【R18】勇者の童貞レベルが高すぎる!

桐生彩音

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シリーズ001

005 勇者の初体験

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 若干乱暴になりかけること数回、私はどうにかディル君の童貞を卒業させることに成功した。
 最初こそ私が寝そべって正常位なんてありきたりなものだったが、一度経験してしまうと他の体位も試してみたくなるのが男だ。とはいえ、慣れていなければ精神的にも疲れが出やすくなるので、最後には騎乗位で果てていた。
 私も回数をこなさない内に体位を変えていたので、肉体的に疲労が溜まっている。それでも客商売である以上、相手が帰るまではそんな姿を見せてはいけない。
「気持ち良くなっていただけましたか、お客様?」
 互いに裸体を晒したまま、ディル君の頭を膝の上に乗せて軽く撫でてやる。どうせ時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり付き合ってやろう。
「はい、あの……今更ですけど、お姉さんの、お名前は?」
「ミーシャです」
「ミーシャ、さん……」
 もろ本名だが、ミーシャなんて名前はありきたりだから別にいいかと、そのまま名乗っていた。孤児院出だから過去の記録も曖昧で、正直家名さえ隠しておけば、外見いじるだけで他人の振りができるのも意外な強みだったりする。
「あの……できれば気軽に話してくれませんか?」
「こんな感じ?」
「そう、その方が魅力的です」
 いや助かるわ。
 敬語とか、そこまで得意な方じゃないし。
「じゃあ、この感じでいかせてもらうわね」
「うん、その方が僕も安心できるし」
 僕っ子か、まあ小柄で女性的な顔立ちにはその方が似合っているわね。
「それで、どうだった?」
「気持ち、良かったです……」
 そらそうだ。でなければこちらが困る。今日からそれで飯食っていくんだから。
「それなら良かった。今日が初めての仕事だったからね」
「初めて……経験も?」
「実はあなたが2人目」
 内緒ね、と人差し指を唇に当てて見せた。
「旦那が死んじゃってね。生きていく為に身体を売ることにしたの。……軽蔑したでしょ?」
「そんなことはない、けど……それしかなかったの?」
「……まあね」
 一応他の仕事も探してはみたのだが、就ける仕事はみんな賃金が安かった。1人で生きていくには辛すぎる。しかも元孤児の中古女では嫁ぎ先もない。
 ハッキリ言って人生詰んでいる。
「だからお客様として、また来てくれたら嬉しいわ」
 窓から光が差し込んでくる。どうやら時間らしい。
「丁度いいわね。着替えましょうか?」
 最後だからもう少し話をしたかったのだが、服を着せている間、彼は何も話さなかった。難しい顔をして何か考え込んでいるみたいで、ずっと上の空だった。
「……あの、」
 ようやく言葉が出たのは、私もなけなしの衣服を身に着けた後だった。
「また、あなたを買ってもいいですか?」
「……え」
 何を言っているのかが、一瞬分からなかった。
「いや、娼婦だから……お金払ってくれれば、いくらでも買えるわよ」
「ああ、そっか……そうだね。うん、そうだ」
 まあ若干乱暴だが、慣れさせればいい客だ。最初のカモになってもらおう。
「だからまた、買ってくださいね」
「はい、必ず」
 良い返事だ。こっそりカモ一号と名付けよう。
「じゃあ、またね」
「はい!」
 彼を見送った後、私は泥のように眠った。
 流石に慣れない仕事だからと、翌日休みを置いてからだが、その翌日のことを私は忘れないだろう。
 なにせ、最初の客が、現状最後の客となってしまったのだから。



 その状態が数ヶ月続いている。

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