人間を辞めてダンジョンマスターになった俺は伝説の獣人戦士とともに魔王に成り上がる

安眠計画

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プロローグ

一身上の都合

 目を覚ましたとき、俺は〈魔族〉好みの悪趣味な調度品に囲まれたダンジョンの一室に寝転んでいた。

「おはよう」
 大魔族ドリヤーイは、さっきまで共に戦っていたパーティメンバーなんかよりもずっと人間らしく、目覚めの挨拶を寄越す。

「どういうことだ? 何が起きた? なぜ俺は死んでいない?」
「よく眠れたようだな、戦っているときよりよほど生き生きしているぞ」
 大魔族はクックッと笑みを殺しながら答えをはぐらかす。

「ここは……ダンジョン内部か?」
「御名答。〈ドリヤーイの戦場〉とお前たちが呼ぶ余の縄張りの中でも、限られた上級魔族のみが出入りできる一室だ」
「なぜそんなところに連れてこられた? 俺は人類種ヒューマンでも下っ端も下っ端、拷問したって碌な情報は出てこんぞ」
「そんなこと分かっている。さながらあの辺境王にとっては単なる捨て石だろうさ。ところで貴様……な。眠っている間何か見た……いや、か?」

 沈黙。確かに何か夢を見た気がする。輝き……太陽すら隠してしまうほどの大きな光が、全身に流れ込むような……。しかしそれがなんだというのだろう。ドリヤーイの狙いを図りかね、黙って首を横に振った。

「フン……まあいい。余は貴様と違って大変に忙しい。端的に命じる」

 ゴクリと空唾を飲み込む。一体この大魔族は、俺から何を奪うのだろう?

「余の〈聖海の奔流シュトゥルム・ウント・ドラング〉を受けて、あんなに気持ち良さそうな顔をして、こんなにぐっすりと眠りこけた探索者は初めてだ」

 ん? 予想していた話し出しとは違う。もっと人類の残虐さとか、魔族の優位性を説かれるものかと……。

「余はそれを『面白い』と感じた。面白いものは手元に置いておく主義でな」

 スカウト? まさか。

「貴様に人類種との戦いの最前線にある、最も過酷なダンジョンの管理・運営を命じる」

 こうして俺は王都の最西端から徒歩5分、大魔族〈ドリヤーイ〉直轄の新興中小ダンジョン〈ドリヤーイ・ガルプ〉のダンジョンマスターになったのだった。

 人類への恩義? そんなもんは感じちゃいなかった。現にあのクソッタレな辺境王へは、丁重にで魔族に寝返ったことをしたためた直筆の退職届を出してやった。
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