誕生日

カクテル🍸

文字の大きさ
1 / 1

誕生日

しおりを挟む
窓から暖かい陽の光が差す中本棚から1冊の本を手に取り椅子に腰掛けて読み始める。
今日は何か大事な日だった気がするが…何だったかな、忘れてしまった。
お気に入りの紅茶を1口飲み読書の続きをしようとした所で玄関の扉が破られる勢いで開かれた。扉は優しく扱って欲しいのだけど、まあ犯人は分かってるし今更言っても聞かないだろう。来客が来た以上読書はまた今度にしよう。
「全く…騒々しい、一体何用かな?血剣」
扉を勢いよく開けた人物は血の剣、同じ写真家の1人で吸血鬼らしい。偉そうにしてるのは何時もの事だから何も言わないけどね。
「何用って決まってるじゃないか、貴様の誕生日を祝いに来てやったんだ。どうせ今年も忘れているだろうと思ってな。」
誕生日…嗚呼すっかり忘れてた、そういえば今日は私の誕生日だったな。
思い出したような顔をした私を見て血の剣は呆れて溜息を零した。
「やっぱり忘れていたか、来て正解だった」
「私だって色々と忙しいんだ、忘れるのは仕方ない事だと思うけど?」
そう言うと彼はビシッと人差し指を私に向けて「その台詞去年も同じ事言ってたぞ」と指摘した。
「はいはい、済まなかったね。それで、君だけなのかい?祝いに来たのは」と言えば「そんな訳ないだろう、私以外にも来てるとも。さっさと入ってきたらどうだ貴様ら」と後ろを振り返り声を掛けた。
彼の言葉に「血剣ってばそんなに急かさないでよ、相変わらずせっかちさんなんだから」とフワフワしたような口調で言い返し入ってきたのはアポロ。この子も同じ写真家の1人で太陽神らしい。血の剣とは真逆のタイプでどうもお互い気に入らないと喧嘩(血の剣が一方的に吹っかけてるだけ)ばかりしてる。仲良くて微笑ましいよ。
「貴様がノロマなだけだろう、私は時間を無駄にしたくないんだ」
「もう、たまにはゆっくりした時間を楽しんだらどうなの?」
「絶対嫌だ」
仲が良いのは悪くないけれど此処私の部屋なんだけどなぁ。
彼らの口喧嘩を黙って見つめていれば扉からひょこっと顔を覗かせる子が数人居た。そのうち1人は血の剣とアポロの言い合いに割り込んで「お2人ともそれくらいにするなの!今日はD.M伯爵様のお誕生日なのに言い合いなんてみっともないですの!」と軽くお説教してた。
特徴的な語尾を付ける女の子は確か...血の剣のお気に入りの子でリーズニングの助手をしてたはず、トゥルースくん...とか言ったかな。ふふ、自分がお気に入りの子に怒られてて不貞腐れてるよ、アポロは素直に謝れて偉いね。
彼女の後ろにはボアくんとバイパーくんが並んでて可愛いなって思ってしまった。
「私の誕生日の為にこんなに集まって祝ってもらえるなんてとても嬉しいよ、ありがとう」
私が微笑んでそう言えば「当然ですの!何時もは敵対しててもお誕生日の日は別ですもの!お祝いするのは当たり前なの!」と言ってトゥルースくんが可愛らし九笑った。血剣が睨んでくるけど私何もしてないから、する予定もないけど。
「もう少しで誕生日パーティが開かれるから来なよ、主役なんだから。ただその前にプレゼント用意してる人は先に渡しておこうと話しててね、こうして集まったんだ。」
血剣の説明に納得する。パーティ中に貰っても持って帰るのが大変だからね。
「さて、それじゃ誰から渡そうか?」
「やっぱり最初に来てた血剣殿から渡すべきだろう」とボアくんの一言に周りが頷く。勿論血剣は「私が最初か…」と嫌そうに呟きつつ私の前に立った。
「私からの贈り物は…これだ」そう言って渡してきたのはネックレスだった、真ん中にサファイアが埋められている。
「とても綺麗だ…もしかして血剣、サファイアを選んだのはサフィを連想させたからかい?」以前私が彼に話した事を問い掛ける、義弟であるサフィの目はまるで宝石のサファイアのように青く私はとても気に入っていた。それを覚えていてくれたのだろう。
「その通りだ、最近の貴様は寂しそうにしてたからな。せめてこれを見て少しでも元気になってくれればと…」恥ずかしそうに告げる彼を見て気を使わせて申し訳ないなと思った。というかそんなに分かりやすく態度に出てたのだろうか?
「ありがとう血剣、本当に嬉しいよ。」
素直に礼を言えば彼は照れたのかそっぽを向いた、意外と可愛らしい所もあるんだね。
「次は私ですの!えっとえっと、先生からのプレゼントも一緒に渡しておきますなの!」
彼女から渡されたプレゼントの1つは金木犀と小手毬の花束で、もう1つはリーズニングからのプレゼントでメッセージカードだった。
「エマからのプレゼントは花束ですの!金木犀の花言葉は【謙虚】、【気高い人】って意味で小手毬の花言葉は【優雅】、【上品】って意味ですの!D.M伯爵様にピッタリな言葉だと思って花束にしてみましたの!」
そう言って渡す彼女に「ありがとう、大事にするよ」とだけ伝えた。リーズニングからのは後から見ることにした。
「次は私だね、私からはこれをあげる」
アポロからのプレゼントは、太陽をモチーフにしたブローチだった。
「気に入ってくれると嬉しい」 
そう言って笑う彼はとても眩しかった。
「次は私とボアだね、私達からはこれをあげよう」
2人からのプレゼントは手作り目覚まし時計だった。
「それは私達の力作だよ、普通の時計は音が鳴るだけだろう?しかしその時計は電流が流れる仕組みになってるんだ!」
ふふんと自信満々に告げる彼等とは反対に私は不安しかない。マシな音になってるのかと思ったら電流が流れるときた、これはびっくりだ。まあ、折角作ってくれたから大人しく貰っておくとしよう、使うかどうかは分からないけれど。
「嗚呼それから…眷属の2人からもプレゼントを預かってきたよ。」と血の剣が渡したプレゼントの中身を見るとメッセージカードと共に1冊の本が入っていた。中身を見るまでもなく聖書だと分かった、2人らしいと言えば2人らしいのだが私はこういう類は読まないんだよ。
「あの2人にも今度礼を言いに行くとするよ」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それからホールでは盛大なパーティが開かれ、そこに居たリーズニングからニコニコとパイを投げられたのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

👨一人用声劇台本「寝落ち通話」

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。 続編「遊園地デート」もあり。 ジャンル:恋愛 所要時間:5分以内 男性一人用の声劇台本になります。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

片思い台本作品集(二人用声劇台本)

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
今まで投稿した事のある一人用の声劇台本を二人用に書き直してみました。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。タイトル変更も禁止です。 ※こちらの作品は男女入れ替えNGとなりますのでご注意ください。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...