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「最終話 東京終末戦 ~幻影の聖少女~」
19章
しおりを挟む「こい・・・つッ!!」
パンッ!! パパパッ!! パシイィッ!!
天才武道少女は、流麗な体捌きでゲドゥーの剛打をかわし続ける。カウンターの掌底が、顎に鳩尾にと、着実に急所に吸い込まれていく。
ファントム・リボンを巻きつけたのは、手指の補強と同時に、攻撃力アップにも繋がっていた。的確ではあるが軽いユリアの打撃が、カウンターによってパワーを、ファントム・リボンによって威力を、増幅されている。
脚をもつれさせ、後退していくゲドゥー。
三凶のなかでももっとも強いと見られた凶魔が、まさかのユリアの打撃で、予想もしなかったダメージを重ねていく。
「素晴らしいぞ、ユリアッ・・・それでこそ、殺し甲斐があるッ!!」
濃紺のひとつ眼が、不気味に光った。と同時に、ゲドゥーの纏う闇の濃度が、一気に増大した。
“最凶の右手”を振り上げる。暗黒の闇エネルギーが、蒸気のごとく、シュウシュウと噴き出した。渦巻く漆黒が、ゲドゥーの右腕をみるみる膨れ上がらせていく。
いや、これは。
右腕自体が、実際に巨大化したも同然だった。
光を滅ぼす、闇エネルギー。右腕を包んだ膨大な暗黒瘴気は、腕そのものの形を造って、ユリアの頭上に振り上げられる。
「・・・なッ!!・・・あァッ・・・!!」
「巨大悪魔の一撃ッ・・・お前に受けきれるか、ユリアッ!?」
ゴオオオオオッッッ!!!!
ユリアの全身を呑み込むほどに巨大化した、凶魔の右腕が打ち込まれる。
後方に飛び逃げる武道天使。美少女の眼の前を、渦巻く漆黒の巨塊が通り過ぎていく。
だが―――。
「ごぱあアアあァァッッ!!!」
銀と黄色の肢体から、鮮血が飛び散った。
ユリアは確実に、悪魔の右腕をかわしていた。しかし、その余波を間近に受けただけで、凄まじい衝撃と焼けつく焦熱を浴びていたのだ。
地面と平行に、風を巻いてスレンダーな少女が吹き飛ぶ。
ビルの壁面に、背中から叩きつけられるユリア。一帯が、グラグラと人工の地震に襲われる。
「ゴボオオッッ!! ・・・グブッ!! げはアアッ・・・!!」
半ば埋没する全身から、血塊の雨が、バシャバシャと降り注いだ。
胸と下腹部、ふたつの水晶体が、消え入りそうに点滅している。立った姿勢のまま、ビル壁面に埋まった黄色の守護天使。痙攣する足元から、ドクドクと赤い液体が、川のように流れていく。
全身の骨。および内臓に、深刻なダメージを負ったことを、ユリアは自覚した。
「ごぷッ・・・ひぐゥッ・・・!! ・・・ふぇあアッ・・・!!」
「お前はよくやった。ユリア、そろそろその『エデン』・・・抜き取らせてもらうぞ」
闇を纏って膨れ上がったゲドゥーの右腕が、縮んでいく。元の大きさに戻っていく。
だがそれは、決して歓迎すべき事態でないことを、ユリアは悟っている。
ゲドゥーは闇エネルギーを減らしたのではない。凝縮したのだ。
黒光りするダイヤモンドのごとき右腕には、先程の巨大腕と同等の殺傷力が詰まっている。いかなるバリアを張ろうと、容易く突き破って、ユリアの肉体を貫くだろう。
凶魔が走る。
漆黒の右腕を振り上げ、一直線に、壁面に埋まったユリアへ殺到する。
その勢いを止める打撃など、もはや武道天使にはない、と思われた。
“私には・・・まだ、これが・・・あります・・・ッ!!”
「気砲ッッ!!」
ドンンンンッッッ!!!
