1 / 9
1話
しおりを挟む「ひいろ」
いつもの学校の帰り道。
空はオレンジ色だった。
彼の声に、ひいろと呼ばれた少女は笑顔で振り向く。
「なーに?日向!」
日向とひいろ。2人は幼馴染だった。
幼い頃から隣にいた。
いつからか意識し合い、そしてつい数ヶ月前気持ちを伝え合い、交際するに至った。
2人の交際は学生らしいものであった。
登下校や移動教室の際に手を繋ぎ、そして放課後の教室で数度、唇を重ねた。
しかし互いにそれが少し、物足りないように思えていた。
それはそんな時期であった。
ひいろの可愛らしいまんまるの瞳に見つめられ、日向は頬を染め、言いづらそうに口籠もりつつ、言葉を紡いだ。
「今日……えっと、母さん…出張でさ!家誰もいなくて…だから……えっと…幼稚園の時ぶりだけどさ!泊まりに来ない!?」
「へっ」
日向の放った言葉の意味を、ひいろは即座に察した。
自分も心のどこかで、機会をさがしていたのだから。
ひいろの頰がじわっと広がるように赤く染まる。
「……う、うん…行く」
小さな声で、そう返した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる