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第二章 お魚マウント舞踏会
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「エルフの王子がこちらに来ている、だと……?」
「そんなっ! まさか私のことを見ているんじゃ……どうしましょう、ヴァルター様……っ!」
「君の美しさを侮っていた僕を許してくれ……! だがしかし、君をむざむざ奪われたりはしないよ、リリー」
「嬉しいです、ヴァルター様! 私が愛しているのはヴァルター様だけです!」
ひしっと抱き合う二人の横を通り過ぎて、アルトがわたしの前にやってきたかと思うと、わたしの目の前で膝を折りましたわ。
どうしましたの? 膝に矢を受けてしまいましたの??
「イリス。今夜のおまえは他の誰より美しい。世界樹の花のように可憐で枝のようにしなやかだ」
突然の美辞麗句にびっくりですわ。
どうしてしまいましたの? アルト、拾い食いでもしましたの??
「どうか俺とファーストダンスを踊ってはくれないだろうか」
跪いてダンスを請うアルトは輝かんばかりに様になっていますわ。
流石は王子様の貫禄です。
しかしなぜ急にこんなパフォーマンスを? と首を傾げた直後に気づきましたわ。
横で唖然とした顔をして固まっている、ヴァルター様のお姿に!!
なるほど! アルトはわたしのためによりよいマウントを取らせてくれようとしているんですわ!!
リリーまで一緒に驚かせてしまっているようでしたけれど、悪い驚きではないし、構いませんわね。
今ちょっとお醤油とお味噌を見つけてしまいましたので、本当ならダンスなんか踊っている場合ではないのですわ。
だけど、アルトはわたしのためにここまでしてくれましたわ。
友達がいのないことはできませんわ!
わたしもここは、全力で応えるべきでしょう!!
「喜んでお受けいたしますわ、アルト様!」
「かわいい」
うちのちょっと変わったお兄様以外には言われたことのない賛辞がアルトから飛び出しましたわ。
ヴァルター様の顎がカクーンと落ちましたわ。完全に理解しましたわ!
悪役に仕立て上げて婚約破棄して国から追放した元婚約者が、宗主国の王子のパートナーになっているだけでなく。
実はラブラブ!? だったりしたらもっともっと驚きますわよね!
四方八方から飛んでくる驚愕や羨望、嫉妬の眼差しが最高に気持ちいいですわ!
もっと、もっとちょうだいなのですわ!!
「ふふふん!」
「これがドヤ顔……かわいすぎて胸が苦しい」
アルトもノリノリで演技してくれていますわ。
全力で乗っかっていきますわよ!
エスコートされて、わたしとアルトだけが大広間の中央に進み出ますわ。
ちなみにダンスならバッチリ踊れますわ。
何しろ公爵令嬢でしたし生まれながらに王太子ヴァルターの婚約者だったので。叩き込まれておりますの。
運動した後のご飯は鳥の餌でも美味しく感じられますしね!
「すべて俺に任せてくれ、イリス」
不思議と、アルトの微笑みがいつもより煌めいて見えますわ。
本当にわたしに渾身のドヤ顔をさせてくださいましたわ。正直、冗談みたいなものだと思っていましたのに。
音楽が始まると、驚きましたわ。
すべて任せろと言うだけあって、本当にダンスがお上手でしたわ。
わたしも下手というわけではありませんが、もっとダンスが上手くなれたように錯覚するくらい踊るのが楽しいですわ。
この時間がずっと続けばいいのにと思うくらい……。
「ありがとうございます、アルト様」
ダンスを終えて、思わずお礼を言ってしまいましたわ。
なんだか嬉しくて顔が笑ってしまいます。
得意の絶頂ではありますけれど、それだけが原因ではありませんわ。
アルトと一緒に舞踏会に出られたことが、何故だかとっても幸せですわ!
「ふぐぅ……ッ!」
アルトが胸を押さえて呻きましたわ。
顔が赤いですけれど大丈夫でしょうか?
保護者の方のジャッジ、どうですの??
