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シリーズ001
002 私にとっての勇者とは
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勇者。
今更説明するまでもないことだが、要するに国だか占い師の類だか、まあ両方だったりそうじゃなかったりすることもあるが、そいつらに命じられたり頼みこまれたりして人類の敵(例:魔王)を討伐する仕事である。仕事と言っていいものかは分からないけど、少なくとも国から金銭は支給されるし、冒険者ギルドとかで掛けられている懸賞金もしっかり貰える。歩合制の実力主義だが、国の援助がある分、同じ仕事をしているはずの冒険者よりも恵まれているだろう。
ただし、勇者は当代に1人だが、意外と代わりはいる。
それはそうだ。そいつが強ければいいが、志半ばでくたばられたら意味がない。だからある程度の候補を絞り、死亡または行方不明になると同時に切り替えるのだ。
故に、『強者の好機、弱者の貧乏籤』などと国民から揶揄されている。なぜか推薦でしかなれないので仕方ないのだろうが、何も強要することはないだろうといつも思う。
実際、現国王の支持率は真っ当な一般市民が選ばれる度に落ちている。だから向こうも、勝算を上げる意味でも、なるべく強そうな候補を勇者にし始めたのだ。
勇者の仲間も冒険者からの立候補で済ませ、国の兵を減らさないようにしている。こちらは逆に足を引っ張る可能性があるので、特に気にされていない。そもそも集団戦闘が是の兵隊に個人戦闘を期待するのは間違っている。例えできる者がいても、大抵は騎士団長や近衛兵クラス、国が簡単に手放すわけがない。
というわけで、勇者もしょせんは人間でしかない。飯も食えばクソもする。だから誰かに誘われて娼館に来ることだってあるのだ。
しかし、誰が予想しえただろう。その勇者が童貞を拗らせていたなんて。
「ああ、ミーシャさん、今日のビキニアーマーも素敵ですぅ」
「本当に? ありがとう」
(毎度似たようなことばっか言っちゃって……)
目の前の男、ディル・ステーシアもまた、その勇者様である。一応当代につき1人なので、『そんな勇者の1人である』とは言わない。多分意味が違うから。
黒の短髪で小柄の部類には入るが、冒険者上がりなだけあり、筋肉は割りかしついている。
しかし、彼は童貞だった。
まあ、冒険者といっても全員が稼げるわけではない。だから彼も、元々はその日暮らしの一文無し。恋人どころか娼婦を買うことすら叶わない。
それが勇者になった途端に金回りも良くなり、娼館に誘う仲間もできたものだから、度々通うようになってきたのだ。
「でも、これはないわ……」
鎧とレオタードをずらし、必死になって私の乳首を吸っている勇者様ことディル君(内心で勝手にそう呼んでいる)に聞かれることなく、先の呟きは虚空へと霧散して行った。
ことは、数ヶ月前に遡る。
今更説明するまでもないことだが、要するに国だか占い師の類だか、まあ両方だったりそうじゃなかったりすることもあるが、そいつらに命じられたり頼みこまれたりして人類の敵(例:魔王)を討伐する仕事である。仕事と言っていいものかは分からないけど、少なくとも国から金銭は支給されるし、冒険者ギルドとかで掛けられている懸賞金もしっかり貰える。歩合制の実力主義だが、国の援助がある分、同じ仕事をしているはずの冒険者よりも恵まれているだろう。
ただし、勇者は当代に1人だが、意外と代わりはいる。
それはそうだ。そいつが強ければいいが、志半ばでくたばられたら意味がない。だからある程度の候補を絞り、死亡または行方不明になると同時に切り替えるのだ。
故に、『強者の好機、弱者の貧乏籤』などと国民から揶揄されている。なぜか推薦でしかなれないので仕方ないのだろうが、何も強要することはないだろうといつも思う。
実際、現国王の支持率は真っ当な一般市民が選ばれる度に落ちている。だから向こうも、勝算を上げる意味でも、なるべく強そうな候補を勇者にし始めたのだ。
勇者の仲間も冒険者からの立候補で済ませ、国の兵を減らさないようにしている。こちらは逆に足を引っ張る可能性があるので、特に気にされていない。そもそも集団戦闘が是の兵隊に個人戦闘を期待するのは間違っている。例えできる者がいても、大抵は騎士団長や近衛兵クラス、国が簡単に手放すわけがない。
というわけで、勇者もしょせんは人間でしかない。飯も食えばクソもする。だから誰かに誘われて娼館に来ることだってあるのだ。
しかし、誰が予想しえただろう。その勇者が童貞を拗らせていたなんて。
「ああ、ミーシャさん、今日のビキニアーマーも素敵ですぅ」
「本当に? ありがとう」
(毎度似たようなことばっか言っちゃって……)
目の前の男、ディル・ステーシアもまた、その勇者様である。一応当代につき1人なので、『そんな勇者の1人である』とは言わない。多分意味が違うから。
黒の短髪で小柄の部類には入るが、冒険者上がりなだけあり、筋肉は割りかしついている。
しかし、彼は童貞だった。
まあ、冒険者といっても全員が稼げるわけではない。だから彼も、元々はその日暮らしの一文無し。恋人どころか娼婦を買うことすら叶わない。
それが勇者になった途端に金回りも良くなり、娼館に誘う仲間もできたものだから、度々通うようになってきたのだ。
「でも、これはないわ……」
鎧とレオタードをずらし、必死になって私の乳首を吸っている勇者様ことディル君(内心で勝手にそう呼んでいる)に聞かれることなく、先の呟きは虚空へと霧散して行った。
ことは、数ヶ月前に遡る。
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