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第二十二章 最後の夏が来る前に

夜の横浜中華街

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 朝、登校してからの私たちは、今夜のバスツァーの話しで盛り上がっています。

 昼食時に沙織さんが、私たちまで呼んでいただいて、なんて云っています……
「貴女も私の側女、愛人が一堂にそろうことはあまりないのですから、いい機会です、よく顔合わせをしてくださいね」

「私もドキドキします」
 カミーラさんが云いました。
「でもカミーラさんは、皆とあっているのでは?」
「ニューヨークで、初めて皆さまとお会いしました、あの時は、見たこともないほどの美しい方ばかり……これほどの方が愛人と思うと、正直絶望を感じました……」

「いま私なんかが、リ……、ミコ様にお仕えしてもいいのかと不安なのです」
「でもそのはしくれになったと思うと、嬉しくもあるんです、ドキドキします、認めてもらえるのだろうかと……」

「サリーさんが認めているし、茜様も認めている、アナスタシアさんも認めざる得ない、大丈夫だ」
「実際、小雪さんもアリスさんも私も認めている」
 アテネさんが、いい事を云います。

「とにかく楽しみましょう、ね!」

 そう楽しみましょう、世界は終わりかけている、この秋を過ぎれば、平和は確実に終わるでしょう……
 なんとしても平和を、明日を作って見せますが、このままの平和とは限りません……

 覆水盆に返らず……変なたとえですが、私は覆水を盆に戻して見せますが、水の色が違うかもしれません……
 だからいまの、世界の平和を楽しんでください……

 サリーさんたちも、この私の世界に瓜二つに近い世界を、覚えておいてください……
 私の故郷にそっくりのテラ……そしてそっくりの日本……

 そして、はとバスが午後四時半にやってきました。

 参加人員は50名、補助席まで満席です。

「バス菓子、バス菓子……」
「ミコ様、何を云っているのです、今から横浜中華街で夕食なのですよ!」

 聡子さんに怒られましたが、
「バス菓子、バス菓子」
 アリスさんとココさんが、唱和してくれています。
「まったく……頭が痛いこと……」

 小袋が一杯詰まった大袋を抱えて、バスは横浜中華街……

 実は貸切ですので、オプションが組んであります、よって真っ先に横浜大世界へ直行です。
 チャイナドレスを、レンタルして写真に撮り、CD─ROMに納めるもので約30分です。

 エラムでチャイナがはやっていますので……このまま中華街を、某中華レストランに向かい、中華コースをたらふく食べて、えっ、フカヒレスープと北京ダック、なんと豪華な夕食……
 そして再び、横浜大世界へ戻ります。

 50分の自由時間、リディル姉妹とティアさんとカミーラさんは、トリックアート・ミュージアムへ走って行きました。
 何でもはしゃぎまわる年頃、ついて行くと大恥をかきそうですので、山下梅香さんにお任せしました。

 優しい優しい方で、結構な母性本能の持ち主、うまくやってくれるでしょう、えっ、お財布、アリスさんに払わせればいいでしょう……

 中国酒を買う輩もいます、誰かわかりますね……そう、ビクトリアさんと小雪さん、深雪さんも妹だけの事はあります。
 アテネさんが欲しそうですが駄目ですよ、未成年は不可が日本の鉄則です。

 でもそれ、二鍋頭酒ではないの?
 白酒(パイシュ)の代表、56度もある代物ですよ……
 放置しておきましょう……

 サクラハウスの面々は、一階で横須賀の海軍カレーなんぞを買っているのを見ました。
 清女さんたちは、チャイナドレスを買っています……そんな服を来て、誘わないでくださいよ……

 あれ、アナスタシアさんとジジさんとミレーヌさんも、たむろしていました、サリーさんとマリーさんも一緒です。
 よほど気に入ったのですか、買いこんでいますよ。

 私はというと、アテネさんを引き連れて、点心三昧……
 そこへエールさんと薫さんがやってきて、マレーネさんと茜さんがさらに合流します。

「また食べているのですか?」
「いけまへぇんか?」
 フカヒレ入り焼きまんじゅうを、口に運びながら返事をしますが……

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