剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第180話 迷宮都市 到着

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決闘都市を出発してから10日が経った。

俺たちは帝国周辺の森林地帯は抜けたが、まだ王国周辺の草原地帯にいる。



「…まだ着かないのか?」



「既に王国領に入ってはいますが、あと5日ほどかかるでしょう。」



「ちぇ~!!」



「楽しみなのは分かりますが、クレアはさっきからそれしか言ってませんよ?」



「スーも同じなのです。」



最初のトランプや会話で盛り上がっていたのだが、それも数日で飽きてしまった。

野営時に軽く模擬戦をやっているが、それだけでは全然物足りないらしい。

幸か不幸か魔物や盗賊が全く襲い掛かってこないことが、退屈な時間にさらに拍車をかけているのだ。



「TP循環の練習でもしたら…って、皆もちろんやってるよな。」



「はい。もう慣れたので一日中ずっと循環させています。」



「だよなぁ…仕方ない。ちょっと待ってろよ。」



俺は”アイテムボックス”から縦横に線が引かれた正方形の木の板と表裏が白黒と色の異なる小さい円状の木の板を取り出した。

そう、前世の代表的な娯楽であるリバーシだ。

創造神様から前世の娯楽を持ち込んではならないとは言われていないので、おそらく大丈夫だろう。



「これは…なんですか?」



「ルールを説明するぞ。まず…」



俺の判断は合っていたらしく、5人ともリバーシに熱中して退屈することはなくなった。

今まで”アイテムボックス”の物品確認などで時間を潰していたが、5人に誘われて俺も一緒に遊んだ。



それからさらに10日ほどが経った。



「おっ、見えてきたぞ!」



「おぉ~!!おっきいね~!!」



「確か迷宮都市はスタンピードによってダンジョンから魔物が溢れ出ることがあるため、頑丈な外壁を何重にも立てているからですね。」



「なるほど~」



アイリスの言った通り、迷宮都市は中央から順番にダンジョン、商業区域、生活区域、街の外とそれぞれ第1~3外壁で覆われている。

その外壁ごとに騎士団が配置されているため、迷宮都市は世界一警備が厳しい都市としても知られている。



ちなみに迷宮都市の代表的な商業は冒険者を生かした都市開発なので、商業区域には武器屋や宿が多い。

御者にチップを弾んで馬車を降り、商業区域へ向かった。



「身分証の提出と所持品確認にご協力をお願いします。」



「はい。」



「…問題ありません。ごゆっくりどうぞ。」



門をくぐると、碁盤の目状に建てられた生活区域が姿を現した。

これに対し、帝国は王城や広場などを中心に放射線状に道が伸びているのが二国間の差異だ。

住宅はどれも破損しておらず、スラムの人々もいないように見える。



「ここは良い街のようですね。」



「…と言うと?」



「民度の低い街や経済未発達の街はスラムや貧民が門の前に集まっているのです。来訪者達から憐れみによる食事やお金をもらうためです。」



「ソフィアは物知りだね~!!」



「皆様をお待ちしている間にお役に立てるよう勉学に励んでいますので。」



「無理はしないでくださいね?」



「ご心配には及びません。アルフレッド様の後を追いましょう。」



生活区域の様子を観察しながら歩き、第2外壁に到着した。

先程の第3外壁よりは薄いが、それでもがっしりとそびえ立っている。



「身分証の提出と所持品確認にご協力をお願いします。」



「はい。」



「…問題ありません。ごゆっくりどうぞ。」



門をくぐると、目の前にはまた碁盤の目状に建つ建築物が広がった。

しかし先程とは違い、出店や実演販売が多く客寄せなどで賑わっている。



「おぉ…!あのガントレット良さそうじゃないか!?」



「待て待て…クレアはもう持ってるだろ。」



「そうだったな。つい釣られて…」



「クレアが散財しないといいですけど…」



「し、心配なのです!」



クレアは案外押しに弱いので、本当に心配だ。

常に2人以上で行動させるようにしておこう。



「まずは宿を確保する必要がありますね。私にお任せください。」



「ん?ソフィアはここに来たことがあるのか?」



「いえ。ですが、本で穴場の宿泊宿からおすすめしない食事処まで把握しております。」



「頼りになるな。じゃあ案内を頼む。」



「かしこまりました。」



それからソフィアの案内の元、猫耳宿という宿に到着した。

そこは猫獣人が働く亜人宿のため安価で、かつ綺麗な場所らしい。



ちなみに猫獣人にはほとんど人間に近いタイプとほとんど猫に近いタイプの二種類が存在する。

前者は人間に猫耳と尻尾を付けた感じで、後者は二足歩行の猫といった感じだ。

どちらも猫の習性は残っており、鍛えなければ水が苦手だったり置いてある箱に入ったりするらしい。



「いらっしゃいませにゃ~!!ご宿泊ですにゃ?それとも食事ですにゃ?」



『かわ…いいっ!!猫の種類はほとんど分からないけどかわいい…!!』



受付にいたのは160cmほどの茶髪茶目を持つ人間似の美少女だった。

語尾がにゃの猫獣人に見惚れているうちに、ソフィアが宿の確保を終えてしまった。

セット料金で安くなる9泊10日で契約したらしい。



「では行ってらっしゃいませにゃ~!!」



美少女猫獣人に見送られ、ソフィアを残して俺達は冒険者ギルドへと向かった。
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