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第199話 迷宮都市 騎士団副団長
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夕食後、俺は1人冒険者ギルドに向かった。
ギルマスに邪神教徒の報告をするためだ。
『ん…?なんか騒がしいな…』
普段とはどこか違う騒がしさを感じながら、扉を開けてギルドに入った。
すると、中には白銀の全身鎧に身を包んだ迷宮都市の騎士団6人と第18ダンジョンの門番2人がいた。
パウロが相手をしていたようだが、俺が入って来たことに気付くと申し訳なさそうに謝ってきた。
「あ、あいつだ!!」
「そうだ!!ダンジョン内で人を殺した殺人鬼だ!!」
『パウロが謝ったのはこういうことか…面倒だな。』
門番が俺を指差しながら騒ぎ立て、全員の視線が俺に集まった。
だが、騎士団の先頭にいた者がパンッ!と手を叩いたことでそちらへ移動した。
「お前たち…語るに落ちているぞ。」
手を叩いた騎士の鎧の中から優しく、そして強い信念を感じさせる女性の声が聞こえた。
よく見てみると、その女性の鎧と片手剣の鞘には薔薇の装飾が付いていた。
『白薔薇…っ!!騎士団副団長のティーナか!!』
彼女は幾度となく迷宮都市内外の事件を解決し、民間人を助けているので非常にファンが多い。
その上噂ではSランク冒険者と同等の力量も持ち合わせており、その美しい剣筋と装飾から白薔薇の二つ名を授かった。
「ずっと入り口で警備をしているはずのお前たちが、どうして中の様子を知っているのだ?」
「そ、それは…」
「扉から出て来た時に返り血を浴びていたんだ!!」
「はぁ…あくまでしらばっくれるつもりのようだな。」
副団長は深いため息をつくと、左手に嘘を見抜く魔道具の水晶を持って右手で鞘を付けたまま剣を抜いた。
そしてその剣先を俺…ではなく門番2人に向けた。
「質問だ。…お前たちは邪神教徒だな?」
「…っ!!違う!!」
「馬鹿野郎!!」
一方の門番が否定すると、今まで青白く透き通っていた水晶が赤く染まった。
おそらく答えた者は言葉巧みに上手く返答すれば魔道具が反応しないことを知らず、もう一方の者は知っていたが故に罵倒をしたのだろう。
「そうか…残念だ。」
副団長の目から期待の光が消え、怒りの眼光を表すと同時に水晶を天井近くまで投げた。
そしてこの場にいるほぼ全員の視線が水晶に向かった瞬間、剣で首を叩いて門番2人を気絶させた。
ドタンッ!と重いものが落ちる音が2つ聞こえた後、ギルド内は何が起きたのか理解できずに静寂に包まれた。
副団長は落ちてきた水晶をキャッチし、剣を腰に戻してこちらに歩み寄って来た。
そのうちに他の騎士団員達が門番2人の身柄を拘束した。
「アルフレッド殿、私の部下が申し訳ない。」
「ああ。…それで、その2人はどうするんだ?」
「騎士団詰め所内の拷問部屋で洗いざらい情報を吐かせてから死刑にすると約束しよう。」
「そうか。邪神教については全面的に協力するつもりだ。だから何か情報が分かったら知らせてくれると助かる。」
「了解した。感謝する。」
「じゃあ俺はギルマスに報告があるからこれで。」
副団長に軽く会釈し、騎士団達の横を通って受付にいるパウロの元へ向かおうとしたその時。
突然硬い手に俺の左腕を掴まれ、歩みを止めて振り返った。
すると、腕を掴んだ正体は副団長だった。
「待ってくれ。私も同行させて欲しい。」
「俺は副団長様も一緒で構わないぜ。」
「…分かった。今後共闘することもあるかもしれないしな。」
「感謝する!」
どこか嬉しそうな声色になった気がするのはきっと気のせいではないだろう。
