上 下
53 / 131
第十九章 娼妓解放特別規則

買わざる得ないのよ!

しおりを挟む

 喫茶店に入ると、深刻な顔で二人が相対しています。
 お茶も飲んでいないみたいです。

「取敢えず話はつきました、鈴木商会の総支配人に電話して、六条さんの話の裏を取りました」
「ちょっといえない理由もあり、六条さんの希望に沿うこととなりました」

「今頃鈴木商会の京都支店長と、経理担当と弁護士が六条邸へ向かっています」
「ついたら電話がありますのでしばらくここでお茶をしていましょう」

「でも、父は強欲ですので……」
 思わず声を出して笑いました
「晶子さん、私はお金持ちなのですよ、貴女の代金ぐらい大丈夫です」

「もし、もめれば宮川遊郭を買うまでです、文句は誰にも言わせません」
「それから覚悟しておいてください、私は残酷ですよ、人生をもらいますからね」

 電話がなり、話をつけましたのでお越しください、とのことです。

 六条邸へつきますと、鈴木商店の関係者が待っていました。
「ご苦労を掛けました、ありがとうございます」
 労をねぎらいますと、
「こちらが妓楼の六条氏です」

 晶子さんのお父さんが、
「このたびは娘を我妹子(わぎもこ)にしていただき、ありがとうございます、これが証文です」
 弁護士さんが、「法的に完璧なものです」

 私は個人小切手を取り出し、経理担当者に確認してもらい代金を聞きました。
 支店長さんに「これは高いのですか?」と聞きますと、「いささか高いかと存じますが……」

 お父さんと呼びたくないので妓楼主に「なぜ?」と聞きますと、「正直、美しく、水揚げもまだですから……」
 この親父、娘を売るときの言葉がこれですか?

「では、これの倍額払いましょう、でも、後三人ほど身請けいたします、文句はないはずです」
「それとも、この宮川遊郭を買い占めましょうか、金にものをいわせれば出来ることです」

「薄々知っているから接触してきたのでしょう、なら私の言葉に偽りはないというのは理解しているはず、それとも地回りを使ってナーキッドと戦争しますか?」

「してやるさ!」
 と、障子をあけて十人ばかり、乱入してきた男たちがありました。
 喧嘩は相手を見てやるものでしょうに?

「うざいですね、おや、貴方が親分ですか、喧嘩は相手見てするものでしょう」
「晶子さんの手前、血は流したくないのですが、今日は機嫌が悪いのですよ、これで帰りませんか」
 と、金貨を二十枚ほど出しました。

「これは姉さん、今日は帰らせていただきます」
 と、手を差し出しますので、金貨を渡しながら耳元で、
「親分、この金貨は命の代価かもしれませんよ、お帰りになったらわかるでしょう」
 意味がわからないみたいですね、かわいそうに……

「さて護衛は帰りましたよ、暴発ととってあげましょう、さてお返事は」
「娘の代金で後一人、こちらの指定する娼妓をつけるということで、お願いできませんか、もちろん容姿は妓楼ですので大丈夫ですが」

「性病持ちをくれるのですか、なら病気持ちを全部くれますか、使い道はありますから」
「それからね、私の気に入ったお女郎さんを一人、代金の半額で譲ってもらいます、その代金は金貨で払いましょう」
「これなら貴方にも得でしょう、これ以上の交渉はなしです」

「判りました、どうぞこちらへ」
 宮川遊郭の六条楼へ行きます。
 遊郭なんて始めてです、まして、皇族扱いの華宮公爵令嬢も……

しおりを挟む

処理中です...