【R18】勇者の童貞レベルが高すぎる!

桐生彩音

文字の大きさ
48 / 54
シリーズ004

011 生存戦略

しおりを挟む
 何かに引っ張られたかと思うと、私はジャンヌと一緒に後ろの方へ投げ飛ばされていた。
「そこで伏せてろっ!」
 鋭い声を出したのは、多分フィンさんだ。恐らく投げ飛ばしたのも。
 そうしなければ、私とジャンヌは殺されていただろう。
「なに、あれ……?」
 私達がいた場所をつらぬいていたのは、赤い金属の様な物体だった。カリスの野郎は魔法か何かで足元に影のように寄り添っているそれを操り、攻撃に使ってきている。
「なろっ!?」
 リナは小太刀よりも先に銃を抜き、攻撃していたが全て金属に弾かれていた。
「無駄なことを……」
 攻撃された後、一枚の壁として広げていた金属を操作して、槍状にしてからリナの方に放ってきた。かわしてはいるが、金属の動きはかなり速い。フィンさんの方にも飛んできているけど、ぎりぎりかわしている。
 戦闘職でもスピード重視の二人だからまだ、対処できるのだろう。私ならあっさり殺されている。
「……リナちゃん、気付いた?」
「金属が勝手に防御したってこと?」
 フィンさんの手から、何かがはなたれた。それも簡単にはじかれてしまうが、元から当たるとは思ってなかったのだろう。
 リナの銃も、フィンさんの飛び道具も防がれたが、その際カリスの野郎は見てすらいなかった。攻撃され、防がれた後に確認するように目を向けているのだ。
「勝手に防御してくれる魔法とか、そんな便利なものあったっけ?」
「多分、これ異世界の考え方だわ。自動オートで攻撃に反応して防ぐとか、思いっきり自動電算機コンピュータじゃん」
「初めて聞いた時はこっちも驚いたけど、割と簡単に、魔法で応用できたんだよ」
 おのれ天才肌め。少しはその才能を分けろ。
 ……なんて言っている場合じゃない。
「ねえ、ジャンヌ。しっかりして、ねえ!」
「ん…………みぃしゃ、さん?」
 まだうまく口が動いていないが、意識を取り戻しつつあった。でも、私にできることは可能な限り後ろに下げて、少しでも回復の時間を稼ぐこと位しかない。
「いいからじっとして、娼館に確か治療用の魔法薬があった筈。そこまで運ぶから」
「……ぃえ、その前に、言わなければ」
 言葉ははっきりしてきたけど、まだ身体に力が入らないのか、動く気配がない。だからか、かろうじて動く腕で私の首をつかんで、顔を無理矢理近づけてきた。
「あの、金属は、私の魔法も……防ぎました。それ以上、の、威力でない、と」
「魔法って、もしかして……あれ?」
 頼むからうなずくな! 最悪じゃないそれって。
 ジャンヌの放った魔法は、恐らく【疑似聖剣・斬撃】だ。
 斬撃系神聖属性魔法の大技で、並みの魔族なら相性次第で殺せる代物な上に、純粋な威力も高い。その一撃を防げるということは、あの金属の防御力が高いか魔法への耐性が高い、ということになる。
「そんなの、どうやって勝てばいいのよ……?」
 希望なんてない、そう思っていたら、それをジャンヌが否定してきた。
「……手は、あります」
「あるのっ!?」
 あ、ごめん。うるさかった?
 まともに耳を塞げない状況だったので、ジャンヌは耳鳴りを飛ばそうと首を振っているけど、あれって効果があるのかな?
「……ごめん、大丈夫?」
「ええ、いえ……大丈夫です」
 微妙に、するどい視線が飛んできている。
 多分リナだ。戦いながらも、こっちの話を聞いていたのだろう。攻撃力不足で防戦一方になっている二人からしたら、会話の邪魔している私に怒りを覚えるのも仕方ない。フィンさんに聞こえてないのが唯一の救いだ。だって視線が一つ減るし。
「これ、は、国も……あの男も、知らない、情報はなし、です。あの金属、を、リナさんの太刀なら、きれ、る…………」
「ジャンヌ……ジャンヌっ!?」
 ……良かった。気を失っただけみたい。でも、太刀って……?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...