ヴィオレッタ302

Lampeetan

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その2

「奢ってくれるのか?」

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「ねぇ、天野くんこないだMetubeで美味しそうなスフレが紹介されてたんだけど、
よかったら行かない?コーヒーも入れてくれるらしいよ。」
「ああ、別にいいが奢ってくれるのか?」
「うん、もちろんいいよ。
こないだラーメン奢ってもらったしね。お返しだよ。」
「冗談だ。あのときはすまなかったな。一郎系列の店とは知らなかったんだ。
まさか一生分のもやしを食べることになるとは思わなかった。」
「大げさだなぁ、まぁ最初に出されたときはあまりの量に少し引いたけど。」
「コーヒーの美味しい季節になったし、遠出するのも悪くない。」
「遠出って言っても吉祥寺だけどね、来週の火曜日でいい?」
「ああ、問題ない。」
「分かった!じゃあまたね!」
「ああ。」
一緒にレポートを書いて以来、如月とはよくつるむようになった。
まぁ、一方的に話しかけられてるだけなんだが。

しかし、出会って3ヶ月くらいになるが、未だにあいつのことはよく分かってない。
極度の甘党であることは間違いないのだが、なぜだろう違和感?というか。
同学年の友達に如月の事を話しても他愛のない返答が返ってくるだけで、
例えば、入学式に如月を見たか、と聞いてもいたようないなかったような等
曖昧な返ししか聞かないんだ。あんな金髪目立つに決まっているはずなのに。
実際僕も入学式に如月がいたのかは分からない。分からないのである。
入学式にいなかったと認識したいのに、僕の心はそれを否定している。
奇妙。不安。不快。矛盾。あいつに関してのネガティブ要素が浮かんだ瞬間心の中から
消えていってしまう。そんな感じ。無敵である。
就活では内定をイワシ漁の如く大量に取られるだろう、しらんけど。

まぁ、いいさ。僕は居心地の良い友人なら大歓迎だ。
あまり詮索するのは不躾だしな。
友達は人生を豊かにしてくれる。暗い学生時代を過ごした僕にはわかる。
数えるくらいしかいないし、恋人もいないがな。
来週はスフレか、あいつと会って少し太ったか?
運動がてら、なにかバイトでも始めようかな。

そう思った時、LIMEの通知が来た。如月からだ。
「天野くん、今空いてる?うちに来て欲しんだけど」
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