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第183話 パーティーハウス
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「不動産商会から離れてよろしかったのですか?」
「はい。そろそろ交代時間ですし、休憩室に先輩がいましたので。」
「そうだったのですね。」
雑談をしながらまずはソフィア、スー、俺が選んだ物件へと足を運んだ。
道中には美味しそうな匂いを放つステーキや甘味の出店が数多く立ち並んでおり、クレアやイザベルが耐えきれず何回か寄ってしまった。
「着きました。私はこちらで待っておりますので、ごゆっくり見学ください。」
「ありがとうございます。」
そこはまさに豪邸という単語が相応しい見た目で、屋敷ほどではないがそれなりに広かった。
庭はただの土の地面だが、道の周囲に植物を植えたら間違いなくより美しくなるだろう。
「この外観で金貨840枚…かなりお買い得ですね。」
「おっしゃる通りです。私はそこに着眼点を置いたのです。」
「なるほど…」
「隅から隅まで見て回ろうぜ!!」
「そ、そうなのです!」
入り口の門からまずは一周するようにして家の外を見て回った。
少し長い間放置されていたため建物の裏には雑草が少し生えていたが、それ以外の塗装剝がれや腐敗などはなかったので問題ない。
塀は高く周りから視線が通らないので、女性陣のお風呂を覗かれる心配もなさそうだ。
「思った以上に良いね~!」
「だな。次は中を見てみるか。」
木製のような鉱石製のような素材で高級感がある黒色の扉を開けて家の中に入ると、新遺跡を思い出させるかのような白色を基調とした綺麗な床や壁が視界を覆った。
玄関は6人が立っても狭さを感じさせないほど広く、家具が一切置かれていないため目の前にはまるで広場のようなリビングが現れた。
「広いですね。家具を置くことを考えても十二分の広さはありそうです。」
「しょ、食卓も皆で囲めそうなのです!!」
それからダイニング、8つの個人部屋、そして湯舟付きの風呂を見て回った。
ダイニングと個人部屋は広さも構造も申し分なかった。
風呂の湯舟は縦2m横1m深さ60cmほどと、足を伸ばしても余裕があるほど広い。
前世では水道代と時間節約を兼ねてシャワー派だったが、湯舟に浸かることがなんとも魅惑的に見えた。
「なかなか良かったな!!」
「流石はソフィアの観察眼ですね。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
「見終わったみたいですね。では次の物件に向かいましょうか。」
再び女性店員の案内の元、今度はアイリス、イザベル、クレアの選んだ物件へと足を運んだ。
徐々に街の中心へ近づいていき、遥か上空までそびえ立っているいくつものダンジョンがより大きく、より高く感じられる。
「着きました。。私はこちらで待っておりますので、ごゆっくり見学ください。」
「ありがとうございます。」
そこは豪邸というより没落貴族の屋敷という単語が似合う見た目で、どこか窮屈さを感じさせた。
少し狭めと書かれていた庭は思った以上に狭く、子供の遊び場程度の広さしかない。
あくまで俺が感じた感想だが、アイリスやイザベルを見てみると2人とも少し顔を引きつらせていた。
先程と同様、まずは入り口の門から一周するようにして家の外を見て回った。
少し長い間放置されていたはずなのだが、雑草は全く生えていなかった。
所々にある塗装剝がれで建築材料の色が見え隠れしており、それが没落貴族の屋敷を彷彿とさせるのだろう。
「雑草が無いことから察するに手入れはされているようですが…思ったより酷いですね。」
「違うみたいだよ~」
「と言いますと?」
「手入れしなくても、土が死んでるから雑草すら生えてこないんだよ~」
「そういえばスーの実家は農家だったっけ?」
「うん!小っちゃい頃にお父さんから教わったんだ~」
農家の娘が太鼓判を押したので、土が死んでいるということは間違いないだろう。
となると、例えば庭を訓練用ではなく観賞用に変えて植物を植えようとしても難しいことになる。
物件情報はなかなか良さげだったのだが、先程から悪い点ばかり見つかっていく。
「と、とりあえず中を見てみましょう。」
先程と似た黒色の扉を開けて家の中に入ると、木の茶色を基調とした床や壁が視界を覆った。
玄関は6人が立ってちょうどいい程度の広さだが、下駄箱が設置されていた。
リビングとダイニングには巨大な木の円形テーブルと椅子8つが円卓のように設置されていた。
それぞれ食卓とパーティー会議として使えそうだ。
8つの個人部屋には骨組みだけのベッドが置かれていた。
そのため先程の物件とは異なり、枕や布団などの寝具を買うだけですぐに寝泊り可能になる。
風呂は水を作る魔道具と桶が置かれたシンプルな構造で、湯舟がない分寝転がれるほどの広さがある。
先程の物件を見た後だと湯舟が欲しくなる気がするが、増設は可能とのことだ。
「これで金貨1,250枚…家具付きは良いがこの外観でこの値段は少し高く感じるな。」
「私も同じです。ソフィアの選んだ方が何倍も良いですね。」
「ボ、ボクも思ってたのと違ったのです…」
「オレもだ!!あっちの物件はダンジョンに向かう途中に歩き食べできるしな!!」
「じゃあさっきの物件で決定ってことでいいか?」
「はい!!」
それから不動産商会に戻り、金貨840枚を一括払いして豪邸を購入した。
土地税として毎年金貨30枚を要求されるのだが、キリが良いので2年分金貨60枚を支払った。
「よしっ!!それじゃあ一旦猫耳宿に戻るぞ!家具購入はまた明日だ。」
「おう!」
「はい!」
パーティーハウスを購入したことで気分が舞い上がり、笑顔で宿に帰った。