もしかすると、兜の中は意外と俺達と同年代くらいなのかもしれない。
そんなことを考えながら階段を上り、ギルマス室に入った。
情報を漏らさないために部屋の鍵を閉めると、その疑問が解消した。
周囲を警戒する必要がなくなったからか、はたまた礼儀作法上の理由か、副団長が兜を外したのだ。
現れたのはエルフや獣人ではなく人間の、それも色白な肌に金髪碧眼を持つ超絶美人だった。
「…アルフレッド殿も行き遅れと私を罵倒するつもりか?」
「行き遅れ…?」
「いや、何でもない。この前25になって婚期を逃したせいでそう言われることが多くてな。」
「そうだったのか。副団長…さんほどの美人なら結婚相手に困ることはないと思ったぞ。」
「ティーナで構わない。確かに求婚してくる輩は多かったが、私は私より弱い者に興味がないのだ。」
「あー…そういう感じか。」
Sランク冒険者と同等の力量も持ち合わせていると噂されている人物より強い者となると、この世界でも数えるほどしかいないだろう。
「騎士団長はどうなんだ?そんな噂があったが…」
「団長は父のような存在だ。男として見るのはちょっとな…」
「なるほど…」
「女は寄り付いてくるんだがな…それに副団長の立場上お見合いする時間がなかなか取れなくてな。」
「騎士団も何かと大変なんだな。」
ペンシルゴン領守護騎士のレイフ兄様も同じなのだろうか。
今現在のレイフ兄様の実力は分からないが、怠けて鍛錬を怠っていなければティーナよりも強いだろう。
『ティーナほどの強くて美しい女性ならレイフ兄様も喜んでくれるかもしれない。…聞いてみるか。』
「ペンシルゴン領の守護騎士はどうだ?冒険者学校時代に見たことあるが、なかなかの強者だったぞ。」
「今代はレイフィールド=ペンシルゴン殿か。1度あってみたいものだ。」
「…ううんっ!!アルフレッド、副団長様、そろそろ報告を聞いてもいいかい?」
「あっ、すまん。」
「そうだな。始めるとしよう。」
ギルマスに邪神教徒の報告をするためだ。
『ん…?なんか騒がしいな…』
普段とはどこか違う騒がしさを感じながら、扉を開けてギルドに入った。
すると、中には白銀の全身鎧に身を包んだ迷宮都市の騎士団6人と第18ダンジョンの門番2人がいた。
パウロが相手をしていたようだが、俺が入って来たことに気付くと申し訳なさそうに謝ってきた。
「あ、あいつだ!!」
「そうだ!!ダンジョン内で人を殺した殺人鬼だ!!」
『パウロが謝ったのはこういうことか…面倒だな。』
門番が俺を指差しながら騒ぎ立て、全員の視線が俺に集まった。
だが、騎士団の先頭にいた者がパンッ!と手を叩いたことでそちらへ移動した。
「お前たち…語るに落ちているぞ。」
手を叩いた騎士の鎧の中から優しく、そして強い信念を感じさせる女性の声が聞こえた。
よく見てみると、その女性の鎧と片手剣の鞘には薔薇の装飾が付いていた。
『白薔薇…っ!!騎士団副団長のティーナか!!』
彼女は幾度となく迷宮都市内外の事件を解決し、民間人を助けているので非常にファンが多い。
その上噂ではSランク冒険者と同等の力量も持ち合わせており、その美しい剣筋と装飾から白薔薇の二つ名を授かった。
「ずっと入り口で警備をしているはずのお前たちが、どうして中の様子を知っているのだ?」
「そ、それは…」
「扉から出て来た時に返り血を浴びていたんだ!!」
「はぁ…あくまでしらばっくれるつもりのようだな。」
副団長は深いため息をつくと、左手に嘘を見抜く魔道具の水晶を持って右手で鞘を付けたまま剣を抜いた。
そしてその剣先を俺…ではなく門番2人に向けた。
「質問だ。…お前たちは邪神教徒だな?」
「…っ!!違う!!」
「馬鹿野郎!!」