想気流柔術の長き歴史においても、数少ない達人のみが成し得た奥義、気砲。
力学の流れを、そっくりそのまま返す神業で、ゲドゥーの身体が宙を舞う。
大地を揺らし、バウンドする白き凶魔。しかし、突撃の勢いを返しただけでは、さほどのダメージになっていないことは、ユリア自身もわかっている。同じ技術が、何度もクレバーな凶魔に、通用するとも思えない。
ビル壁に埋没したまま、スレンダーな少女戦士は、その動きを止めた。
ただ、荒々しく呼吸するのみ。クリスタルの点滅音と、ブシュブシュと血の噴き出る音色が、立ち尽くすユリアを包んでいる。
「どうやら、それまでのようだな」
起き上がった凶魔は、静かに右腕をかざした。
今度はゆっくりと、黄色の天使に向かって進んでいく。何度も気砲を放てるとは思えないが、闇雲に勢いをつけるのが愚行であることは間違いない。
ビルに叩きつけられたまま、動かなくなったユリアに、最期の瞬間が迫る―――。
不意に気配が湧き上がるのを、ゲドゥーは察した。
「下よッ、ゲドゥーッ!!」
ボンッッ!!!
崩れ落ちた、ビルの瓦礫。ユリアへの処刑執行へと向かう凶魔の足下から、銀色の閃光が跳ね上がる。
そこにッ・・・潜んでいたかッ!! ファントムガール・サトミッ!!
「ファントム・クラブッッ!!」
地中より飛び出したサトミの右手には、光り輝く棍棒が握られていた。
菱形の、ゲドゥーの頭部。その尖った顎先に、聖なる棍棒が吸い込まれる。顎を砕き、少なくとも、昏倒させるには十分過ぎる一撃――。
炸裂の音色が、オフィスビル街を揺るがした。
罠を張り巡らせ、勝負を掛けた守護天使の、渾身のファントム・クラブ。
輝く棍棒の一撃は、ゲドゥーの右手によって、阻止されていた。
「ッッ・・・!! バカ・・・なッ・・・!?」
「お前たちの、肉体を張った策戦・・・見事だと褒めておくぞ」
“最凶の右手”に力がこもる。
光のエネルギーを凝縮させたクラブは、飴細工のように砕けて霧となった。
「サトミの気配を消す技術。瀕死の身体で、敢えて捨て石となったユリア。ふたりとも、見事だ。だが、ユリアを囮にして、いつかサトミが急襲するのはわかっていたぞ」
全力でユリア抹殺に向かうように見せて、内実ゲドゥーの意識は、サトミの不意打ちに備えていた。
感覚を研ぎ澄ませていたからこそ、ファントム・クラブの一撃を避けることができたのだ。ゲドゥーが知るサトミという戦士は、窮地の仲間をいつまでも放って置かない。ユリアの危機にも一向に姿を見せないことが、逆にゲドゥーに、ユリアの窮地も策戦の内であることを確信させた。
「生半可な信頼では、できぬ策だ。だが、お前たちは、オレに全てを知られすぎた」
サトミにユリア。この守護天使たちを、心底から認めているからこそ、ゲドゥーはふたりの策を見破ることができた。
もし初めての対戦で、今の策を仕掛けられていたら・・・恐らくゲドゥーは負けていた。
「くゥッ・・・!! ファントム・クラッ・・・」
左手に、もうひとつの光の棍棒を出現させようとするサトミ。
だが、接近戦でまともに闘うには、凶魔ゲドゥーは強すぎた。
ドボオオオオオッッ!!!
