剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第220話 グリフィン伯爵家 対峙

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グリフィン伯爵に続いてリビングにもう1つの反応が現れた。

”鑑定”してみると、結果はアイリスのものだった。

大方アイリスに見つかって追われていたグリフィン伯爵が隠し階段に逃げ込んだといったところだろう。



『…今は音を出さないようにして索敵から逃げようとしてるのか。』



もしアイリスが隠し階段に気付かずリビングから離れて行けば、グリフィン伯爵は間違いなく地下に降りてくるだろう。

そして中級悪魔召喚は生贄が4人不足しているが、26人いれば2回できる初級悪魔召喚をしにこの部屋に来るだろう。



『グリフィン伯爵を気絶させて戻るか、伯爵が来る前に生贄全員を救助するか。アイリスの協力を得て2人がかりで行動できればいいんだが…そうか!』



アイリスと連絡を取ろうにも”通信の水晶”はアイテムボックスの魔道具に収納している。

だが、記憶が正しければ”交換転移の水晶”は普通のポーチに仕舞っていた。

それなら俺が魔道具を使えばポーチから発動の光が漏れ出し、アイリスも気付くはずだ。



「皆聞いてくれ。おそらく伯爵が地下室に侵入してきた。」



「ひぃ…!!」



満足に歩けなくなるほど長期間の間瀕死状態で投獄されていたのだ。

生贄達は伯爵へ恐怖を感じ、頭を抱えて下を向いた。



「落ち着け。今からこの魔道具を使ってアイリスという白狼族の仲間と入れ替わる。」



「お、俺達を見捨てるのか!?」



「そうだそうだ!!」



『ちっ!!疑心暗鬼になってるのか?離れられないのは厄介だな…』



「仲間の援護なしで伯爵がここに来るまでに救助できるのは頑張っても数人程度だ。…お前達は同じ境遇の仲間を見捨てるのか?」



「そ、それは…」



「安心しろ。俺の仲間は全員信用できる人物だ。お前達を牢屋から出した俺が保証する。そこのお前、悪いがアイリスは何も知らずにここに現れる。だから状況説明をして説得してくれ。」



「わ、分かりました!ですがアルフレッドさんはどうするのですか…?」



「伯爵を倒すか、逃げるまでこちらから気を逸らして時間を稼ぐ。」



「お気をつけて…」



「ああ。じゃあ行ってくる。」



”交換転移の魔道具”にTPを流し込むと、水晶が赤く光り始めた。

対になっている水晶が光ったのか、アイリスはその場で立ち止まった。

そして少し待つと、放たれていた赤い光が俺の身を包んだ。



『眩しい…っ!!』



光が収まって目を開けると、俺はリビングにいた。

そして”生命探知”によると、アイリスは生贄達のところへ転移したようだ。



『成功だな。さて…俺も行動を起こすか。』



伯爵は未だに階段の踊り場で息を潜めている。

自分を追っている人物が変わり、しかも隠れていることに気付かれているとも知らずに。



『…少し痛い目を見てもらうか。』



”鬼人剣”を”アイテムボックス”に収納し、代わりに“神鳥弓“を取り出した。

そして暖炉の方を向いて弦を引き、”生命探知”に見える伯爵の右太腿目掛けて矢を放った。

すると、伯爵の汚い悲鳴ではなくガキンッ!!という金属同士がぶつかった音が響いた。



『なっ…!?防がれたのか!?』



「ひっ、ひぃぃぃ!!!」



「ちっ!!」



伯爵は攻撃されたことに怯え、隠し階段を駆け下りだした。

俺は”鬼人剣”に持ち替えながら暖炉へ飛び込み、伯爵を飛び越えて隠し階段の途中に着地した。

踊り場には硬い何かにぶつかって矢じりが潰れた矢が落ちていたことから察するに、伯爵は護身用に何らかの魔道具を持っていると推測される。



目の前に現れたのは身長160cmほどで体重は120kgくらいあるのではないかと思えるほど太っている横長の人間だった。

身体はチキンのように油でテラテラしており、頭は金髪が薄くなって頭皮が見えている。

できものも多く、噂以上の汚らわしい容姿だ。



「ぼ、ぼくちんを攻撃したのはお前だな!!」



「お前が招集したアルフレッドだ。感謝しろ。お望み通り来てやったぞ。」



「黙れ!!よくもぼくちんの屋敷にこんな真似を…許さないぞ!!」



「ここは狭いからな…広い場所に出ようか!!」



階段を駆け上がり、伯爵のデブ腹へ回し蹴りをした。

すると、俺の右足は腹に食い込む前に透明な障壁のようなものにぶつかった。

これが先程不意打ちで放った矢を防いだ何かで間違いないだろう。



思い切り踏ん張って蹴ると、衝撃を吸収しきれなかったのか伯爵ごとリビングへ吹き飛んでいった。

だが伯爵は全方位を障壁に守られているらしく、勢いよく壁に激突したが無傷のようだ。



『俺の蹴りを防げる魔道具が…?いや、もしかすると悪魔に守られてる可能性もあるか。』



「ぼ、ぼくちんを蹴ったな!!ただじゃ済まさないぞ!!」



「ははっ、お前に何かできるとでも?」



「テスカトリポカ、ぼくちんを守れ!!マーラは奴を殺せ!!」



「…っ!!」



伯爵が指示を出すと、今まで透明だった障壁は薄い白色を帯び始めた。

そしてその障壁から触手のようなものが無数に伸び始めた。



「悪魔の力を思い知れ!!」



「ちっ!!」
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