受付の美少女猫獣人に変な目で見られたが、それは見なかったことにしよう。
「はい。そろそろ交代時間ですし、休憩室に先輩がいましたので。」
「そうだったのですね。」
雑談をしながらまずはソフィア、スー、俺が選んだ物件へと足を運んだ。
道中には美味しそうな匂いを放つステーキや甘味の出店が数多く立ち並んでおり、クレアやイザベルが耐えきれず何回か寄ってしまった。
「着きました。私はこちらで待っておりますので、ごゆっくり見学ください。」
「ありがとうございます。」
そこはまさに豪邸という単語が相応しい見た目で、屋敷ほどではないがそれなりに広かった。
庭はただの土の地面だが、道の周囲に植物を植えたら間違いなくより美しくなるだろう。
「この外観で金貨840枚…かなりお買い得ですね。」
「おっしゃる通りです。私はそこに着眼点を置いたのです。」
「なるほど…」
「隅から隅まで見て回ろうぜ!!」
「そ、そうなのです!」
入り口の門からまずは一周するようにして家の外を見て回った。
少し長い間放置されていたため建物の裏には雑草が少し生えていたが、それ以外の塗装剝がれや腐敗などはなかったので問題ない。
塀は高く周りから視線が通らないので、女性陣のお風呂を覗かれる心配もなさそうだ。
「思った以上に良いね~!」
「だな。次は中を見てみるか。」
木製のような鉱石製のような素材で高級感がある黒色の扉を開けて家の中に入ると、新遺跡を思い出させるかのような白色を基調とした綺麗な床や壁が視界を覆った。
玄関は6人が立っても狭さを感じさせないほど広く、家具が一切置かれていないため目の前にはまるで広場のようなリビングが現れた。
「広いですね。家具を置くことを考えても十二分の広さはありそうです。」
「しょ、食卓も皆で囲めそうなのです!!」
それからダイニング、8つの個人部屋、そして湯舟付きの風呂を見て回った。
ダイニングと個人部屋は広さも構造も申し分なかった。
風呂の湯舟は縦2m横1m深さ60cmほどと、足を伸ばしても余裕があるほど広い。
前世では水道代と時間節約を兼ねてシャワー派だったが、湯舟に浸かることがなんとも魅惑的に見えた。
「なかなか良かったな!!」
「流石はソフィアの観察眼ですね。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
「見終わったみたいですね。では次の物件に向かいましょうか。」
再び女性店員の案内の元、今度はアイリス、イザベル、クレアの選んだ物件へと足を運んだ。
徐々に街の中心へ近づいていき、遥か上空までそびえ立っているいくつものダンジョンがより大きく、より高く感じられる。
「着きました。。私はこちらで待っておりますので、ごゆっくり見学ください。」
「ありがとうございます。」
そこは豪邸というより没落貴族の屋敷という単語が似合う見た目で、どこか窮屈さを感じさせた。
少し狭めと書かれていた庭は思った以上に狭く、子供の遊び場程度の広さしかない。
あくまで俺が感じた感想だが、アイリスやイザベルを見てみると2人とも少し顔を引きつらせていた。
先程と同様、まずは入り口の門から一周するようにして家の外を見て回った。
少し長い間放置されていたはずなのだが、雑草は全く生えていなかった。
所々にある塗装剝がれで建築材料の色が見え隠れしており、それが没落貴族の屋敷を彷彿とさせるのだろう。
「雑草が無いことから察するに手入れはされているようですが…思ったより酷いですね。」
「違うみたいだよ~」
「と言いますと?」
「手入れしなくても、土が死んでるから雑草すら生えてこないんだよ~」
「そういえばスーの実家は農家だったっけ?」
「うん!小っちゃい頃にお父さんから教わったんだ~」
農家の娘が太鼓判を押したので、土が死んでいるということは間違いないだろう。
となると、例えば庭を訓練用ではなく観賞用に変えて植物を植えようとしても難しいことになる。
物件情報はなかなか良さげだったのだが、先程から悪い点ばかり見つかっていく。
「と、とりあえず中を見てみましょう。」
先程と似た黒色の扉を開けて家の中に入ると、木の茶色を基調とした床や壁が視界を覆った。
玄関は6人が立ってちょうどいい程度の広さだが、下駄箱が設置されていた。
リビングとダイニングには巨大な木の円形テーブルと椅子8つが円卓のように設置されていた。
それぞれ食卓とパーティー会議として使えそうだ。
8つの個人部屋には骨組みだけのベッドが置かれていた。
そのため先程の物件とは異なり、枕や布団などの寝具を買うだけですぐに寝泊り可能になる。
風呂は水を作る魔道具と桶が置かれたシンプルな構造で、湯舟がない分寝転がれるほどの広さがある。
先程の物件を見た後だと湯舟が欲しくなる気がするが、増設は可能とのことだ。
「これで金貨1,250枚…家具付きは良いがこの外観でこの値段は少し高く感じるな。」
「私も同じです。ソフィアの選んだ方が何倍も良いですね。」
「ボ、ボクも思ってたのと違ったのです…」
「オレもだ!!あっちの物件はダンジョンに向かう途中に歩き食べできるしな!!」
「じゃあさっきの物件で決定ってことでいいか?」
「はい!!」
それから不動産商会に戻り、金貨840枚を一括払いして豪邸を購入した。
土地税として毎年金貨30枚を要求されるのだが、キリが良いので2年分金貨60枚を支払った。
「よしっ!!それじゃあ一旦猫耳宿に戻るぞ!家具購入はまた明日だ。」
「おう!」
「はい!」
パーティーハウスを購入したことで気分が舞い上がり、笑顔で宿に帰った。
受付の美少女猫獣人に変な目で見られたが、それは見なかったことにしよう。
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