ファントム・クラブが完成するより早く、“最凶の右手”が鳩尾を突き上げる。
浮き上がる、銀と紫の女神。血と胃液が混ざった吐瀉物が、開いた口から逆流する。
「ウボオオオッッ――ッ!!! グブゥッ・・・!!」
着地するサトミの左足の甲を、凶魔は踏みつけた。
これで美女神は、ゲドゥーの脚をどかさない限り、逃げられない。
しかし、現代くノ一とはいえ運動神経のいい女子高生と、日本最強を謳われる極道者とが接近して殴り合えば・・・残酷な結末以外は考えられない。
「せっかく蘇ったんだ。少しでもオレを、愉しませてくれ」
渾身の力で、手刀を放つサトミ。だが、ゲドゥーの右手の一撃は、守護天使の攻撃より早く着弾する。
左の脇腹に右フックが突き刺さり、サトミのアバラが無惨な音色をあげた。
グシャアアアアッッ!!! ボキボギィッベギイィッ!!! パキッ・・・
「はアぐゥッッ!!? ゴボオッ!! ぶじゅッ・・・!!」
「次は正面からだ」
サトミの左胸。盛り上がった稜線を描く乳房の下に、右の貫き手が突き刺さる。
漆黒を帯びた“最凶の右手”は、斜め下から、プリンにナイフを刺すようにサトミの胸に埋まった。
「ブジュウウッッ!!」
「そしてこのまま、乳房の下にある肋骨を、砕く」
体内で、凶魔の右手が骨を掴み、一気に握り潰すのが、サトミにわかった。
「ィィッ~~~ッッ!!! ぐわあああああァッッ―――ッッ!!! アアァァッ・・・!!」
「相変わらず、女子高生には勿体無い張り詰めたバストだ。握り潰すのに、ちょうどいい」
絶叫するサトミに構うことなく、ゲドゥーは右手をズボリと引き抜き、左乳房を鷲掴む。
ぐにゃぐにゃと乱暴に揉みしだく。圧搾される苦痛に、サトミの意識は飛びかけた。失神の寸前で、更なる揉み潰しの激痛が、意識をその場に留め置く。
「くああアアッ~~ッ!!! は、離しッ・・・はアうッ!!? んアアハアァッッ―――ッッ!!!」
ゲドゥーの右手が左乳房を覆い包むと、凄まじい握力でギリギリと潰していく。
髪を振り乱し、サトミは叫んだ。絶望的なまでの実力差に、精神の城郭までもがボロボロと崩れやすくなっている。
力を込める右手に、血液が勢いよく流れていく。血管が膨張し、熱を帯びてくるまでに、時間はかからなかった。
闇エネルギーの扱い方を憶えたゲドゥーは、以前よりも“最凶の右手”のバリエーションを増やしている。
バージョンアップした兇悪な右手が、新たな能力を、今捕獲した美女神に実行する。
「このまま・・・灼熱の溶岩のごとく、この右手を変形させたら、どうなる?」
「なァッ・・・!? や、やめッ・・・!!」
「暗黒のエネルギーを利用し、オレは“最凶の右手”を進化させた。その成果、身体で思い知れ」
シュウウウウッ~~~ッ・・・ジュウウウッ、ジュジュウウウ゛ウ゛ッッ・・・!!!
左の乳房を握った右手が、マグマのごとく赤々と光を放つ。
肉の焦げる音色とともに、猛烈な勢いで黒煙が昇る。サトミの左胸から。
焼きゴテを押し付けられたような激痛に、全身を暴れさせて守護女神は叫んだ。
「きゃああああッッ―――ッッ!!! ぎゅあアハッッ!!! ウアアッッ、うがああギャアアァッ~~~ッッ!!!」
長い金色の髪を乱し、めちゃめちゃに凶魔を殴りつけてサトミは悶絶した。それでも、甲を踏まれた脚は、ビクとも動かない。
「ファントム破壊光線の、クリスタルへの直接注入も、改良したぞ。掻き集めた暗黒エネルギーの量が、段違いだ」
そのまま左胸を焼け溶かしても、激痛による発狂死でも、サトミを処刑できると知りつつ、ゲドゥーは技を解いた。
乳房を放し、代わりに右手で胸の水晶体を掴む。
凄惨な予感に戦慄しつつ、動きを封じられたサトミは、緩慢に許しを懇願するしかない。
「ァッ・・・アアアッ・・・や、め・・・・・・やめ・・・てッ・・・・・・!!」
「安心しろ。殺しはしない。ただ、苦しんでもらうだけだ」
懸命に右手を剥がそうとする女神を嘲笑うように、漆黒の弩流が直接エナジー・クリスタルに撃ち込まれた。
「キャアアアアアアアッッ―――ッッ!!!! バッ、バラバラ、にィィッ!!! 爆発しちゃアうウゥゥッッ~~~ッッ!!! ギュアアアアアッッ~~~ッッ!!!!」
ドドドドドドドドドッッッ!!!!
