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恋の予感?
ストーリー76
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慰安旅行当日ーー
「それでは夜まで自由時間となります。食事の時間までには旅館に戻ってきて下さい」
貴島さんがみんなに言うと、それぞれ部屋に荷物を置きに行く。今回宿泊する旅館は和の雰囲気が漂いゆっくりと落ち着ける空間が広がっている。
食事も旬の素材を使用した懐石料理らしく、今から楽しみだ。
「この近くにロープウェイがあるんだって。みんなで頂上から紅葉を楽しもうよ」
私と同じ部屋に泊まる営業補佐の女子達が、ガイドブックを見ながらはしゃいでいる。
「ほら、水沢ちゃんも行こう」
「はい」
みんなで部屋を出て旅館を出る。旅館の前には手のひらを空へ向け伸び~っとしている貴島さんがいた。
「貴島君は今から何するの?」
一緒にいた女子の一人が貴島さんに話しかける。
「俺は温泉に入って後は部屋でのんびりしようかと」
「せっかく旅行に来たんだから楽しまなくちゃ。私達と一緒に紅葉を見に行こうよ。水沢ちゃんもいるし」
「ちょっ……何言ってんですか!?」
貴島さん達は何やら小声で話している。
「じゃあ行かないの?」
「い、行きますよ」
やり取りはよく分からなかったけど、貴島さんは近くにいた同じ営業部の男性社員達に声をかけて、みんなで一緒に行動することになった。
赤・黄・橙、色鮮やかな紅葉を眺めながら私達はロープウェイに乗って頂上を目指す。
頂上に到達すると、みんなそれぞれの場所から景色を楽しんでいる。私はみんなから少し離れた場所で一人で景色を眺めていた。
「凄く綺麗……」
風でなびく髪を耳にかけながらゆっくり歩いていると、景色に夢中で周りが見えてなかったせいで人にぶつかってしまった。
「すみません」
「いえ、こちらこそすみません」
お互い謝り顔を見る。そしてお互い目を丸くして三秒ほど動きが止まり、ようやく頭が回転し始めた。
「……!?」
私は思わず指を指して声にならない声を出す。
「し、進藤さん!? 何でここに……」
「明日香こそ、何でここにいるんだ?」
私達は周りに聞こえないよう小さな声で話す。慰安旅行先に進藤さんがいるなんてなんという偶然……なわけないか。
「もしかして、進藤さん達も会社の慰安旅行ですか?」
「あぁそうだ」
「幹事は、高瀬さんですね?」
「何で知ってるんだ?」
やっぱり高瀬さんの企みか。でも何で高瀬さんはこんな事するんだろう。まるで私と進藤さんを会わせるようなこと……。
「高瀬さん、私の会社の幹事の方にここをオススメしたみたいです」
「高瀬か。」
進藤さんは呆れたようにため息をつく。そして少しの沈黙の後、進藤さんが話しかけてきた。
「まぁロープウェイで頂上まで来たのは俺の単独行動だから明日香と会ったのはやっぱり偶然か。それにしても綺麗だな」
そう言って頂上から見下ろした先に広がる紅葉を眺める。
「……綺麗ですね」
ちょうどその時、貴島さんが私の元にやって来た。隣同士の私達はパッとお互い背中合わせになる。
流石に隣にいるのが進藤コーポレーションの社長とバレるわけにはいけない。
「水沢さん何かあった?」
「い、いえ別に何もないです」
「そう? あっ、あっちでみんなで写真撮るって。行こう」
「えっと……はい」
私は貴島さんの後について行く。その途中で進藤さんの方をチラッと見ると進藤さんと目が合ったので、軽く頭を下げてその場を立ち去った。
その後、紅葉を楽しんだ私達は旅館へと戻り、今度は景色を一望できる展望露天風呂で疲れを癒した。
旅館で準備された浴衣を着ていよいよお待ちかねの懐石料理が並ぶ大部屋へ行く。そして宴会が始まった。
「ん~美味しい」