一方の門番が否定すると、今まで青白く透き通っていた水晶が赤く染まった。
おそらく答えた者は言葉巧みに上手く返答すれば魔道具が反応しないことを知らず、もう一方の者は知っていたが故に罵倒をしたのだろう。
「そうか…残念だ。」
副団長の目から期待の光が消え、怒りの眼光を表すと同時に水晶を天井近くまで投げた。
そしてこの場にいるほぼ全員の視線が水晶に向かった瞬間、剣で首を叩いて門番2人を気絶させた。
ドタンッ!と重いものが落ちる音が2つ聞こえた後、ギルド内は何が起きたのか理解できずに静寂に包まれた。
副団長は落ちてきた水晶をキャッチし、剣を腰に戻してこちらに歩み寄って来た。
そのうちに他の騎士団員達が門番2人の身柄を拘束した。
「アルフレッド殿、私の部下が申し訳ない。」
「ああ。…それで、その2人はどうするんだ?」
「騎士団詰め所内の拷問部屋で洗いざらい情報を吐かせてから死刑にすると約束しよう。」
「そうか。邪神教については全面的に協力するつもりだ。だから何か情報が分かったら知らせてくれると助かる。」
「了解した。感謝する。」
「じゃあ俺はギルマスに報告があるからこれで。」
副団長に軽く会釈し、騎士団達の横を通って受付にいるパウロの元へ向かおうとしたその時。
突然硬い手に俺の左腕を掴まれ、歩みを止めて振り返った。
すると、腕を掴んだ正体は副団長だった。
「待ってくれ。私も同行させて欲しい。」
「俺は副団長様も一緒で構わないぜ。」
「…分かった。今後共闘することもあるかもしれないしな。」
「感謝する!」
どこか嬉しそうな声色になった気がするのはきっと気のせいではないだろう。
もしかすると、兜の中は意外と俺達と同年代くらいなのかもしれない。
そんなことを考えながら階段を上り、ギルマス室に入った。
情報を漏らさないために部屋の鍵を閉めると、その疑問が解消した。
周囲を警戒する必要がなくなったからか、はたまた礼儀作法上の理由か、副団長が兜を外したのだ。
現れたのはエルフや獣人ではなく人間の、それも色白な肌に金髪碧眼を持つ超絶美人だった。
「…アルフレッド殿も行き遅れと私を罵倒するつもりか?」
「行き遅れ…?」
「いや、何でもない。この前25になって婚期を逃したせいでそう言われることが多くてな。」
「そうだったのか。副団長…さんほどの美人なら結婚相手に困ることはないと思ったぞ。」
「ティーナで構わない。確かに求婚してくる輩は多かったが、私は私より弱い者に興味がないのだ。」
「あー…そういう感じか。」
Sランク冒険者と同等の力量も持ち合わせていると噂されている人物より強い者となると、この世界でも数えるほどしかいないだろう。
「騎士団長はどうなんだ?そんな噂があったが…」
「団長は父のような存在だ。男として見るのはちょっとな…」
「なるほど…」
「女は寄り付いてくるんだがな…それに副団長の立場上お見合いする時間がなかなか取れなくてな。」
「騎士団も何かと大変なんだな。」
ペンシルゴン領守護騎士のレイフ兄様も同じなのだろうか。
今現在のレイフ兄様の実力は分からないが、怠けて鍛錬を怠っていなければティーナよりも強いだろう。
『ティーナほどの強くて美しい女性ならレイフ兄様も喜んでくれるかもしれない。…聞いてみるか。』
「ペンシルゴン領の守護騎士はどうだ?冒険者学校時代に見たことあるが、なかなかの強者だったぞ。」
「今代はレイフィールド=ペンシルゴン殿か。1度あってみたいものだ。」
「…ううんっ!!アルフレッド、副団長様、そろそろ報告を聞いてもいいかい?」
「あっ、すまん。」
「そうだな。始めるとしよう。」
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