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メイストームのあとは飛行機雲
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「そういえば昴希くん、今日体育あったんじゃないの?ジャージは?」
「え……?」
「今日、アルファクラスが体育館行くの見かけたから。」
千彰に指摘され、昴希は教室にジャージを置いたままだと気づいた。
完全下校時刻までまだ少しある。明日は体育はないが、置いたままにできるほどズボラになれず仕方ないと立ち上がる。
「取りに行ってくる。千彰、何かあったら。」
「ブザーでしょ?パパがめっちゃ大きい音出るの買ってくれたから大丈夫。片付けしながら待ってるね。」
多忙らしい千彰の父と昴希は面識はないものの、息子を溺愛していることは何となく察していた。
防犯グッズも最新のものを買い与えており、千彰はチョーカーやブザーだけでなく、カバンの中に催涙スプレーやらフラッシュライトを仕込んでいる。
昴希と出会って以降は首から下げるブザーも持たされていると以前話していた。
そんな千彰の父に感謝しつつ、昴希は一度美術室をあとにする。
A組の生徒は部活で活躍している生徒もいるが、鬼のように出る課題や塾で忙しく、放課後はテスト前を除いて閑散としていることが多い。
今日もまた上級生、下級生のクラスを含め誰もいないのかしーんと静まりかえっている。
空模様のせいで薄暗く静かな校舎は何となく不安を感じさせる。
早めに退散しようと思いつつ教室に入れば、なぜか自分の机に突っ伏している大きな影が見えた。
扉が開く音に反応し、のそっと動くその影の正体は翼だった。寝ていたのだろうか、あくびをして実にのんきなものである。
「翼、何やってるの?」
「こーちゃん待ってた。絶対忘れ物取りに来るって思ったから。」
この時点で……というか、自分の机で翼が寝ているのが見えたときから、昴希は嫌な予感がしていた。
一日置きっぱなしにしたぐらいでは困らない忘れ物など気づかなければよかったと、心の隅で考えてしまう。
それを悟られないよう、机の横に掛けたままにしたジャージを手にとりすぐさま離れようとする。
だが、当然それは許されなかった。昴希を待ち構えていた翼はジャージの入ったトートバッグに手を掛けた昴希の腕を掴む。
「なに?」
努めて冷静に聞こえるよう、慎重に声を出す。
出会った時から変わらない長い前髪の向こうにある瞳は、あの頃と違って強い意思があることを昴希に示している。
「それはこっちのセリフ。こーちゃん、なんでオレを避けてるの?」
「避けて、ない。」
「嘘。気づいてるよ、さすがに。俺に触られるの嫌がるじゃん。」
掴まれた腕を振り解こうにも、そうすれば余計に力を込められる。逃げようにも身体が隣の席に当たってしまい、教室は広いのに追い詰められた気分になる。
翼は絶対に昴希を逃がす気がないらしい。腕を掴むのと逆の手を机に叩きつけて昴希の進路を塞いだ。
「こーちゃん、好きだよ。」
なぜいきなりそのセリフが出てくるのかと思いつつ、昴希はそれでも逃げようと翼をにらみつけた。
翼は茶化すことも、誤魔化すこともせず、真剣な表情だけをこちらに向けている。
その表情にいよいよ直人が言っていたような「ちゃんとする」時間が来たのだと昴希は悟り、一旦は抵抗をやめて気分を落ち着けるように息を吐く。
「悪いけど、千彰がいるから。」
恋愛と言うよりは信頼で成り立つ関係の千彰の名前を出せば、露骨に翼の表情が歪む。小さく舌打ちする音も聞こえた。
「そうじゃないッ、そういうオママゴトしようってことじゃなくて!」
オママゴトと言われて昴希もカッとなる。未だ手をつなぐ以上のことをしたことない自分達をそう例えることに対しての図星半分、それでも積み重ねた時間をバカにされた怒り半分だった。
だが、昴希がその感情を口にするよりも、翼が大きな手で昴希の後頭部を包み込み、唇を押し付ける方が先だった。
驚きのあまり動きが止まってしまうが、自分のされていることに気づいて翼の肩を押し返す。
