219 / 246
第219話 グリフィン伯爵家 秘密部屋
しおりを挟む
鉄の扉の罠と鍵を解除しようとしたところで、ふと疑問が湧いた。
財宝も魔道具も左右の部屋で手に入れた。
それならこの扉の奥にはいったい何があるのだろうか。
『…警戒した方が良さそうだな。』
念のため”闘気操術”を50%で行使し、”鬼人剣”を背中に背負った。
本来ならすぐに構えられるよう腰に帯刀するが、今は”罠解除”と”鍵開け”で両手が塞がっているためだ。
一応ローブの上に抜き身で背負っているので、構えるのに少し手間取るが怪我をすることは無い。
『ゲームみたいな構え方だな。…懐かしい。』
郷愁にふけるも気を取り直して扉へ両手をかざし、”罠解除”と”鍵開け”を行使して扉を開けた。
すると、目の前には魔法陣のようなものが描かれた台座と本がぎっしり詰まった棚が現れた。
その上蠟燭数本の灯火しかないため薄暗く、いかにも厨二病全開といった部屋である。
『この世界には魔法はないはずだが…まさかな?』
警戒しつつ台座の上にあった本を手に取って調べた。
本に書かれている言語は少なくとも俺が知っている物ではなく、その上達筆で読みにくい。
だが”言語理解”のおかげで難なく読むことができた。
『タイトルは…”悪魔召喚の儀式①”だと!?』
悪魔族といえば、数年前の魔物征伐時に中級悪魔を1度だけ見たことがある。
容姿は身体中にある黒い目玉に禍々しい虫の羽がついた、見ているだけで気持ち悪くなるものだった。
魔物を召喚する魔法的なユニークスキルを所持しており、スタンピードを引き起こした張本人だ。
魔法的なユニークスキルを所持する悪魔族であれば、召喚に魔法陣のようなものを使うのも納得がいく。
本は章ごとに分かれており、この本には初級悪魔と中級悪魔の召喚方法が記載されていた。
”悪魔召喚の儀式②”以降に上級悪魔や超級悪魔といった災厄級の召喚方法が記載されているのだろう。
パラパラとめくっていくと、この台座に描かれてる魔法陣は中級悪魔召喚のものであることが判明した。
そして召喚に必要な生贄として人族の童貞処女計30人と書かれている。
悪魔は神聖とされるユニコーンと同じく一種の変態なのだろうか?
この世界でも”童貞で30歳を迎えると魔法使いになる”と根拠なき噂がされているし、きっと魔法的な力があるのだろう。
『…ん?”構造探知”が変な挙動を…』
ジジジ…と音を立てながらこの奥に部屋のようなものが見え隠れしている。
もしかすると”偽装”に似た何らかの効果を上回って探知しているのかもしれない。
地面に散らばっている本を踏まないように進み、奥に着くと”構造探知”に反応が現れた。
『やっぱり隠し部屋か…ん?微弱ながら”生命探知”にも反応があるな…』
”鬼人剣”を構えて警戒しつつ隠し部屋へ入る手段を探した。
探すこと十数分、本棚に収納された本の後ろにボタンを発見した。
罠が無いことを確認してボタンを押すと、先程までただの壁だった箇所に横開きの扉が浮き出てきた。
『ダンジョン並みの技術力だな。それを世の中に使ってくれよ…』
扉を開けると、目の前には男性15名と女性11名を分けて投獄した牢屋2つを発見した。
死なない程度に毒を盛られているらしく全員が瀕死状態で倒れていた。
『…儀式用の生贄か!どうしたものか…』
助けるには助けるが、今助けると侵入クエストの邪魔になる。
それに、もし中級悪魔が召喚されて戦闘になれば確実に足手まといだ。
何とか助けるか今の状態のままどこか遠くへ移動したいところだが…
『…ん?あれは…』
牢屋の奥に何やら通路のようなものが見えた。
”構造探知”に意識を集中させてみると、この通路は伯爵領の近くの草原に繋がっていた。
地下室のことは私兵にも知らせていないようだし、秘密裏にここまで生贄を連れてくるための搬送ルートなのだろう。
『…盗るものはあらかた盗ったしな。悪魔が召喚されても厄介だしここは生贄を避難させるか。』
STR値に強化された腕力だけで鉄格子をぐにゃりと曲げ、女性牢に侵入した。
そして倒れている11人に麻痺回復薬とHP回復薬をかけて意識を取り戻させた。
すると、何やらこの11人の代表と思しき人間の女性が何かを言いたそうにこちらを見てきた。
「俺はBランク冒険者のアルフレッドだ。お前達を助けに来た。」
「本当ですかっ!?」
「静かに!!伯爵にばれたらまずいだろ?」
「す、すみません…」
「今から男性牢も開放して奥の通路から脱出する。お前達は準備をしておけ。」
「わ、分かりました!」
同じ手順で男性牢に囚われていた者たちも回復し、現状を説明した。
男性陣は女性陣より物分かりが悪かったが、女性陣が協力してくれたことで信用を得ることができた。
「あの、アルフレッドさん。」
「どうした?」
「立つのが久しぶりの者もおりまして…満足に歩けないのです。」
「…ちょっと待ってろ。」
何か台車のようなものが欲しいところだが、そんな都合よくはいかない。
周囲にはもちろん、”アイテムボックス”にもそんなものは存在しない。
「…仕方ない。俺が…っ!!」
突如、隠し階段前のリビングに何者かの反応があった。
その者は一切の迷いなく暖炉の中に駆け込み、踊り場に座り込んでいる。
その反応へ”鑑定”を行使してみると、不幸にもそれはグリフィン伯爵のものだった。
『…くそっ!タイミング最悪だな…!!』
財宝も魔道具も左右の部屋で手に入れた。
それならこの扉の奥にはいったい何があるのだろうか。
『…警戒した方が良さそうだな。』
念のため”闘気操術”を50%で行使し、”鬼人剣”を背中に背負った。
