流石に異世界でもこのチートはやばくない？

第25話

今回は閑話的な過去の話しになります。

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「エマねぇさん話があります！」


大好きなおやつを頬張り、自分の世界にトリップしていたエマは、そんな言葉で現実世界に戻ってきた。


「んな～～にぃ？メア～リィ～どうしたの～？」

まだ虚ろな目でエマは、メアリーに返事した。


「わ、私！ランスと、け、結婚しまっしゅ！」

メアリーは舌を噛みながらそう説明してきた。


「……え？結婚？な、何を言ってるの？確かに交際認めたけど、あの時結婚は駄目だよって言ったよねそれを何故？」


完全に現実世界に戻ったエマは、以前交際の承諾の際に約束した事を口に出した。何故そこまで交際や結婚に対して厳しいかと言うと、一つはエルフと人間では寿命が違い人間の方が先に死んでしまうので、必ず最愛の人の死を見届けなければいけない。

もう一つはもしその二人の子供が生まれたとしたら、その子供は災いの種になるとしてエルフとは認められなく、ハーフエルフとして生きていき最悪殺される事もある。でもエルフと人間では種族の関係か子供の出来る確率は低いのでそうそう有るわけではない。


「そ、それは……」

エマは何か言い辛そうにお腹に手を当てながら答えるメアリーを見て、まさかと思い声をかけた。


「あ、メアリー！まさか子供が出来たんじゃ無いでしょうね？」

と、エマがメアリーに言うと、そのメアリーは震えながら頷いた。


（え？ちょっとそれは不味いんじゃないの！……確率が低いから交際を認めてあげたのに、まさかその低い確率で妊娠するなんて予想外だわ！……でも、仕方ない！ここは心を鬼にして言わなければ！）


「メアリー！……可哀想だけど、その子供は諦めましょう。その子は生まれて来ても幸せには成れない、だから今のうちに……」


エマもそこまで言うのがやっとと、悲しい顔をした。本当なら一緒に喜んであげたいのが本音、でもエルフの国の言い伝えでそう決まってる事も事実。複雑な気持ちでいたのだ。俯いていたメアリーが顔をあげて、真剣な顔をしてエマにとんでもない事を言った。


「私！人間になります！そしてランスと生まれてくる子供で、私たち事を知らない場所で暮らしていきます！」

「え？ちょっと待って！それは自分が何を言っているか分かって居るの？それは私たちエルフにとって命に関わることなのよ？」


「はい！分かっています！だけど私はランスの子供を産みたいの！エルフと人間では確率が低いと言われてて、しかももし生まれたとしたらその子が災いの種になるって言うのが、私は納得出来ない！逆に私はその確率の低いのに産まれてくる事に特別な事が有るんじゃないかと私は思う。それに私にランスが居るように産まれてくるこの子にも大切なパートナーが、災い事すら助けてくれると思う」

そう生き生きとした顔でメアリーは言い放った。それを見ていたエマも何かを決心した顔でメアリーに話し出した。


「分かったわ私も決心がついたよ、メアリーがそこまで本気なら姉である私が、あなた達家族を守るわ！……そうねメアリーも知っている事だけど、私がギルド委員会からギルドマスターになってくれと言われていることを知っているわよね？」

「はい！知ってますエマねぇさんはA級ランクでエルフで美しいから是非ともやって欲しいとうるさかったですよね」


「そうあのジジィ達は本当にうざかった！いつか精霊魔法で葬ってやろうかしらと思っていたわ。でもその話を受けることにする。まぁ当然こちらの我が儘を通しますけど、そしてあなた達家族とフラウは人目のつかない森でしばらく過ごしなさい！その間に私がここから遠く離れたジークの町のギルドマスターになってあなた達家族を迎えるわ、でもその時は私達とは表向きは友人として居きることになるわね」


「え、それじゃあ私はねぇさんとは姉妹ではなくなるの！」

「それはそうでしょ！もし私と姉妹だとバレたら、メアリーがエルフとバレてしまうわ、それに大丈夫！表向きだからもし何かあったら私達がなんとかするわ」

そう話あった二人は直ぐに行動して色々と問題もあったが、メアリー達家族がジークの町に住み着いて数年がたち、年々体調が悪くなっていくメアリーをエマは、精霊魔法で癒やし体を維持させていた。

（まさか封印にこんな副作用があったとは知らなかったはわ、メアリーは見た目は若いけどそれはエルフの血のお陰、でも実年齢は１００才を超えてるのでエルフの力を封印して人間になった事で、人間が１００才まで生きる事は難しいメアリーの体の中は老化によって蝕まれていた）


「もう封印を解きましょう！このままではあなたは……」

「駄目ですよエマねぇさん！もし封印を解いたら二度目の封印は出来ないではないですか！それではラミアスに自分が人間では無い事と、最悪エルフの言い伝えを知る事になってしまう。」

何故か封印は一度しか効かないのだ、一度封印を解いたら二度と封印をする事が出来なくなる。それなのでメアリーの体を治すのに封印を解く事は出来ないのだ。それで治す事は出来ないけど癒やす事は出来るので度々エマはメアリーの所に来ていたのだ。

と、そこにドアを開けて入ってくる人影がある


「ママァ！」

と、駆け寄ってメアリーに抱きつく女の子がいるこの子があの時身ごもって産まれたメアリーの子供
のラミアスだった。


「どうしたのラミアス？そんなに汚れて？早く着替えて来なさいね…」

と、優しくラミアスに言うメアリーの前に突然花の束が出された

「え？なにこれは！花？」

「うん！私がママに元気になってほしくて、いっぱい取ってきたの、ママ元気になった？」

そんな事を言いながらメアリーを見上げるラミアスに、メアリーは涙を堪えながらラミアスを強く抱きしめた

「うんうん！ラミアスのお陰でママ元気なったよ！……」

「きゃっきゃ！あははは！ママくすぐったいよ！」

「うりゃりゃぁーこれでどうだぁ！」

「きゃっきゃは、はははぁ！」

じゃれ合ってる親子をエマは微笑ましく見ていた。それからしばらくしてメアリーはこの世を去ってしまった。それからもエマはランスとラミアスを、気にかけていたがランスは自分を壊し人の話しを聞かず、数年後に亡くなってしまった。

ラミアスはその後独りで暮らしていたが、何の因果か冒険者になってしまった。そして初のゴブリンの討伐クエストで、森の奥へと入ってしまいオークに殺される所を偶々近くにいたレンに助けられたらしい。



ふっと昔の事思い出していたエマは今目の前にいる二人をみてメアリーが言っていたラミアスのパートナーがレンなのではないかと思っていた。


（そうよね、なんたって１日で二回も命を助けたんだそれに大切な弟子らしいし、異世界人で不思議な力で災いもなんとかしてくれるでしょう。それとメアリーがなくなるの寸前に言った言葉）

「エマねぇさん！お願いがあります。もしラミアスが大きくなり自分の本当の事知っても、前向きに生きてく決心をしたら、封印を解いてあげてくださいそれがあの子の人生なのですから…………………」

（そうあれが姉妹の最後の会話だったわね……安心してメアリー、あなたの娘には安心出来るパートナーができたわ。この子が幸せになるように空から見守ってあげてね！）