるほど良いのじゃよ。」
すりこぎにTPを流しながらすり潰したら変化があるのだろうか?
気になるが、初めてなのでまずは手本通り忠実にこなした。
「次に水を沸騰させて、すり潰したイーリス草を入れるのじゃ。水の目安は葉10枚に対して100mLくらいじゃな。」
「分かりました。」
計量カップのようなもので水を測り、鍋に入れた。
すると、ポットのように自動で温めて熱湯になった。
「これは便利じゃな…弟子よ、”アイテムボックス”に収納しておくのじゃ。」
「あの管理人が見てますけど…?」
「む…自重するのじゃ。」
俺も是非収納して地上で売りさばくか、日常で使いたいが…
畑管理ユニットに窃盗がばれて、機械生命体を呼ばれたら厄介なので辞めておこう。
「浮かんでくる灰汁を取りつつ、水が濃い青に変色するまでよく煮込むのじゃ。あとは変色した水をろ過してすり潰したイーリス草をこし取り、冷まして容器に入れたら完成なのじゃ。」
「思ったより簡単ですね。」
「うむ。…といってもこれは簡易版で、本場の薬師たちは回復効果を持つ植物を数十種類も掛け合わせてるようじゃがな。」
「そうなんですね…」
そういえば母上からいただいた回復薬はランクが高い物や効力の高いものばかりだったが…
もしかして母上は薬師だったのだろうか?
『いや…薬師なんて希少職だし、そんな身近にいるわけないか。』
それから残りの手順を終え、無事に回復薬Aが完成した。
全体でかかった時間は20分ほどだ。
『SSランクの素材使ったのにAランク…もったいないことをしたな。』
師範はSランクの回復薬を完成させたようだ。
俺も練習して、もっとランクの高い物を作れるようになりたい。
「確か魔物が多いところで採取できるんですよね?」
「うむ。ではどうして魔物が多い場所なのじゃ?」
「それは…分かりません。」
屋敷や冒険者学校では生活に役立つ知識だけしか学ばなかった。
せいぜい採取場所や注意事項などといった必要最低限の知識だ。
「うむ。まずは魔物について教えるのじゃ。魔物の生命源は何か知っておるのじゃ?」
「魔石…ですよね?」
「うむ。では魔石を構成する要素はなんじゃ?」
「魔道具として使われてますし…TPでしょうか?」
「ハズレじゃ。妾が研究して名付けたんじゃが…魔石は魔素で構成されておるのじゃ。」
「魔素…」
前世の異世界作品で登場していた単語だった気がする。
とはいえ、かれこれ10年前くらいのことなのであまり覚えていないが…
「魔物にとっては有益じゃが、人族が吸い込みすぎると体調を崩し…最悪死に至るものじゃ。」
「そういえば、過去に冒険者が魔石を食べる実験が行われてましたね。」
「よく勉強しているのじゃ。結果は被検体の死亡で幕が閉じた実験じゃな。では、冒険者がイーリス草を調合前に食べたり傷口に貼った記録は知っておるのじゃ?」
「いえ。…どうなったんですか?」
「さっき言った通り、イーリス草は魔素の多いところで魔素を吸収して育つのじゃ。ということは?」
「解毒しないとイーリス草は単なる毒草でしかなかった…」
「その通りじゃ。結局その冒険者は毒状態に陥ったのじゃが、毒回復薬で助かったのじゃよ。」
「なるほど…」
薬も量や飲み合わせ次第で毒になるというが、まさにその典型的な例だ。
では、”状態異常無効”のユニークスキルを持つ俺が調合前に接種したらどうなるのだろう?
『回復効果を得られるのか、それとも毒を無効化するだけで何の効果も得られないのか…試してみるか。』
畑に植えてあったイーリス草の葉を1枚摘み、口に含んだ。
ちなみに葉は横3cm縦7cmくらいだ。
「ちょっ、お主今の話聞いておったのじゃ!?」
「ちょっと気になりまして…あれ?」
「どうしたのじゃ!?」
『”状態異常無効”のユニークスキルが発動してない…ここのイーリス草は毒を持っていないのか?』
それだけではなかった。
先程のオーク型機械生命体達との戦闘で減っていたHPが回復したのだ。
『”状態異常無効”があれば生でも回復薬として使えるのか…』
とはいえ、HP回復量は回復薬よりも断然少ない。
回復薬が無くなったり、戦闘で忙しくて飲めない時に使えそうだ。
「お主…なんともないのじゃ?」
「はい。」
「増幅薬の時といい、お主は状態異常に対する抵抗を持っているようじゃしな。」
「いえ…そもそもここのイーリス草は毒を持ってないかもしれません。」
「むっ、そんなはずは…いや、言われてみれば確かにここには魔素が全くと言って良いほどないのじゃ。」
そう、ここは本来イーリス草が育ち得る環境ではないのだ。
”鑑定”で表記される品種改良済とは、品質以外にこのことも含まれているのだろう。
「オ客様。」
「…どうかしましたか?」
「ソノママ服用スルコトハ推奨シマセン。ヨロシケレバ、向コウノ調合室ヲゴ利用クダサイ。」
「いいんですか…?」
「ハイ。」
「ありがとうございます!!」
「ふむ…是非妾の助手に欲しいのじゃ…」
「それは無理かと…」
「冗談じゃ。」
調合室に入ると、そこには必要な道具一式が揃っていた。
「さて、早速回復薬の調合方法を教えるのじゃ!!妾に従って調合するのじゃぞ?」
「はい!!」
「まずはイーリス草をすり鉢に入れて、すりこぎですり潰すのじゃ。繊維が細かくなればなるほど良いのじゃよ。」
すりこぎにTPを流しながらすり潰したら変化があるのだろうか?
気になるが、初めてなのでまずは手本通り忠実にこなした。
「次に水を沸騰させて、すり潰したイーリス草を入れるのじゃ。水の目安は葉10枚に対して100mLくらいじゃな。」
「分かりました。」
計量カップのようなもので水を測り、鍋に入れた。
すると、ポットのように自動で温めて熱湯になった。
「これは便利じゃな…弟子よ、”アイテムボックス”に収納しておくのじゃ。」
「あの管理人が見てますけど…?」
「む…自重するのじゃ。」
俺も是非収納して地上で売りさばくか、日常で使いたいが…
畑管理ユニットに窃盗がばれて、機械生命体を呼ばれたら厄介なので辞めておこう。
「浮かんでくる灰汁を取りつつ、水が濃い青に変色するまでよく煮込むのじゃ。あとは変色した水をろ過してすり潰したイーリス草をこし取り、冷まして容器に入れたら完成なのじゃ。」
「思ったより簡単ですね。」
「うむ。…といってもこれは簡易版で、本場の薬師たちは回復効果を持つ植物を数十種類も掛け合わせてるようじゃがな。」
「そうなんですね…」
そういえば母上からいただいた回復薬はランクが高い物や効力の高いものばかりだったが…
もしかして母上は薬師だったのだろうか?
『いや…薬師なんて希少職だし、そんな身近にいるわけないか。』
それから残りの手順を終え、無事に回復薬Aが完成した。
全体でかかった時間は20分ほどだ。
『SSランクの素材使ったのにAランク…もったいないことをしたな。』
師範はSランクの回復薬を完成させたようだ。
俺も練習して、もっとランクの高い物を作れるようになりたい。
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