意外なほど素直に唇は離れていき、乱暴に添えられていた手は優しく昴希の頬を撫でてから、唇についた唾液を拭うように親指を滑らせていく。
「こういうことしようって言ってんの。」
昴希の気のせいか、翼の瞳も唇も震えているように見える。ずっと奥に隠れていた、欲情とも違う翼の純粋な情熱に、昴希の身体が先に反応しそうになる。
喜びに全身の肌が粟立つ感覚と、反対に心はそんな自分に戦慄を覚えている。
ちぐはぐな身体と心の反応に何も言えなくなっている昴希をさらに追い立てようと、翼は服の上から昴希の腕を撫でる。
優しく、壊れ物を触るような手つきに視線をやれば、昴希はそこに自分の最大の秘密を隠していることに気がつき目を瞠った。
「や……。」
「こーちゃん、好き。ここも、全部オレが愛してあげる。」
それはずっと捨て去りたいと願っているオメガという性への肯定だと昴希の勘が囁いた。
耐え難いほど熱く不快な怒りがせり上がってきて、昴希はその腕を勢いよく振り払い、翼を突き飛ばそうとする。
「なんで……。なんで、お前がそれを言うんだよ……。」
相手の身体がびくともしないことを気にかけていられないほど動揺した昴希の脳裏に、以前翼から言われたことが浮かぶ。
『こーちゃんはなるんだろうな、パイロット。』
あの日「なれる」ではなく、「なる」と言ってくれたのと同じ口から聞きたくない言葉だった。
失望から涙が零れそうになる昴希に翼がかける言葉を探していると、翼を目がけて何かが飛んできた。
「クソモジャっ。昴希くんを離せッ!!」
やや重たい音を立てて翼の後ろに着地したそれは、千彰の通学カバンだった。
美少年と言われる顔に似合わぬ大股で二人に近づけば、鬼の形相で翼の腕を掴み思い切り振り回す。
「何やってんだ、クソッタレ!お前、ムカつく。ほんっとムカつくッ!!」
大事な物を取り返そうとする千彰は、子どものような言葉で翼に噛みつく。
当然のようにダメージが入らないが、それでも癪に障ったのか一度昴希を離せば、翼は千彰に向き合う。
さすがの千彰も怯む様子を見せたが、それでも翼の腕を離すことはなかった。
「……オレもお前のこと一番ムカつく。」
「こっちのがムカついてるわ!」
火花を散らしつつ子どものケンカのようなやり取りをしているが、翼の様子があの日躊躇いなく智を傷つけようとした様子と重なり、昴希は二人の間に入ろうとする。
「ちび助、お前がこーちゃんに何ができるわけ?」
「は?何かできなきゃ一緒にいちゃいけないの?好きなのに?」
「ちょっと、やめろって……千彰も。」
掴みかかりそうなほど千彰を睨む翼を抑えつつ、千彰も止めに入る。
それでも二人とも感情がおさまる気配はなく、睨み合う二人に昴希の涙もすっかり引っ込んでしまった。
「こんな弱っちいのに、こーちゃんに一番嘘つかせて、ヒートをどうにかできるわけでもない。」
「翼ッ!!」
頭に血がのぼっているのだろうか。翼が千彰に言おうとしていることを察して昴希は本格的に止めにはいる。
その胸を強く何度も叩いて正気を取り戻させようとするが、昴希をちらりと見ただけで望むような反応は得られなかった。
「お前、何言って……。」
「翼、言うなッ!!」
「オメガのお前が、オメガのこーちゃんに何ができるんだよ。アルファごっこなんてさせて、クソッタレはお前の方だろ。」
静かに怒りをぶつける翼の言葉にその場が止まる。
いつの間に降り出したのか、雨が窓を叩く音が教室に響いていた。
昴希は千彰の方を見ることが出来なかった。震える身体をどうにも出来ないまま、それでもゆっくり口を開いた。
「千彰……。」
「昴希くん……オメガなの?」
言い訳をする前に、同じように震える声で千彰が真実を求めてきた。
それに対して言える言葉が何も見つからず、思いもよらないタイミングで醜い自分を晒すことになり、昴希は無意識に呼吸が荒くなるのを感じた。
この場にいることが、千彰の傷ついた顔を見ることが怖くなり、教室を駆け出すことしか出来なかった。
