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第四十四章 テラの天変地異

絶対的な統治支配権

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「それでは……代価を支払えば……何とか……」
「代価は厳しいですよ、人類の代価ですから……」

「イエス会総長、私はテラの人々を『人』とすれば救いません、人ならばあの返書は別の文言になっていたはず」
「しかしペットと考えれば、ペットの行動に対して腹を立てる者はいないはず、そうでしょう」

「ペット?」
「そうペット、動物にしてやった事の見返りは求めないと先程言いました」
「もし何事かの愛情などを示してくれれば、それは計算外の嬉しい出来事」
「飼い主としては頭の一つも撫でますし病気になれば医者にも連れて行きます、そういう物です」

「……」
 フランシスコ・ロドリゲス総長は、私のあまりの言い方に蒼ざめています。
「方便と思ってくれてもいいですが、半分は本気ですよ」

「……確かにそれしかないかと……」

 私は居並ぶ最高幹部会の面々に向かって聞きました。
「この案なら同意できますか?」

 蒼ざめた顔が並んでいました、そして皆、考えているようです。
 ネイサン・ロッシチルドさんが、やっと口を開きました。

「代価としてペットになるとの事ですが、どうされるのですか?」
「ネイサンさん、テラに残っている人々は、利己特性が強固に残っている方が多いでしょう」
「気性の荒いペットは去勢しますね、それと同じですよ、去勢こそしませんが、精神的な去勢、利己特性の強制削除です」

「テラの人類がそれを許容するでしょうか?」
「手順としては、まずテラの人類の代表、この場合、国連でしょうが、その組織に私たちにテラの全地域全人類に対して絶対的な統治支配権を認めさせます」

「これを根拠に、後は無警告の利己特性の強制削除、そしてスーパープルームを抑えます」
「マレーネさん、それなら可能なのでしょう?」

「確かにそれなら出来ます、人々の人権などを無視すれば、強制的に南米から別の場所へ転移を行い、スーパープルームを抑え、再び南米に戻す」
「放射能や環境汚染もナノマシンを動員して、いっきにケリをつける事が出来ます」

「テラの全地域、全人類に対して、絶対的な統治支配権を持っている以上は何でも出来ます」
「しかし強制削除以外にも操作をいたしますが、よろしいですね」

「どのように?」
「ミコ様、つまりヴァルナ評議会議長に対して、絶対の服従を行動原理に組み込みます」
 頭の中で続きを云ってくれました、マレーネさんはこう云ったのです。
「エラムの人々のように……」
 多分私が正装したら、無条件でひれ伏す、あの行動なのでしょうね。

「わかりました、私は同意いたします」
 と、ネイサンさんが同意し、その後、全ての最高幹部も同意しました。

 そして国連に通告しました、
 ……テラの全地域全人類に対しての、絶対的な統治支配権を、ナーキッドに認める事を条件に要請に同意する。……

 二日後、受諾すると回答がありました。

 マレーネさんの力はとんでもないものですから、それこそ一週間で完了しました。
 そしてテラには、利己特性の無い、悪い言葉でいう精神的に去勢された人類の世界となりました。
 ナーキッドの絶対的な統治支配権に、唯々諾々と従う人々の世界、惑星テラが誕生したのです。

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