剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第221話 グリフィン伯爵家 決戦

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鋭い触手はまるで意思を持つように様々な角度からこちらへ襲いかかってきた。

回避しようにも数が多すぎて被弾は免れられない。



その場で両手剣Lv.10”アトミックスターダスト”を足元以外の全方向へ行使し、辺り一帯に斬撃を放った。

放たれた斬撃は触手ごと辺り一帯を切り刻み、建物が崩れて室内に日光が差し込んだ。

無論障壁にも届いたのだが、ひび一つ入らなかった。



『どんだけ硬いんだよ…っ!!』



全て斬り落とした触手は次々障壁から生えるように再生していく。

触手攻撃が無いうちに少しでも障壁にダメージを入れるべく、幾度となく斬りつけるがやはり無傷だ。



もし障壁のエネルギーを利用して触手を生成しているとすれば、触手を斬り落とし続けることで障壁の強度は落ちるはずだ。

だが先程2体の悪魔を呼んでいたので、障壁と触手のエネルギー源は別物と考えた方がいいだろう。



「パズズ、奴を焼き払え!!」



障壁の右上辺りの空間が歪み、そこから灼熱の風が吹き乱れた。

敷かれていたカーペットは燃えだし、花瓶に入っていた水は蒸発しだした。

俺は伯爵の攻撃を無視し、障壁に攻撃を続けた。



何故なら”状態異常無効”のパッシブ効果で熱や酸素不足を無効化できるからだ。

当然だが伯爵も障壁には環境に対する防御機能も付いているようで、HPは1も減っていなかった。

それどころかTPも満タンのままだ。



『どういうことだ…?』



「火が効かないのか!?アンリマユ、奴に災いを起こせ!!」



今度は障壁の左上辺りの空間が歪み、そこから極寒の吹雪と禍々しい黒い靄が広がった。

燃えていた家具は瞬く間に凍り付き、灼熱の風から生き残った花々は靄に触れると枯れて散った。

あの禍々しい黒い靄は何らかの状態異常を引き起こすものと推測されるので、無視して攻撃を続けた。



先程同様”状態異常無効”のパッシブ効果で寒さや黒い靄の状態異常を無効化した。

伯爵も障壁には状態異常を通さない効果が付いているようで、今回もHPは減らない。

そして、TPも同様に何らかのスキルを発動しているにも関わらず満タンのままである。



おそらくこれらの攻撃は契約に従って悪魔の力を使っているだけだ。

伯爵のステータスは何も関係していないのだろう。



「これも通じないのか…!!イブリース、奴を洗脳しろ!!」



障壁の真上辺りの空間が歪み、そこから薄紫色のもやもやとした光線が広がった。

洗脳は今まで受けたことが無いので少し警戒したが、流石は”状態異常無効”だ。

洗脳されるどころか思考を揺さぶられることすらなかった。



『…ってかさっきから”状態異常無効”が無双しちゃってるよ。悪魔との相性最高だな。』



「な、何なんだお前は!!ラーヴァナ、奴を切り刻め!!」



障壁の周囲が何カ所も歪み、そこから青白く光る無数の斬撃が放たれた。

俺は両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を行使して向かってくる斬撃とぶつけて次々相殺していったが、相手の斬撃数の方が圧倒的に多くいくらか被弾してしまった。

青白く光る斬撃は俺の頑丈な装備を貫き、両太腿と両腕の薄皮が切れて血が流れた。



『油断したな。悪魔は物理攻撃の手段もあるのか…』



「や、やっと攻撃を受けたか。この化け物め…」



化け物はどっちだと言ってやりたいが、そんな軽口を叩ける余裕がない。

相手は俺を傷つけられる攻撃手段を持っており、対する俺はそれを持っていないからだ。

何とか伯爵に傷をつけられる攻撃手段を見つけなければ。



『どうにかあの障壁を潜り抜けたいんだがな…』



そうこうしているうちに斬り落とした鋭利な触手が再生し、襲い掛かってきた。

俺は再び”アトミックスターダスト”を行使して触手ごと辺り一帯を切り刻むと、屋敷は完全に倒壊し細かく切り刻まれて更地になった。



「ぼ、ぼくちんの屋敷をよくも…!!」



青白く光る斬撃で攻撃してくるかと警戒するも、その様子はない。

距離を詰めつつ”鬼人剣”を”死神鎌”に持ち替え、鎌Lv.1”リーパー”を行使した。

実態を持たずHPだけを刈り取るこの武器であれば、障壁を無視して直接攻撃できると考えたのだ。



思い切り振りかぶり、伯爵の足目掛けて大きく横薙ぎをした。

するとギィィィィ!!!!と鋭いものが擦れるような音と共に攻撃は障壁に阻まれた。



『ちっ!!これもダメか…』



「パズズ、炎だ!!」



『ん…?』



その攻撃が俺には効かないと分かっているはずだ。

先程防いだのが単なるまぐれか回数消費型魔道具で防いだとでも思っているのだろうか。

再び”状態異常無効”で防ぎつつ攻撃し続けた。



「アンリマユ、奴に災いを!!」



伯爵の視線が先程からチラチラと泳いでいる。

まるで何か俺に悟らせたくないことでもあるようだ。



「イブリース、洗脳しろ!!」



『…そうか!そういうことか!』



俺に傷をつけたあの斬撃を連続使用せず、そして攻撃の順番が先程と全く一緒…

つまり、あれらの攻撃にはクールタイムがあるということだ。

そして奥の手を秘めているかもしれないが、攻撃手段は触手、炎風、災い、洗脳、斬撃の5つである可能性が高い。



『…つまり恐れるは触手と斬撃だけだ!!勝機が見えてきた!!』
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