当然のように追いかけようとする翼だが、駆け出す瞬間に見えた昴希の表情に心臓が止まりそうになる。
血の気の引いた顔に浮かんでいた絶望が、遠い昔に仲間に入れてもらえなかった翼自身と完全に重なった。
「え……?」
「今日、アルファクラスが体育館行くの見かけたから。」
千彰に指摘され、昴希は教室にジャージを置いたままだと気づいた。
完全下校時刻までまだ少しある。明日は体育はないが、置いたままにできるほどズボラになれず仕方ないと立ち上がる。
「取りに行ってくる。千彰、何かあったら。」
「ブザーでしょ?パパがめっちゃ大きい音出るの買ってくれたから大丈夫。片付けしながら待ってるね。」
多忙らしい千彰の父と昴希は面識はないものの、息子を溺愛していることは何となく察していた。
防犯グッズも最新のものを買い与えており、千彰はチョーカーやブザーだけでなく、カバンの中に催涙スプレーやらフラッシュライトを仕込んでいる。
昴希と出会って以降は首から下げるブザーも持たされていると以前話していた。
そんな千彰の父に感謝しつつ、昴希は一度美術室をあとにする。
A組の生徒は部活で活躍している生徒もいるが、鬼のように出る課題や塾で忙しく、放課後はテスト前を除いて閑散としていることが多い。
今日もまた上級生、下級生のクラスを含め誰もいないのかしーんと静まりかえっている。
空模様のせいで薄暗く静かな校舎は何となく不安を感じさせる。
早めに退散しようと思いつつ教室に入れば、なぜか自分の机に突っ伏している大きな影が見えた。
扉が開く音に反応し、のそっと動くその影の正体は翼だった。寝ていたのだろうか、あくびをして実にのんきなものである。
「翼、何やってるの?」
「こーちゃん待ってた。絶対忘れ物取りに来るって思ったから。」
この時点で……というか、自分の机で翼が寝ているのが見えたときから、昴希は嫌な予感がしていた。
一日置きっぱなしにしたぐらいでは困らない忘れ物など気づかなければよかったと、心の隅で考えてしまう。
それを悟られないよう、机の横に掛けたままにしたジャージを手にとりすぐさま離れようとする。
だが、当然それは許されなかった。昴希を待ち構えていた翼はジャージの入ったトートバッグに手を掛けた昴希の腕を掴む。
「なに?」
努めて冷静に聞こえるよう、慎重に声を出す。
出会った時から変わらない長い前髪の向こうにある瞳は、あの頃と違って強い意思があることを昴希に示している。
「それはこっちのセリフ。こーちゃん、なんでオレを避けてるの?」
「避けて、ない。」
「嘘。気づいてるよ、さすがに。俺に触られるの嫌がるじゃん。」
掴まれた腕を振り解こうにも、そうすれば余計に力を込められる。逃げようにも身体が隣の席に当たってしまい、教室は広いのに追い詰められた気分になる。
翼は絶対に昴希を逃がす気がないらしい。腕を掴むのと逆の手を机に叩きつけて昴希の進路を塞いだ。
「こーちゃん、好きだよ。」
なぜいきなりそのセリフが出てくるのかと思いつつ、昴希はそれでも逃げようと翼をにらみつけた。
翼は茶化すことも、誤魔化すこともせず、真剣な表情だけをこちらに向けている。
その表情にいよいよ直人が言っていたような「ちゃんとする」時間が来たのだと昴希は悟り、一旦は抵抗をやめて気分を落ち着けるように息を吐く。
「悪いけど、千彰がいるから。」
恋愛と言うよりは信頼で成り立つ関係の千彰の名前を出せば、露骨に翼の表情が歪む。小さく舌打ちする音も聞こえた。
「そうじゃないッ、そういうオママゴトしようってことじゃなくて!」
オママゴトと言われて昴希もカッとなる。未だ手をつなぐ以上のことをしたことない自分達をそう例えることに対しての図星半分、それでも積み重ねた時間をバカにされた怒り半分だった。
だが、昴希がその感情を口にするよりも、翼が大きな手で昴希の後頭部を包み込み、唇を押し付ける方が先だった。
驚きのあまり動きが止まってしまうが、自分のされていることに気づいて翼の肩を押し返す。
意外なほど素直に唇は離れていき、乱暴に添えられていた手は優しく昴希の頬を撫でてから、唇についた唾液を拭うように親指を滑らせていく。