クリスタルの孔を通じて、漆黒の濁流が、サトミという水風船に注ぎ込まれているようだった。
猛毒を、全身の細胞に注入されているかのような、悪夢。
サトミの均整とれたグラマラスボディが、ピンと四肢を突っ張る。ビカビカと、黒い光が銀色の皮膚から放射される。
闇の弩流を注がれ続ける間、サトミは大の字に手足を広げ、無惨に泣き叫んだ。死を凌駕する地獄に、悶え泣く以外になにもできない。
不意に、右手がクリスタルより離れる。
「当初の予定通り、まずはお前の『エデン』から頂くぞ、サトミ」
ゲドゥーの蹂躙が止んだのは、拷問に飽きたからでも、許しを与えるためでもなかった。
『エデン』を奪う。予定した計画を実行するために、命あるうちに暗黒の注入をやめたのだ。『エデン』もろとも滅ぼしてしまっては、意味がない。
ヒクヒクと痙攣し続ける、銀と紫の女神。
黒煙をシュウシュウと立ち昇らせるサトミの股間に、ゲドゥーは“最凶の右手”でアッパーを放った。子宮に巣食う、『エデン』をその手にするため―――。
生気を感じなかったサトミの瞳に、青々と光が灯ったのは、その時だった。
「むゥ!?」
「・・・ゲドゥー・・・あなた、は・・・・・・私たちのことを・・・わかっていない、わ・・・」
崩れるように、サトミの肢体が後方に折れる。
倒れた。のではない。
鮮やかに背中で弧を描いた、ブリッジ。新体操選手であるサトミならではの、芸術的体捌き。
股間を狙ったゲドゥーの右拳が、サトミのクレヴァスをかすって天空へと、打ち上げる。
ようやくひとつ眼の凶魔は、美麗なる守護女神が、この一瞬にこそ、本当の勝負を託していた事実を悟った。
「『エデン』が・・・あなたの、狙い・・・なら・・・・・・きっと最後に、股間を狙う・・・」
下から上へ。
“最凶の右手”による剛打を放った凶魔の肉体は、伸びきっていた。打撃の威力に、全身が上昇する。
伸びきり、地に脚のつかない体勢は、ゲドゥーを格好の標的と化す。
「ッッ・・・!!? サトミッッ・・・!!」
「私、はッ・・・・・・ユリちゃんを、捨て石になど、しないッ・・・・・・捨て石になるのは・・・私の方よッ!!」
二段構えの、策戦だったか。
ゲドゥーは悟る。地中からの不意打ちが失敗に終わることも、サトミは折込み済みだったと。むしろ、サトミにとっては、そこからが、この策の真髄。
濃紺のひとつ眼は、見た。
弧を描いて反り返る、サトミ。その奥で、ビル壁面に、埋まったユリアを。
思えば、ユリアが動きを止めたのも、この一撃に賭けたためか。
ユリアは弓矢を構え、伸びきる凶魔に照準を合わせていた。
破邪嚆矢、ではなかった。
ゲドゥーが知る武道天使の必殺技より、遥かに巨大。
湾曲する弓の胴に両脚をかけ、杭のごとき極太の矢を、両手で掴んで弦を引き絞っている。
全身の筋力を駆使して、ようやく構えることのできる、剛の大弓。
「これがッ・・・私の・・・最後の技ですッ・・・!!」
「ウオオオッッ・・・ウオオオオオオッッ―――ッッ!!!」
咆哮する白き凶魔に、両手両脚で引き絞った巨大弓を、ユリアは発射する。
「破邪・・・剛矢ッッッ!!!」
ドギュウアアアアアッッッ!!!!
