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シリーズ001
003 勇者の童貞を喰った話
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婚約者が死んで数ヶ月が経った頃。
一応貯えがあるとはいえ、それも生きていけば日に日に減っていく。焼け石に水でも働く必要があるのだ。
「じゃあ……今日からお願い」
「あ、はい……」
というわけで初日。
研修では道具しか使われなかったので、実質今日が初めて、婚約者以外の肉棒相手に股を開く日になる。
婚約者が死んでしばらく経つからか、貞操感はあまり感じていない。多少は申し訳なく思うが、コネも力もない私にはこれしか稼ぐ手はない。すまんが草葉の陰で泣いててくれ。NTRに目覚めてもこの際眼を瞑るから。
そんなこんなで婚約者にすら(機会がなくて)見せたことのない艶姿。具体的には無駄に際どい下着の上に薄っぺらいナイトドレス(髪より鮮やかな赤色)でお客様を迎え入れようと仕事部屋の1つで待ち構えているのだ。
「暇だ……」
しかし、待てど暮らせど客は来ない。
ビビリは元から来ないし、逆に女慣れしすぎているのはナンパして捕まえている、と説明されてなければ、さっさと逃げ出したくなるくらいだ。
一応待機手当的なものは出るが、歩合制である以上身体を売らないと収入が増えない。
最近は呼びこみもトラブルの元だからと、護衛なしでは行かせてもらえない。この娼館にもいるにはいるが、1人しかいないから人手が足りず、別途雇う必要がある。
しかもその護衛というのが曲者だった。腕の立つ女の剣士だが、娼館の護衛なんて経歴の半分くらいがごっそりと心象最悪になる仕事にあっさりと引き受けるほど頭が軽い。昔娼婦紛いのこともしていたからというのが理由らしいが、だったら半端な腕前でいて欲しかった。『実力を比較されるのが嫌だ』、と断られる理由が増えてしまったと、この前館長がぼやいていた。
以上より、タダじゃないので余裕のある時か切羽詰まらない限り、呼びこみはしないことになっていた。
おまけにこちらは新入りだ。初物ならともかく、同じ穴ならベテランの手練手管に癒された方がいいと、ますますこちらに来ることはなくなる。
ドンドン、
「……あ、はぁい」
だから油断していた。まさかこちらにも来るとは思ってもみなかったのだ。
ノックされた扉を開けると、黒髪で短髪の男性が立っていた。小柄で一瞬女性を思わせるも、ほどよく筋肉のついた腕を上げて、手の平の木札を差し出してくる。
「はい、一晩ですね」
木札は注文票代わりだ。木札の色で一晩かどうかを判断する。
常連とかなら気づくかもしれないが、模様にも意味がある。客の経験値や希望、または危険度などをこっそりと伝えるために使い分けられている。
学はないが記憶力はわりといい方なので、手早く必要な情報を頭の中に広げて確認した。
(しかし、いきなり童貞か……)
木札を読み取った私は、若干気が遠くなるのを感じながらも、おくびにも出さずに彼を迎え入れた。
「じゃあガンバレよ~」
扉の向こうから響く声を聞き、なんとなくだが彼がここにいる理由に見当がついた。
大方、常連が知り合いを連れてきたが、そいつにとっては何もかもが初めてだった、という話だろう。
部屋に入っても、未だに挙動不審で立ったままの彼に内心で軽く頭を抱えたが、私は両頬を叩くイメージで不安を振り払った。
「まずは軽く、お話しませんか?」
扉を閉め、ベッドの縁に移動して腰かけてから、私は隣に座るようにシーツを軽く叩いた。
一応貯えがあるとはいえ、それも生きていけば日に日に減っていく。焼け石に水でも働く必要があるのだ。
「じゃあ……今日からお願い」
「あ、はい……」
というわけで初日。
研修では道具しか使われなかったので、実質今日が初めて、婚約者以外の肉棒相手に股を開く日になる。
婚約者が死んでしばらく経つからか、貞操感はあまり感じていない。多少は申し訳なく思うが、コネも力もない私にはこれしか稼ぐ手はない。すまんが草葉の陰で泣いててくれ。NTRに目覚めてもこの際眼を瞑るから。
そんなこんなで婚約者にすら(機会がなくて)見せたことのない艶姿。具体的には無駄に際どい下着の上に薄っぺらいナイトドレス(髪より鮮やかな赤色)でお客様を迎え入れようと仕事部屋の1つで待ち構えているのだ。
「暇だ……」
しかし、待てど暮らせど客は来ない。
ビビリは元から来ないし、逆に女慣れしすぎているのはナンパして捕まえている、と説明されてなければ、さっさと逃げ出したくなるくらいだ。
一応待機手当的なものは出るが、歩合制である以上身体を売らないと収入が増えない。
最近は呼びこみもトラブルの元だからと、護衛なしでは行かせてもらえない。この娼館にもいるにはいるが、1人しかいないから人手が足りず、別途雇う必要がある。
しかもその護衛というのが曲者だった。腕の立つ女の剣士だが、娼館の護衛なんて経歴の半分くらいがごっそりと心象最悪になる仕事にあっさりと引き受けるほど頭が軽い。昔娼婦紛いのこともしていたからというのが理由らしいが、だったら半端な腕前でいて欲しかった。『実力を比較されるのが嫌だ』、と断られる理由が増えてしまったと、この前館長がぼやいていた。
以上より、タダじゃないので余裕のある時か切羽詰まらない限り、呼びこみはしないことになっていた。
おまけにこちらは新入りだ。初物ならともかく、同じ穴ならベテランの手練手管に癒された方がいいと、ますますこちらに来ることはなくなる。
ドンドン、
「……あ、はぁい」
だから油断していた。まさかこちらにも来るとは思ってもみなかったのだ。
ノックされた扉を開けると、黒髪で短髪の男性が立っていた。小柄で一瞬女性を思わせるも、ほどよく筋肉のついた腕を上げて、手の平の木札を差し出してくる。
「はい、一晩ですね」
木札は注文票代わりだ。木札の色で一晩かどうかを判断する。
常連とかなら気づくかもしれないが、模様にも意味がある。客の経験値や希望、または危険度などをこっそりと伝えるために使い分けられている。
学はないが記憶力はわりといい方なので、手早く必要な情報を頭の中に広げて確認した。
(しかし、いきなり童貞か……)
木札を読み取った私は、若干気が遠くなるのを感じながらも、おくびにも出さずに彼を迎え入れた。
「じゃあガンバレよ~」
扉の向こうから響く声を聞き、なんとなくだが彼がここにいる理由に見当がついた。
大方、常連が知り合いを連れてきたが、そいつにとっては何もかもが初めてだった、という話だろう。
部屋に入っても、未だに挙動不審で立ったままの彼に内心で軽く頭を抱えたが、私は両頬を叩くイメージで不安を振り払った。
「まずは軽く、お話しませんか?」
扉を閉め、ベッドの縁に移動して腰かけてから、私は隣に座るようにシーツを軽く叩いた。
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