「こういうことしようって言ってんの。」
昴希の気のせいか、翼の瞳も唇も震えているように見える。ずっと奥に隠れていた、欲情とも違う翼の純粋な情熱に、昴希の身体が先に反応しそうになる。
喜びに全身の肌が粟立つ感覚と、反対に心はそんな自分に戦慄を覚えている。
ちぐはぐな身体と心の反応に何も言えなくなっている昴希をさらに追い立てようと、翼は服の上から昴希の腕を撫でる。
優しく、壊れ物を触るような手つきに視線をやれば、昴希はそこに自分の最大の秘密を隠していることに気がつき目を瞠った。
「や……。」
「こーちゃん、好き。ここも、全部オレが愛してあげる。」
それはずっと捨て去りたいと願っているオメガという性への肯定だと昴希の勘が囁いた。
耐え難いほど熱く不快な怒りがせり上がってきて、昴希はその腕を勢いよく振り払い、翼を突き飛ばそうとする。
「なんで……。なんで、お前がそれを言うんだよ……。」
相手の身体がびくともしないことを気にかけていられないほど動揺した昴希の脳裏に、以前翼から言われたことが浮かぶ。
『こーちゃんはなるんだろうな、パイロット。』
あの日「なれる」ではなく、「なる」と言ってくれたのと同じ口から聞きたくない言葉だった。
失望から涙が零れそうになる昴希に翼がかける言葉を探していると、翼を目がけて何かが飛んできた。
「クソモジャっ。昴希くんを離せッ!!」
やや重たい音を立てて翼の後ろに着地したそれは、千彰の通学カバンだった。
美少年と言われる顔に似合わぬ大股で二人に近づけば、鬼の形相で翼の腕を掴み思い切り振り回す。
「何やってんだ、クソッタレ!お前、ムカつく。ほんっとムカつくッ!!」
大事な物を取り返そうとする千彰は、子どものような言葉で翼に噛みつく。
当然のようにダメージが入らないが、それでも癪に障ったのか一度昴希を離せば、翼は千彰に向き合う。
さすがの千彰も怯む様子を見せたが、それでも翼の腕を離すことはなかった。
「……オレもお前のこと一番ムカつく。」
「こっちのがムカついてるわ!」
火花を散らしつつ子どものケンカのようなやり取りをしているが、翼の様子があの日躊躇いなく智を傷つけようとした様子と重なり、昴希は二人の間に入ろうとする。
「ちび助、お前がこーちゃんに何ができるわけ?」
「は?何かできなきゃ一緒にいちゃいけないの?好きなのに?」
「ちょっと、やめろって……千彰も。」
掴みかかりそうなほど千彰を睨む翼を抑えつつ、千彰も止めに入る。
それでも二人とも感情がおさまる気配はなく、睨み合う二人に昴希の涙もすっかり引っ込んでしまった。
「こんな弱っちいのに、こーちゃんに一番嘘つかせて、ヒートをどうにかできるわけでもない。」
「翼ッ!!」
頭に血がのぼっているのだろうか。翼が千彰に言おうとしていることを察して昴希は本格的に止めにはいる。
その胸を強く何度も叩いて正気を取り戻させようとするが、昴希をちらりと見ただけで望むような反応は得られなかった。
「お前、何言って……。」
「翼、言うなッ!!」
「オメガのお前が、オメガのこーちゃんに何ができるんだよ。アルファごっこなんてさせて、クソッタレはお前の方だろ。」
静かに怒りをぶつける翼の言葉にその場が止まる。
いつの間に降り出したのか、雨が窓を叩く音が教室に響いていた。
昴希は千彰の方を見ることが出来なかった。震える身体をどうにも出来ないまま、それでもゆっくり口を開いた。
「千彰……。」
「昴希くん……オメガなの?」
言い訳をする前に、同じように震える声で千彰が真実を求めてきた。
それに対して言える言葉が何も見つからず、思いもよらないタイミングで醜い自分を晒すことになり、昴希は無意識に呼吸が荒くなるのを感じた。
この場にいることが、千彰の傷ついた顔を見ることが怖くなり、教室を駆け出すことしか出来なかった。
当然のように追いかけようとする翼だが、駆け出す瞬間に見えた昴希の表情に心臓が止まりそうになる。
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