私のかわいい婚約者【完結】

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3 図書館のイケメンに求婚しました。

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この度、私 カトリーヌ モルガン伯爵令嬢(16歳)は エリオス レイクウッド伯爵令息様(16歳)と婚約いたしました。

エリオス様は レイクウッド伯爵家の嫡男で、容姿端麗、成績優秀、品行方正、向かうところ敵無しの素晴らしい方です。

赤味がかった銀の髪、ルビーのように赤い瞳は魔力に溢れていて、陽炎のように揺らめきます。
学園での人気も高く、王族を含め、TOP.10に入る程です。

そんな素晴らしい方が 何故 私のような成金伯爵令嬢と婚約したのかと申しますと、全てはお金の為です。

エリオス様のレイクウッド領は、この10年程 次から次へと冷害やら、川の氾濫やら、スタンピートやらに見舞われており、借金に喘いでおりました。

その借金を我が家が肩代わりする事、そして、一人娘の私の婿となり、伯爵家を継ぐことで、私達の婚約が成りました。

絵に描いたような政略結婚ですが、私は もう とっくに エリオス様のことが好きになっていたので、オールOKです。

私の家は、王国で一番の商会を運営しております。
祖父が商売に聡く、商会は一気に大きくなり、父の代には 国一番と言われるまでになっていました。

どういう理由か、我が家は 代々女系で 祖父も父も婿養子で、優秀な方を家に迎えて、代が進む事に我が商会は大きくなって来ました。
そして、私も 学園一 優秀と言われるエリオス レイクウッド様と婚約する事になりました。

私達が初めて言葉を交わしたのは、学園の図書館でした。
エリオス様の領地にある『魔の森』の植物の事を伺いたくて、思い切って私から声をかけさせていただきました。

「あの…お勉強中に申し訳ありません。少しお時間を いただけないでしょうか?」

不躾にも、突然声をかけた私をチラリと横目で見て、ふうーっとため息を付きつつも、エリオス様は 参考書から目を離し、私の事を見てくださいました。

「私は カトリーヌ モルガンと申します。レイクウッド伯爵令息様の領地にある『魔の森』の植物について教えていただきたい事があるのです。」

そう言いながら、私は植物図鑑に乗っている お目当ての植物のページをエリオス様に見ていただきました。

「この植物なのですが、どんなものかご存知でしょうか?」

植物図鑑に描かれている絵を見て、エリオス様が説明して下さいました。

「あぁ、これですか、これは私の領ではネバーグラスと言って、50cm程の背丈の野草で、炒めるとネバネバとしていて、我が領では食べると身体に良いとされているんです。元気が出るとか、免疫力が上がって風邪をひきにくくなるとか言われています。秋から冬にかけて生える野草で、風邪の予防に良く食していました。」

そう言って、図鑑に書かれている以上の事を教えてくださいました。

「あの…私は今、保湿力の高い女性用の化粧品を開発中なのですが、この植物の粘液を使えないかと考えているのですが、実物を見たことが無いので、レイクウッド様なら何か、ご存知かと思ったのです。」

すると、彼は、少し考えて

「化粧品ですか… 保湿を考えるなら化粧水より乳液やクリームでしょうか? 確かにあの粘液成分を使えば有りかもしれませんが… 実際 私達は山菜として食用にもしていますから、身体に害の無い事は既に証明されていますし…」

そう言って、エリオス様は 更に考え込みます。
それにしても、化粧水や乳液、クリームなんて、化粧品の事まで精通していらっしゃるなんて、なんて博識なのでしょう。

「実物を見た事が無いのですよね。父に連絡して取り寄せてみましょうか?実物を見た方がアイデアも出やすいでしょう。」

「本当ですか?!ありがとうございます!よろしくお願いします!」

すぐに対応していただけるなんて なんていい人なのかしら。
速断決、即実行なんて、仕事も早い!

「いえ、こちらとしても利益の出そうなお話はありがたいですから。ぜひ、協力させて下さい。」

そうして、私は、度々 図書館を訪れるようになり、エリオス様と化粧品の開発についてや、その他にも、彼の領にある作物や 彼のアイデア、又、物流についてなど、様々な商売についての話をするようになったのです。


✢✢✢


エリオス様はいつでも 家族の事、領民の事を考えていらして、とても素晴らしい方です。

官僚を目指すのは、国の中枢から、領地の為に出来る事を現実にする為に、少しでも早く試験に受かりたいと 頑張っていらっしゃいました。

そんな彼の事を私は大好きになっていました。

彼に会いたい。
彼と一緒にいたい。
彼と手を繋いで、彼の隣でいつも笑い合っていたい。
私は少しでも時間があれば、図書館に行くようになりました。

彼の隣に座って、彼の勉強の邪魔をしないよう、静かに私も、その日の課題や時には仕事の資料を広げて勉強しました。
お互いに気になる事があると、頭を寄せ合い、小さな声でおしゃべりします。(はぁ…幸せ)

商売の相談、領地の事など、色っぽい話は一つもありませんでしたが、私は心の底から、彼の力になりたいと思ったのです。
幸い我が家にはお金があります。
私はエリオス様にプロポーズする事を決心しました。

彼は伯爵家の嫡男で、婿入りは難しいとは思いましたが、私はすぐに父に 彼との婚約をお願いしました。
当たって砕けろ!(砕けたくないですが…)
聞いてみるだけならタダですから!

エリオス様は随分悩まれたようですが、私との婚約を承諾して下さいました。

レイクウッド伯爵家は エリオス様の弟妹が継いで下さるそうです。
嬉しい!嬉しい!嬉しい!
天にも登る心地とはこういう事を言うのでしょうか。

私、エリオス様を絶対!絶対!絶対に!幸せにしてみせます!

そうして、後継者問題、借金問題など、政略的な条件を全て満たし、私達は晴れて、国王陛下も認めて下さる、正式な婚約者となりました。

学園では、エリオス様に想いを寄せる令嬢達から

「「金で婚約者を買った女」」

と言われ、随分皆さんから 嫌われてしまいました。
エリオス様も、私の婿の座を狙っていた貴族令息達から

「「真面目な顔をして、上手いことやったな」」

と、嫌味を言われる日々を送っているようです。(よくも私の大切なエリオス様に…)
これでも私、国でも一、二を争う大金持ちの跡取り娘ですから、婿に成りたい令嬢ベスト10には入っておりましたから…

そんなこんなで、二人の婚約は 皆様の妬み、嫉みを受けながらも、周りに周知されて行きました。

これからは、エリオス様と二人 お互いの家族の為、領民の為に色々出来たらいいなと思っています。

こんな私と、婚約して下さったエリオス様の為、私、全力でエリオス様の力になりたいと決意したのでした。






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