本来ならすぐに構えられるよう腰に帯刀するが、今は”罠解除”と”鍵開け”で両手が塞がっているためだ。
一応ローブの上に抜き身で背負っているので、構えるのに少し手間取るが怪我をすることは無い。
『ゲームみたいな構え方だな。…懐かしい。』
郷愁にふけるも気を取り直して扉へ両手をかざし、”罠解除”と”鍵開け”を行使して扉を開けた。
すると、目の前には魔法陣のようなものが描かれた台座と本がぎっしり詰まった棚が現れた。
その上蠟燭数本の灯火しかないため薄暗く、いかにも厨二病全開といった部屋である。
『この世界には魔法はないはずだが…まさかな?』
警戒しつつ台座の上にあった本を手に取って調べた。
本に書かれている言語は少なくとも俺が知っている物ではなく、その上達筆で読みにくい。
だが”言語理解”のおかげで難なく読むことができた。
『タイトルは…”悪魔召喚の儀式①”だと!?』
悪魔族といえば、数年前の魔物征伐時に中級悪魔を1度だけ見たことがある。
容姿は身体中にある黒い目玉に禍々しい虫の羽がついた、見ているだけで気持ち悪くなるものだった。
魔物を召喚する魔法的なユニークスキルを所持しており、スタンピードを引き起こした張本人だ。
魔法的なユニークスキルを所持する悪魔族であれば、召喚に魔法陣のようなものを使うのも納得がいく。
本は章ごとに分かれており、この本には初級悪魔と中級悪魔の召喚方法が記載されていた。
”悪魔召喚の儀式②”以降に上級悪魔や超級悪魔といった災厄級の召喚方法が記載されているのだろう。
パラパラとめくっていくと、この台座に描かれてる魔法陣は中級悪魔召喚のものであることが判明した。
そして召喚に必要な生贄として人族の童貞処女計30人と書かれている。
悪魔は神聖とされるユニコーンと同じく一種の変態なのだろうか?
この世界でも”童貞で30歳を迎えると魔法使いになる”と根拠なき噂がされているし、きっと魔法的な力があるのだろう。
『…ん?”構造探知”が変な挙動を…』
ジジジ…と音を立てながらこの奥に部屋のようなものが見え隠れしている。
もしかすると”偽装”に似た何らかの効果を上回って探知しているのかもしれない。
地面に散らばっている本を踏まないように進み、奥に着くと”構造探知”に反応が現れた。
『やっぱり隠し部屋か…ん?微弱ながら”生命探知”にも反応があるな…』
”鬼人剣”を構えて警戒しつつ隠し部屋へ入る手段を探した。
探すこと十数分、本棚に収納された本の後ろにボタンを発見した。
罠が無いことを確認してボタンを押すと、先程までただの壁だった箇所に横開きの扉が浮き出てきた。
『ダンジョン並みの技術力だな。それを世の中に使ってくれよ…』
扉を開けると、目の前には男性15名と女性11名を分けて投獄した牢屋2つを発見した。
死なない程度に毒を盛られているらしく全員が瀕死状態で倒れていた。
『…儀式用の生贄か!どうしたものか…』
助けるには助けるが、今助けると侵入クエストの邪魔になる。
それに、もし中級悪魔が召喚されて戦闘になれば確実に足手まといだ。
何とか助けるか今の状態のままどこか遠くへ移動したいところだが…
『…ん?あれは…』
牢屋の奥に何やら通路のようなものが見えた。
”構造探知”に意識を集中させてみると、この通路は伯爵領の近くの草原に繋がっていた。
地下室のことは私兵にも知らせていないようだし、秘密裏にここまで生贄を連れてくるための搬送ルートなのだろう。
『…盗るものはあらかた盗ったしな。悪魔が召喚されても厄介だしここは生贄を避難させるか。』
STR値に強化された腕力だけで鉄格子をぐにゃりと曲げ、女性牢に侵入した。
そして倒れている11人に麻痺回復薬とHP回復薬をかけて意識を取り戻させた。
すると、何やらこの11人の代表と思しき人間の女性が何かを言いたそうにこちらを見てきた。
「俺はBランク冒険者のアルフレッドだ。お前達を助けに来た。」
「本当ですかっ!?」
「静かに!!伯爵にばれたらまずいだろ?」
「す、すみません…」
「今から男性牢も開放して奥の通路から脱出する。お前達は準備をしておけ。」
「わ、分かりました!」
同じ手順で男性牢に囚われていた者たちも回復し、現状を説明した。
男性陣は女性陣より物分かりが悪かったが、女性陣が協力してくれたことで信用を得ることができた。
「あの、アルフレッドさん。」
「どうした?」
「立つのが久しぶりの者もおりまして…満足に歩けないのです。」
「…ちょっと待ってろ。」
何か台車のようなものが欲しいところだが、そんな都合よくはいかない。
周囲にはもちろん、”アイテムボックス”にもそんなものは存在しない。
「…仕方ない。俺が…っ!!」
突如、隠し階段前のリビングに何者かの反応があった。
その者は一切の迷いなく暖炉の中に駆け込み、踊り場に座り込んでいる。
その反応へ”鑑定”を行使してみると、不幸にもそれはグリフィン伯爵のものだった。
『…くそっ!タイミング最悪だな…!!』
0
あなたにおすすめの小説
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。
魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。
十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。
俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。
モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる