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第八話 カフェの二階で※

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カフェの二階は夫婦の住居になっていた。キッチンとリビング、その奥に書斎と寝室。進哉さんがカーテンを引いてる隙に、俺は勝手に後ろから抱きしめてその首筋に鼻先を擦り付けた。

「いい匂い…進哉さんってほんといつもいい匂いするよね」

首筋に当たる息に彼はくすぐったそうに身をよじる。

「進哉さんってカフェをやる前は何の仕事してたの?ずっと不思議に思ってたけど」
「僕は…」

彼はシャツのボタンを外されながらカーテンを握りしめている。俺は彼に質問をしておいて答えさせる気がないみたいだ。

「カフェをやる前は……僧侶でした」
「僧侶?」

俺は思わず彼の服を脱がせる手が止まってしまった。さすがの俺も、そこまで想像してなかった。

「僕の実家が寺で…大学を出たあと奈良の本山で修業をして、僧侶の資格をとったんです。会社に勤めたくなくて、それからずっと実家の寺で親や兄たちの手伝いをして働いていたんですが…」
「ふーん、それで?」

話の途中で手の動きを再開した俺は、彼のシャツのボタンをすべて外し終わると肌に手を添わせた。

「んっ」

指先をつんと立ち上がった小さな突起がかすめた。

「で、文世さんとはどうやって知り合ったの?」

まるで尋問している気分だ。

「…ある年のお盆に、文世がうちの寺に参拝に来て…友達の墓参りに付いてきたんです…そこで出会って…」
「つまり、文世さんは寺にいた若い僧侶の進哉さんに一目惚れして、進哉さんを食っちゃったってわけだ?」

しゃべりながら俺は彼を抱き上げると、ソファの上に放った。
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