唸りをあげた弩級の光矢が、ひとつ眼の凶魔に殺到した。
―――死ぬ。
直感的にゲドゥーは思った。破邪剛矢。ユリアの体長ほどはあろうかという、巨大弓の一撃。
弾道ミサイルと見紛う光の矢が、一直線に唸り迫ってくる。
食らえばひとたまりもないことは、考えるまでもなかった。暗黒瘴気による防御膜など、なんの役にも立たない。
空気を切り裂く、という表現があるが、そんな生易しいものではなかった。空気を抉り進み、力づくで掻き分ける。標的となったひとつ眼凶魔目指して、遮二無二、剛矢は突き進んだ。
グオオオオオオオオオッッ!!!!
「ッッンヌウウオオオオオッッ―――ッッ!!!」
白き凶魔は吼えた。
身体は上空に向かって伸びきっている。剛矢から、逃げることはできない。
サトミとユリア、ふたりのファントムガールが策と力を総動員した一撃が、ゲドゥーに吸い込まれていく。
叫ぶ凶魔が、右の掌を開いて、突き出した。
そう、それしかあるまい。命脈を断たれずに、済むには。
“最凶の右手”で剛矢を迎え撃つ。ゲドゥーにとって、もっとも信頼できる武器であり防具なのは、その右手なのだ。射抜かれないために、右手を使うのは必定の流れだった。
しかし、杭のように巨大な矢を、右手ひとつで防ぐなどと―――。
「その、右手・・・いただきますッ・・・!」
すべては、ユリアの狙い通りだった。
ゲドゥーが、新たな力に目覚めていなければ。
「ッッ・・・“メギドッ”!!!」
渾身の力を、凶魔は“最凶の右手”ひとつに集中させた。
拳を握れば、そこに熱を感じることができる。誰もが経験できることだ。血管が膨張し、血流は早まる。細胞間で酸素と栄養の交換は促進し、エネルギーの高まりが生じる・・・
凄まじい握力と、膨大な暗黒エナジーを誇るゲドゥーが、同じことをやると、どうなるか。
ボシュウウウッッ!!!
“最凶の右手”は炎に包まれた。
右手そのものがマグマで加工されたかのように、赤々と輝く。焦熱による高温は、周囲を陽炎のように揺らした。溶岩の塊となった右手が、迫る光の矢を受け止める。
ジュゴオオオオオオッッ!!!・・・ジュウウウウゥゥッッ・・・!!
蒸発していく。巨大な剛矢が。
溶鉱炉に鉄の棒を落としたかのように。ゾブゾブと灼熱の右手に、光矢が熔けていく。
蒸気の乱流が、目前にいるサトミを吹き飛ばす。ゲドゥー自身も、堪えるのがやっとの暴風。巨大矢と灼熱の激突が、夜に嵐を呼んでいた。
飛ばされたサトミが、やっと立ち上がったとき、絶叫にも似た蒸発の轟音と、荒れ狂う風とはやんでいた。
ユリアが作りだした巨大弓矢の一撃は、燃え滾る右手の前に、消滅していた。
「ッッ!! ・・・ァあッ・・・!!」
「よもや“滅却弩(メギド)”を・・・とっておきを出すことになるとは、思わなかったぞ」
右手から濛々と白い煙を昇らせるゲドゥーの両肩は、激しく上下していた。
灼熱を示す赤色は、すでに消えている。ゲドゥーをして、“最凶の右手”を超高熱化するのは、生易しい作業ではないのだろう。
だが、結果的にひとつ眼の凶魔は、右手を失うことも、かすり傷ひとつ受けることもなく、死地を脱していた。
「このオレが、ここまで追い込まれようとはな。やはり、お前たちは素晴らしい」
ゲドゥーの賛辞を、ふたりのファントムガールは、立ち尽くしたまま聞いていた。
智恵も体力も技術も。すべてを振り絞った。深刻なダメージを覚悟して、肉を斬らせて骨を断つ、つもりだった。
そこまでしても、サトミとユリアのふたりは、ゲドゥーの腕ひとつ奪うことさえできないのか。
「はァッ・・・はァッ・・・はァッ・・・ッ!!・・・」
「さて、もはや隠れる余裕もないぞ」
濃紺のひとつ眼が、冷たい光を放った。
「そろそろ・・・終わりにしよう。サトミ、そしてユリアよ」
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