美味しい料理に箸も止まらないが、お酒も進んでしまう。気がつけば結構な量のお酒を飲んでしまい、ほろ酔い状態になっていた。
「それでは夜まで自由時間となります。食事の時間までには旅館に戻ってきて下さい」
貴島さんがみんなに言うと、それぞれ部屋に荷物を置きに行く。今回宿泊する旅館は和の雰囲気が漂いゆっくりと落ち着ける空間が広がっている。
食事も旬の素材を使用した懐石料理らしく、今から楽しみだ。
「この近くにロープウェイがあるんだって。みんなで頂上から紅葉を楽しもうよ」
私と同じ部屋に泊まる営業補佐の女子達が、ガイドブックを見ながらはしゃいでいる。
「ほら、水沢ちゃんも行こう」
「はい」
みんなで部屋を出て旅館を出る。旅館の前には手のひらを空へ向け伸び~っとしている貴島さんがいた。
「貴島君は今から何するの?」
一緒にいた女子の一人が貴島さんに話しかける。
「俺は温泉に入って後は部屋でのんびりしようかと」
「せっかく旅行に来たんだから楽しまなくちゃ。私達と一緒に紅葉を見に行こうよ。水沢ちゃんもいるし」
「ちょっ……何言ってんですか!?」
貴島さん達は何やら小声で話している。
「じゃあ行かないの?」
「い、行きますよ」
やり取りはよく分からなかったけど、貴島さんは近くにいた同じ営業部の男性社員達に声をかけて、みんなで一緒に行動することになった。
赤・黄・橙、色鮮やかな紅葉を眺めながら私達はロープウェイに乗って頂上を目指す。
頂上に到達すると、みんなそれぞれの場所から景色を楽しんでいる。私はみんなから少し離れた場所で一人で景色を眺めていた。
「凄く綺麗……」
風でなびく髪を耳にかけながらゆっくり歩いていると、景色に夢中で周りが見えてなかったせいで人にぶつかってしまった。
「すみません」
「いえ、こちらこそすみません」
お互い謝り顔を見る。そしてお互い目を丸くして三秒ほど動きが止まり、ようやく頭が回転し始めた。
「……!?」
私は思わず指を指して声にならない声を出す。
「し、進藤さん!? 何でここに……」
「明日香こそ、何でここにいるんだ?」
私達は周りに聞こえないよう小さな声で話す。慰安旅行先に進藤さんがいるなんてなんという偶然……なわけないか。
「もしかして、進藤さん達も会社の慰安旅行ですか?」
「あぁそうだ」
「幹事は、高瀬さんですね?」
「何で知ってるんだ?」
やっぱり高瀬さんの企みか。でも何で高瀬さんはこんな事するんだろう。まるで私と進藤さんを会わせるようなこと……。
「高瀬さん、私の会社の幹事の方にここをオススメしたみたいです」
「高瀬か。」
進藤さんは呆れたようにため息をつく。そして少しの沈黙の後、進藤さんが話しかけてきた。
「まぁロープウェイで頂上まで来たのは俺の単独行動だから明日香と会ったのはやっぱり偶然か。それにしても綺麗だな」
そう言って頂上から見下ろした先に広がる紅葉を眺める。
「……綺麗ですね」
ちょうどその時、貴島さんが私の元にやって来た。隣同士の私達はパッとお互い背中合わせになる。
流石に隣にいるのが進藤コーポレーションの社長とバレるわけにはいけない。
「水沢さん何かあった?」
「い、いえ別に何もないです」
「そう? あっ、あっちでみんなで写真撮るって。行こう」
「えっと……はい」
私は貴島さんの後について行く。その途中で進藤さんの方をチラッと見ると進藤さんと目が合ったので、軽く頭を下げてその場を立ち去った。
その後、紅葉を楽しんだ私達は旅館へと戻り、今度は景色を一望できる展望露天風呂で疲れを癒した。
旅館で準備された浴衣を着ていよいよお待ちかねの懐石料理が並ぶ大部屋へ行く。そして宴会が始まった。
「ん~美味しい」
美味しい料理に箸も止まらないが、お酒も進んでしまう。気がつけば結構な量のお酒を飲んでしまい、ほろ酔い状態になっていた。
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