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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 7 ⑥
しおりを挟む選挙の準備を通じて、櫻寮の一年生フロアの談話室には再び人が集まるようになり、にぎやかに戻った雰囲気は、選挙が終わった今も継続したままだ。
わかりやすいヒエラルキーだよね。寮生委員としては、喧嘩っ早いハルちゃん過激派が占領してたころよりは、楽だけどね、と荻原がこぼしていたことがあったけれど、そのとおりだと皓太も思う。
少なくとも、表面上は落ち着いているということ。部屋に向かう前にちらりと覗いた談話室には四谷の姿もあった。榛名はいないようだったものの、すぐそばには岡や朝比奈がいる。中等部時代、よく見た光景。
一度はこじれたのだ。お互い――とくに四谷には思うところがあるだろうに、仲の良い友人という元通りのかたちに収まったらしい。寮内でもめごとを増やしたいわけでもなし、ほっと安堵する気持ちが大きい反面。少しだけ意外だという驚きもあった。
意外と表現するほど、四谷のことを知っているわけでは、たぶん、ない。ただ、皓太にとっての四谷のイメージは、良くも悪くもプライドが高く、それなり以上に計算高いというものだった。はじめて水城を見たとき、誰に似ているかと言えば、四谷だろうな、と思った程度には。
――でも、だから、苦手だったっていうわけじゃないと思うんだけど、どうだったかな。
強いて言えば、押しの強さが少し怖かったのかもしれない。あとは、榛名に対する態度が気になったか。けれど、そのいずれも昔のことだった。
「なんだ、帰ってたんだ」
「榛名」
「今日、顔出せなくてごめん。行ったほうがよかった? 生徒会」
申し訳ないような顔をするので、大丈夫、と皓太は小さく笑った。むしろ、今回のように「どうしても課題の提出に間に合いそうにないので休みたい」と素直に申告してくれたほうが安心するし、助かるくらいだ。
本当に、そういうところの変な意地の張り方はしなくなったよなぁと思いつつ、続ける。
「提出が終わったら、またやってもらうから。――食堂?」
「飲み物取ってこようと思って。なんかいる? というか、おまえこそ、こんなところでなにやって……」
いぶかしげだった榛名の問いが、少し先にある談話室に視線を動かしたところで不意に途切れた。
「あ、いや、べつに」
誰を見てたってわけでもないんだけど、と。聞かれてもいない言い訳を口にしようとした瞬間、「榛名」と四谷が呼ぶ声が響いた。振り返ると、ひさしぶりに見た愛想の良い顔で四谷がほほえむ。
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