「アーロ殿、あれは完全に手遅れのやつですよ。ハハハ」
「あ、あんな女を世界樹に喩えるなんて…… ! ううっ……うっ……うううっ……!」
シャンパンを片手に笑っているヴェリと泣いているアーロが見えますわ。
いつも楽しげなお二方ですわ。
「そんなっ! まさか私のことを見ているんじゃ……どうしましょう、ヴァルター様……っ!」
「君の美しさを侮っていた僕を許してくれ……! だがしかし、君をむざむざ奪われたりはしないよ、リリー」
「嬉しいです、ヴァルター様! 私が愛しているのはヴァルター様だけです!」
ひしっと抱き合う二人の横を通り過ぎて、アルトがわたしの前にやってきたかと思うと、わたしの目の前で膝を折りましたわ。
どうしましたの? 膝に矢を受けてしまいましたの??
「イリス。今夜のおまえは他の誰より美しい。世界樹の花のように可憐で枝のようにしなやかだ」
突然の美辞麗句にびっくりですわ。
どうしてしまいましたの? アルト、拾い食いでもしましたの??
「どうか俺とファーストダンスを踊ってはくれないだろうか」
跪いてダンスを請うアルトは輝かんばかりに様になっていますわ。
流石は王子様の貫禄です。
しかしなぜ急にこんなパフォーマンスを? と首を傾げた直後に気づきましたわ。
横で唖然とした顔をして固まっている、ヴァルター様のお姿に!!
なるほど! アルトはわたしのためによりよいマウントを取らせてくれようとしているんですわ!!
リリーまで一緒に驚かせてしまっているようでしたけれど、悪い驚きではないし、構いませんわね。
今ちょっとお醤油とお味噌を見つけてしまいましたので、本当ならダンスなんか踊っている場合ではないのですわ。
だけど、アルトはわたしのためにここまでしてくれましたわ。
友達がいのないことはできませんわ!
わたしもここは、全力で応えるべきでしょう!!
「喜んでお受けいたしますわ、アルト様!」
「かわいい」
うちのちょっと変わったお兄様以外には言われたことのない賛辞がアルトから飛び出しましたわ。
ヴァルター様の顎がカクーンと落ちましたわ。完全に理解しましたわ!
悪役に仕立て上げて婚約破棄して国から追放した元婚約者が、宗主国の王子のパートナーになっているだけでなく。
実はラブラブ!? だったりしたらもっともっと驚きますわよね!
四方八方から飛んでくる驚愕や羨望、嫉妬の眼差しが最高に気持ちいいですわ!
もっと、もっとちょうだいなのですわ!!
「ふふふん!」
「これがドヤ顔……かわいすぎて胸が苦しい」
アルトもノリノリで演技してくれていますわ。
全力で乗っかっていきますわよ!
エスコートされて、わたしとアルトだけが大広間の中央に進み出ますわ。
ちなみにダンスならバッチリ踊れますわ。
何しろ公爵令嬢でしたし生まれながらに王太子ヴァルターの婚約者だったので。叩き込まれておりますの。
運動した後のご飯は鳥の餌でも美味しく感じられますしね!
「すべて俺に任せてくれ、イリス」
不思議と、アルトの微笑みがいつもより煌めいて見えますわ。
本当にわたしに渾身のドヤ顔をさせてくださいましたわ。正直、冗談みたいなものだと思っていましたのに。
音楽が始まると、驚きましたわ。
すべて任せろと言うだけあって、本当にダンスがお上手でしたわ。
わたしも下手というわけではありませんが、もっとダンスが上手くなれたように錯覚するくらい踊るのが楽しいですわ。
この時間がずっと続けばいいのにと思うくらい……。
「ありがとうございます、アルト様」
ダンスを終えて、思わずお礼を言ってしまいましたわ。
なんだか嬉しくて顔が笑ってしまいます。
得意の絶頂ではありますけれど、それだけが原因ではありませんわ。
アルトと一緒に舞踏会に出られたことが、何故だかとっても幸せですわ!
「ふぐぅ……ッ!」
アルトが胸を押さえて呻きましたわ。
顔が赤いですけれど大丈夫でしょうか?
保護者の方のジャッジ、どうですの??
「アーロ殿、あれは完全に手遅れのやつですよ。ハハハ」
「あ、あんな女を世界樹に喩えるなんて…… ! ううっ……うっ……うううっ……!」
シャンパンを片手に笑っているヴェリと泣いているアーロが見えますわ。
いつも楽しげなお二方ですわ。
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